パンドラの箱を開けるとちむがいた

書くスピード早いですが、誤字脱字多し。

23~25冊目

2007-06-24 23:37:55 | Weblog
×23「男はちょっと硬派がいい」川北義則、三笠書房、2007

感想:
内容がしょぼい。硬派とか言う前に、男として小さいなと思う話が満載です。
人間としての器の小ささを感じさせる一冊です。



○24「系列」清水一行、集英社、1992

感想:
友人に勧められて読んだ、僕の嫌いな経済小説の類でしたが、
非常に面白い。実話に基づいているらしく、
小説の中に出てくる会社は以下の通り。

大成照明器・・・市光工業
東京自動車・・・日産自動車
日本産業銀行・・日本興業銀行
トドロキ自動車・・トヨタ自動車
その他、東京ラヂエーター、鬼怒川ゴムなど

市光のHPを調べましたが、いまはフランスのヴァレオの傘下にあり、
日産への売上は相変わらす高い比率にあるようです。
また、売上の伸びや利益の伸びも悪く、
日産に今でもかなり搾取されている感じを受けます。
さらに、日産と日本興業銀行出身の専務もおり、
この本の舞台である1987年当時と状況は
何も変わっていないようです。

本小説は、市光の同族企業になんとか日産から社長を
送り込んで、コストダウンさせるための駆け引きが
スリリングに書かれており。大変面白い。
日産は仕入先に対して態度がでかいので、さもありなん。という内容でした。

態度がでかいのは昔からの企業体質でしたが、ゴーン氏が社長になって、
仕入先4~5社以外はすべて資本関係を解消してから、
一時的にコストダウンは成功しましたが、
今は仕入先が見切って去っていってしまったのでジリ貧になっています。
仕入先の協力がないので、技術的にもパッとしませんし、
仕入先の再構築から、研究、製品化とつなげていくには、
最低でも3年~4年は必要なので、日産は今後数年は復活することはできません。

非常に面白い一冊です。



○25「下流喰い」須田慎一郎、ちくま新書、2006

感想:
須田氏はよくテレビでも見かけるジャーナリストで、
特に銀行たたきがマスゴミを中心に行われていた数年前には、
頻繁にテレビに出ていました。
彼の主張は決めうちが多く、一方的な側面から銀行を叩いていたので、
銀行関係者からは「何も知らんくせにしゃべるな」
という声が非常に多かった人物です。

ただ、彼の主張は当たっているところも多く、
銀行では経営陣批判はご法度のところを、代弁して言ってもらっているので、
そう言う意味では、一般の行員からは応援している人もいました。

今回のこの本は、本当に良くできていて、すばらしい。やはり、消費者金融を一方的に叩いていますが、
なるほどと思わすことが多い。武富士やプロミスといった大手の消費者金融と、
闇金は直接的ではないにしろ、システムとしてつながっていることや、
大手消費者金融が「資金需要者」がいるから貸すといっているが、これは、
大手より下の中小の消費者金融への借り換え資金も含む、つまり、一から
借金漬けにさせることを目的にしていることなど、
分かりやすく説明しています。

その外「市」の話や、大手からヤバイ金融に行けばいくほど店内は静かになることなど、大変面白い。

最近はお金にまつわる教育をしようと、証券会社などが、
投資セミナーまがいのことを小学生や中学生から教えようとしているが、
そんなことをするよりも、借金の話や、給料の範囲内での生活をすること、
困った時には消費者団体や弁護士に相談することを教えるなど、
投資を子どもに教えるくらいなら、お金の大切さを教育した方が良い。

また、CSRとか言いながら東大や京大、慶応、早稲田、などに金融セミナーを開催しているみずほも、
そんな明らかに就職活動とリンクさせたような気持ちの悪いCSRをしたり顔でやるよりも、
社会に出て必要なお金の話や住宅の購入などについて、
中堅以下の大学に教えた方がよほど社会のためになるし、CSRとも呼べるだろう。

まあ、たぶん彼らは自社の利益になることしかしたがらないし、
また自社の利益につなげないと自分の評価にも大きく響くので、
銀行にCSRを求めること自体ナンセンスだと思う。
もし本当にCSR削減に取り組むなら、支店長以下が周辺のごみ掃除を定期的に実施するべきだし、
地域との懇談会や、CO2削減のために空調を調整するなど行うだろう。

緻密に取材されており、須田氏の力作だと思う。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 21~22冊目 | トップ | 株主総会 »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事