村田喜代子 文藝春秋 2009年
イタリア留学していた一人娘が、気のいいイタリア人のパオロとの子を宿し、出産すべく日本に舞い戻ってきた。どうしようもないほど「現実」である夫と、出産という一大イベントに舞い上がる娘夫婦の中にあって、マサヨはある日、ムスメノオナカノナカニイルモノに話しかけられる。「アイツ」と形容するしかないほどのオナカノナカニイルモノは、「向こう側から旅をしてきた者」だという。…やがていよいよ「アイツ」との対話の中で出産が進行する…
とりあえず、ホラーではないっす。
いや、こんな紹介のしようじゃあ、どう見たってホラーなんだけど。
ムリにでもジャンル分けしようとすれば、これは、
祖母小説 といったところでしょうか。そんなものがあるとして。
そしてそんなものがあるとしたら、今のアタシが読まんでドースル?ってなもんでしょう。
自分自身の腹の中に居るほどの一体感はなく、でも赤の他人様の腹の中ほど他人事でもなく…
そんな中途半端な位置のもたらす所在のなさが何を求めて何を得るのか。
そんな気負いがあって読んだわりには、お話自体は何をどう感じ入ったかというものでもなく、はっきり言ってうまく読み解けなかったのですが、
マサヨという人の、妻として母として規模として祖母としての、各対象への距離のありようがどこか自分自身に似ておりまして、改めて「醒めてるヤツ」と我が身を評価。
もしもこれをドラマにでもして、この醒めてる感を出したいのらばマサヨ役はソフトバンクの樋口可南子、でしょうか。
おっとおっ! その図式はアタシが樋口可南子ってか。
ごめんなさい。サムすぎました。
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