『また恋に堕ちて』 マレーネ・ディートリッヒ
”Ich bin von Kopf Bis fuss auf Liebe” Marlene Dietrich 【YOUTUBEより】
1930年制作、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督によるドイツ映画『嘆きの天使』の主題歌です。
この曲は『嘆きの天使』のために1930年にロベルト・リープマンが作詞、フリードリッヒ・ホレンダーが作曲したもので、
ディートリッヒが頽廃的に太腿をあらわにして唄う場面は、世界映画史に語り継がれる衝撃の名シーンとなりました。
男の運命を破滅させる魔性の女の誕生の瞬間です。
映画はハインリッヒ・マン原作の大衆小説の映画化で、アメリカですでに成功していたユダヤ人のスタンバーグ監督や
エミール・ヤニングスをドイツに連れ戻してドイツ・ウーファーがその社運をかけて作らせたもので、ドイツ映画の
トーキーの記念碑となりました。
スタンバーグは映画界ではほとんど無名に近いディートリッヒを起用、光と影の見事な映像と彼女の頽廃美によって
転落していく男の人生の心の深淵を抉り出すことに成功しています。
また、ディートリッヒのハスキーな劇中歌は観る者の心に残酷に刻まれ、そしてその魔性に魅了されていきました。
関連記事
2014-12-21 映画音楽史(315)『嘆きの天使』1931年公開