建交労長崎県本部

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最低賃金制度の拡充で低賃金構造の底上げを①~建交労のトラック政策⑩

2017年07月06日 16時15分47秒 | トラック政策

(1)地域別最低賃金の引き上げと特定(産業別)最低賃金の確立

①地域別最低賃金の大幅引き上げ

パート・アルバイトなどの区別なく、都道府県内のすべての労働者に適用される地域別最低賃金は毎年10月の金額改定を目標に中央最低賃金審議会、各地方最低賃金審査会の中で経済情勢や賃金動向などの審議により、改正が行われます。しかし、地域別であることから地域間での格差(2017年3.月現在、714円から932円と218円差)、さらに労働者の生計費が十分反映されず、事業者の支払能力が優先されているなどの問題点をかかえています。その結果、最低賃金の低い地域では人材確保が困難となり、地域経済を低迷させています。また、地域によって生活保護基準より低い賃金しか支払われないという矛盾も生じています。

②特定(産業別)最低賃金の確立

業種・職種別に不当な低賃金を許さず、公正な競争条件を担保するために特定(産業別)最低賃金があります。2014年3月現在、全国で242種の特定最低賃金が定められ、2013年も202件が改正され、平均815円となっています。このような中、トラック運輸産業は、日本経済の発展と国民生活において重要な役割を担っていますが、働く労働者は低賃金・長時間労働が常態化しています。安全・安心で質の高い物流サービスを提供するためには適正な運賃と働く労働者に対して他産業の水準を下回らない賃金・労働条件が必要不可欠です。さらに今後、少子高齢化がすすみ懸念されている人材不足に歯止めをかけるためにもセーフティーネットとしてトラック運輸産業に特定(産業別)最低賃金の確立は待ったなし状況です。現在、一般貨物自動車運送業として特定(産業別)最低賃金が確立されているのは高知県のみとなっています。

※トラック運輸産業における特定(産業別)最低賃金の必要性は、物流2法の可決時に衆院運輸委員会の付帯決議の1項目とされています。

 ★付帯決議★

貨物自動車運送事業に従事する労働者の労働時間短縮を促進するとともに、累進歩合制の廃止、賃金制度の改善指導、産業別最低賃金制度の確立に努めること。

 

(2)特定(産業別)最低賃金確立への取り組み

①特定最賃確立のすすめ方

特定(産業別)最低賃金を確立する方法は、「労働協約方式」と「公正競争方式」の二通りあります。「労働協約方式」は労働組合法第18条に定める「労働協約の地域の一般的拘束力」によるものです。同じ地域の同一産業で働く大多数の労働者が労働協約に定める同じ労働条件を受けている場合、無協約の労働者にも同じものが適用されるというものです。一方の「公正競争方式」は同一地域の同一産業で労働条件の最低基準を定めなければコストを無視した価格競争が激しくなり、公正な企業間競争が維持できないとして、特定(産業別)最低賃金を定める必要性を認めて定めるものです。その場合、その産業に従事する労働者の概ね3分の1程度の賛同を得て労働局に「意向表明」することになります。具体的には「産業別最低賃金を定めることに同意する」署名を該当する労働者から集めて労働局に提出し、受理された後で経営側代表と公益委員、組合側代表とで「産業別最低賃金の必要性」について審議し、合意が得られれば金額を定める手続に入ります。

こうしたトラック運輸産業に特定(産業別)最低賃金の確立のためには、各地方(都道府県別)での取り組みが重要となります。

②特定最賃確立に向けた地方での取り組み

東京では労働組合の単産の垣根を越え、特定(産業別)最低賃金を確立するために「東京都トラック運転者最低賃金対策会議」を設置し、公正競争方式による取り組みを行っています。

現在、建交労・運輸労連・交通労連・全港湾・JP労組・東京港湾・港湾同盟・労供労連自運労・労供労連新運転の9単産でトラック運輸産業の賃金実態や特定最低賃金の必要性をまとめたパーフレットを作成し、各組織内部に留まらず、未加盟労組や事業者への訪問をはじめ、東京労働局や東京トラック協会とも懇談を重ねながら一日も早い特定最低賃金の確立を訴えています。

※具体的な取り組み

〈首都圏基本集交団〉

・毎年の春闘において労使で法制化に対し、協力と賛同を確認し、協定を締結。

〈各支部・分会〉

・申し出を行うために東京都内の事業所に在籍するドライバーの人員調査の実施。

・定期大会において必要性と確立に向けた決議文の確認。



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