広告代理店はイヌと同じだ!【表】

現役広告営業マンの日乗
~表題は某社宣伝部長の金言から(3/19参照)~

ネット時代の「雑誌のビジネスモデル」とは?

2009-02-12 00:37:22 | 出版ビジネス
■ビジネスモデルの方向性


「読み物=コンテンツ」を作りだすという点において

雑誌が持つノウハウはやはり素晴らしい。

これは他メディアがマネをできないものだ。


だから

出版社は

こうした自分だけの強み(他媒体との差別化のポイント)をきちんと分析して、

それをもとに

落ち着いてビジネスモデルを構築すればよいのだと思う。

(要は出版社版のコアコンピタンス経営をするということである)





たとえばビジネスモデルの考え方である。


雑誌は一誌一誌が

独自の「コンテンツの生産工場」を持つ「事業部」

と考えるのも、方向性の一つである。




雑誌単位で事業部化すれば、


雑誌の売れ行き+広告収入+コンテンツの著作権ビジネス収益


で採算を考えられるようになる。



つまり

単体の売れ行き、広告収入で万が一採算が苦しくても

著作権ビジネスでリクープできるということだ。

(予めDVD収入を当て込んで採算ラインを計算する映画と同じである)




こうすれば

今日明日の売れ行きで一喜一憂する必要はなくなる。


編集長(事業部長)は

雑誌→著作権ビジネスという長い目で

商売になるコンテンツの生産と提供方法を計画すればよくなるワケである。



因みに、

二次著作物が生みだすのは何も収益だけではない。

新しい層にその雑誌のコンテンツの面白さを知らせて

雑誌に呼び寄せるというプロモーション効果も生み出す。




たとえば雑誌は

コンテンツの生産ノウハウを核に

こうしたバリューチェーンを意識して

コンテンツビジネスを展開していけばいいのだ。



ネットなんか放っておけばよい。

このバリューチェーン拡大に一番役に立ってくれるのが

「ネット」になるはずだから、だ。

つまり

「ネット」をわざわざ敵と見なすのではなく

道具として扱えばいいのだ。




■ビジネスモデル構築のための課題


仮に

このようなビジネスモデルを構築するとしたら

以下の点が不可欠になる。



1)組織体制の見直し


編集長が、記事→コンテンツの著作権ビジネスまで

トータルで管理できる体制が必要だ。

実質的には

編集長を事業部長とした、

独立採算の事業部体制ということになると思う。




2)編集者と書き手の保護・育成


同じソースでも商売にできるかどうかは

現場の編集者のセンスと書き手の能力による。

彼らこそ、

ビジネス成功を握るコンテンツの生み手であり、

他のメディアが持っていない出版社だけの宝だと認識しなくてはならない。

彼らは出版文化の中でしか育たない。

だから

万が一、部数が落ちているからと言って

編集者と書き手を簡単に動かしてはいけない。

彼らの保護と育成は最重要課題と考えるべきなのである。




3)編集長の権限


編集長は大きな権限を持つ必要がある。


①商売になるネタの発掘

②コンテンツ生産

③週刊誌の制作・販売

④掲載コンテンツによる著作権ビジネス展開

⑤コンテンツの価値拡大

⑥週刊誌の価値拡大

①②③


みたいなバリューチェーン構築こそ

編集長の仕事となるからである。

だから事業部制にして事業部長としてとらえるべきだ。

逆に言うと

編集長には

編集者としての資質に加えて、

経営センスなど他ジャンルのセンスやノウハウが必要になってくる。

(バリューチェーンを機能させるには、

ここのコンテンツが二次使用されるとき

きちんと週刊誌のバリューアップに戻ってくるよう

予め仕掛けを作っておかなくてはならない。

これはブランド管理=広告的ノウハウだ)

人選は大変かもしれない。





素人なので、思いつくのはせいぜいこんな所までだ。


たぶん「週刊新潮」初め出版社の方々は

ここまで書いたようなことは

既に何度も考えられていると思う。



とすれば

私が最初に書いた

思ったより部数が伸びないから

「アジャパー」と言っているのでは?

・・・などというのはド素人のたわごとに過ぎない。



「週刊新潮」は

「商売はこれからさ」とビクともしてない筈なのである。



そして

雑誌ビジネスはネット時代だからこそ、

さらに伸びていくと考えられるのである。






このテーマは以前も何度か考えてみたことがありますが(※注)

今回少しだけスッキリしたような気がします。

こうしてつらつら考えれば考えるほど、

やっぱり雑誌は凄いです!



素人が長々失礼いたしました。






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※The reason why the title is“広告代理店はイヌと同じだ”



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すばらしです。 (同業他社)
2009-02-13 02:01:24
同業他社の30代前半営業マンですが、
非常に勉強になります。

これからも末永く続けて頂き勉強させて下さい。
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コメントありがとうございます (choin1919)
2009-02-13 08:56:03
同業の方とのこと、
過分なお言葉に恐縮しております。
なかなか厳しい環境になってきておりますが、
お互い元気出して、頑張りましょう。
これからもよろしくお願い致します。
返信する
sou (4leafclovers)
2009-02-14 17:34:17
いつも楽しみに読ませていただいていますが、初めてコメントいたします。
僕は逆にずっと広告会社にいながら、最近ネット部門に異動し、仕事をするようになりました。で、思うのです。出版社の持つコンテンツ生成能力がやはりものすごくレベルが高いんです。これからは動画ももっと広がってくると思いますので、TV局なんかもそうですが、ネットをツールとして捉え、書き手(コンテンツ生成者)の流出防止・確保・育成を行うことが大切だろうなと思います。しかし、広告会社はどこへ向かって行くべきなのか・・・?
これからも楽しみに読ませていただきます。









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はじめまして (ちょいな♪)
2009-02-14 20:49:33
ありがとうございます。
sou様も同業の由、読んで頂けて嬉しいです。
「コンテンツ生成者の流出防止・確保・育成」というご指摘・・・なるほどですね。
ただ、私はまだまだ大物の流出には時間がかかると思います。
なぜならネット事業者はケチだから(笑)。
それに、リアルのメディアのように書き手が儲かるビジネスモデルがまだまだ確率できてませんからね。
だからもし、ネットで小説家やライターや編集者が、リアルの世界でベストセラーを出した時のように青天井で儲かる「仕組み(モデル)」を企画することができれば、広告会社にとって大きなビジネスになるかもしれません。
頂いたご指摘から、そんなことを思いました。
・・・なんて、こんな話を世代や立ち位置の違う同業者同士でディスカッションできたら面白いですよね。
今後とも何とぞ宜しくお願い致します。
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