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映画音楽史(336) 『舞踏会の手帖』 1938年公開

2015-01-14 13:34:13 | 映画音楽



『舞踏会の手帖』  Un Carnet de Bal (仏) 1937年制作
監督 ジュリアン・デュヴィヴィエ
音楽 モーリス・ジョーベール
主演 クリスティーヌ … マリー・ベル
    オーディエ夫人 … フランソワズ・ロゼエ
    エリック … ピエール・リシャール・ウィルム
    ティエリー … ピエール・ブランシャル
    ファビアン … フェルナンデル
主題歌 『灰色のワルツ』 ( Valse Grise ) 演奏・サウンド・トラック

独自のペシミズムで孤高の地位を固めたデュヴィヴィエが、一転してロマンチシズムと絢爛な話術で仕上げた回転ドラマの傑作。
若くして未亡人となったクリスティーヌは15年前に社交界にデビューした時に手帖に書きしるしていた踊りの相手を訪ねる旅に出る。
最初の相手であったオーディエは自殺、次いで弁護士のピエールも警察に逮捕されていた。そして次々と相手の男性の消息に
失望していく。最後に訪ねたジェラールは一週間前に死んでしまっていた。クリスティーヌはジェラールの子供を養子にすることに
して虚しい遍歴の旅を終える。

主題歌の『灰色のワルツ』はモーリス・ジョーベールの作曲によるもので、ジョーベールは書き上げた譜面の首尾を逆にして演奏、
その録音を逆再生する手法、いわゆるオーバー・ダビングによって回想のイメージをより効果的に発揮して、映画では冒頭の
スローモーションで幻想的な情緒を醸し出すことに成功しています。

↓は『灰色のワルツ』 YOUTUBEより



ここでデュヴィヴィエについて少しだけ触れておきたいと思います。

ルネ・クレールが映像の天才詩人なら、このジュリアン・デュヴィヴィエはトーキーが産み出した大衆的な映像文学者でしょう。
サイレントによる純粋な映画芸術の終焉から トーキーにおける芸術の香り豊かな映像文芸の世界を確立した第一人者であり、
そのペシミズムから生まれる情熱と運命の図式化された人間ドラマは 芸術的ともいえる大衆文芸映像の頂点を極めました。
参考までに戦前におけるデュヴィヴィエの主要作品を並べておきます。
1930 『資本家ゴルダー』 David Golder
1932 『にんじん』 Poil De Carotte
1933 『モンパルナスの夜』 La Tete D'un Homme
1934 『商船ティナシチー』 Le Paquebot Tenacity
1934 『白き処女地』 Maria Chapdelaine
1935 『ゴルゴダの丘』  Golgotha
1935 『地の果てを行く』 La Bandera
1936 『我等の仲間』 La Belle Eqoipe
1937 『望郷』 Pepe-Le-Moko
1937 『舞踏会の手帖』 Un Carnet de Bal
1939 『旅路の果て』 La Fin Du Jour
1942 『運命の饗宴』(米) Tales of Manhattan
見事な名作ぞろいですね。





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