ヨーロッパ各国では産業別労働組合が全国を単位に組織され、大きな役割を果たしています。
ヨーロッパ各国と日本のいずれも、労働協約に労働法上特別な効力を認めていますが、ヨーロッパでは労働組合の締結した労働協約が組合員に適用され、その労働条件を変えるという協約の規範的効力を最初に認め、その労働協約の効力を行政機関による「一般的拘束力宣言」によって、さらに州単位に地域的拡張適用する制度を設けています。この制度は日本の現行制度のモデルになっていますが、日本との違いは実際に一般的拘束力の宣言によって拡張適用が実現していることです。また、使用者の業種別団体が加盟する企業に協約遵守を義務付け、働くルールは産業別の労使自治によるという原則を労使双方が尊重することで、労働協約基準を組合に加入していない労働者にも拡張適用しています。
日本では企業別の労働協約がほとんどであり、最も必要としている中小零細企業の労働者や非正規雇用労働者など不安定で労働条件が劣悪な労働者層には労働協約が適用されず「無協約労働者」になっています。中小零細企業の労働者に等しく賃金・労働条件向上の波及効果を及ぼし過当競争に歯止めをかけ、中小経営の安定と労働者の雇用確保をはかるためには、企業横断的な統一労働条件(産業別労働協約)の確立が必要であり、そのためには企業横断的な労働組合(産業別労働組合)の力量アップと統一闘争が必要です。