松谷みよ子 講談社 1960年
「おかあさんは北のみずうみにいる。おらが、つよい、かしこい子になってたずねていくのをまっている、そう、ばあさまはいった。おら、さがす。ひとつひとつ、ぬまでも、みずうみでも、おかあさんにめぐりあうまでさがしていく。だども、おら、てんぐさまに力はもらったが、かしこくなったかなあ、おかあさんにあいにいってもはずかしくないほどに、かしこくなったかなあ」…
ばあさまにつくってもらっただんごをくっちゃあ、毎日けものたちと野山で遊び呆けていた龍の子太郎。
ある日じぶんの出生の秘密を知り、龍に姿を変えてしまったまだ見ぬ母をたずねて旅に出る。
天狗に力をもらい、黒鬼を退治し、にわとり長者をぎゃふんと言わせるなまけものの成長譚。
ただの昔話と思うなかれ。
これこそが、声に出して読みたい日本語。
ばあさまが菜を洗っている川に何かが流れてくる音は、つんぶくかんぶく つんぶくかんぶく
けものたちの大相撲、その掛け声は、でんかしょう でんかしょう
まさに、日本の音だね。
けものたちといっしょになってゆかいになって、太郎といっしょになってちからがわいて。
何度も何度も読んだこの本の魅力箇所は、おかあさんが食べてしまったイワナ3匹。(やっぱ食いもんなんだな)
そんなにもうまい魚がこの世にあるとは!
ご多分にもれず魚嫌いの幼少期、3匹も立て続けにむしゃむしゃと食べてしまうほどうまい魚ってのに、食べたこともないのにうっとりしたものです。
Re4冊目 (全28冊目)