建交労長崎県本部

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最低賃金制度の拡充で低賃金構造の底上げを②~建交労のトラック政策⑪

2017年07月07日 08時21分19秒 | トラック政策

(3)全国一律特定(産業別)最低賃金の確立へ

①営業区域規制の廃止

 「21世紀にふさわしいトラック事業を目指す。」の方針のもと、2003年4H1日に物流二法の改正が行われ、営業区域規制の廃止により営業範囲が全国へと拡大しました。さらに運賃・料金の事前届出制も廃止、1の運行の最大時間も144時間となるなど、中小・零細企業が中心となっているトラック運輸産業では経営環境・労働環境ともに苛酷さを増すばかりとなりました。

②全国一律特定最低賃金確立の法的根拠

我が国の最低賃金制度は、地域別最賃と特定最賃の二本立てとなっています。「地域別最賃」は文字通り都道府県毎にその額が決定されるのに対し、「特定最賃」は「一定の事業若しくは職業に係る」(法第15条)とされているだけで、「地域別に定める」ことを義務づけてはいません。つまり、法理論上は、中央最低賃金審議会の審議を受けて「全国一律の特定最低賃金」を決定することが可能です。

③全国一律特定(産業別)最低賃金制度をめざして

毎年、地域別最低賃金の見直しもすすめられていますが、いくつかの矛盾も生じています。また、世界の最低賃金制度を見てみると地域別制度ではなく、全国一律での制度が主流となっています。しかし、日本では中小零細企業での雇用が7割を超える中で一部の大企業支配が強く、公正取引のルールも確立していません。合わせて営業区域規制の廃止によって、営業範囲が全国へ広がっていることを考えると、労働基準法や改善基準告示の課題を克服することと合わせて現在の地域別最低賃金制度から全国一律特定(産業別)最低賃金制度の確立がトラック運輸産業独自の賃金構造や安全・安心を担保するための意識やモラルを向上させるためには必要不可欠となっています。その場合、単産の枠を超えた連携や業界・経営者・荷主団体などへの働きかけも積極的に行っていきます。

④「区域制」と全国一律特定最賃

「区域制」が撤廃されたことで、「全国一律の特定最賃」は特に「公正競争方式」の面でその重要性を増しましたが、「区域制」が復活すればその意義を失うかと言えばそうではありません。長距離トラック輸送が存在する限り、「行き荷」「帰り荷」の運賃設定のコストにおける「地域による人件費の不均等」が存在し続けるからです。



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