パンドラの箱を開けるとちむがいた

書くスピード早いですが、誤字脱字多し。

読書感想文(サリンジャー)

2024-05-27 22:41:47 | Weblog
2013年5月25日(土)らしい。

・20世紀を代表する作家と言われて久しいJ・D・サリンジャーだが、僕は彼の口語体の文体が苦手で、
 今まで一度も読んだことが無かったというよりも、何度も1ページ目で挫折していた。最近になり、ある雑誌で
 「ナイン・ストーリーズ」が推薦されていたので、我慢して1ページ目、2ページ目と読み進めていた。

・サリンジャーは公に姿を現すことは滅多に無く、作品の発表も晩年は無いに等しく、謎や伝説に包まれた人物である
 と言われ、晩年は40年以上も作品を出さずに、隠遁生活を送り2010年に亡くなった。それまでも、村上春樹が「ライ麦畑でつかまえて」
 を「キャッチャーインザライ」として邦訳して話題になったり(もちろん、サリンジャーの許可を得たらしく、さすが村上春樹だ~と感心した)、
 ライ麦畑の映画化を許さなかったり、僕が高校のときに仲の良い女の子が「大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-」を激賞してやたら
 勧めてきたり、と何かにつけ気になる作家ではあった。

・そもそも偏見があった。高校の時は文学部に行こうと思っていたが、最高峰はフランス文学、次にロシア、ドイツ、イギリス、という序列があり、
 アメリカ文学は正直いまいちだな~という感じがしていて、全然読んでいなかった。スタインベック、フォークナー、ヘミングウェイ、サリンジャー
 など定番の人たちも全然読んでいない。

・しかし、大学に入りフランス文学・哲学を少し勉強したが、非常にショボイことが判明。哲学だとドイツ一派には全然勝てないし、文学も中堅どころ
 ばかりで、大物はいない。ヘーゲルやカントに勝てる哲学者はフランスにはいないし、シェークスピアやダンテに勝てる作家はフランスにはいない。
 フランス哲学ならパスカル、ベルクソンあたり、文学ならバルザックあたりがせいぜい。ショボイというか中途半端。

・で、フランス文哲に失望してさっさと大学を辞めて違う大学に移って経済を勉強したが、やはり、文哲については何となく気になる存在。昨日まで
 アメリカ文学は歴史が無いし、軽いし、世俗的だしという感じがして、その最たる人がサリンジャーだった。と思っていたが、サリンジャーは半端なく凄かった。

・「なんじゃこりゃ!!」と思える作家はそうそういないが、サリンジャーには唖然とした。特に、 A Perfect Day for Bananafish。非常にアメリカ的で
 軽くて、世俗的だけど、文章の構成が凄すぎて、鳥肌ものだった。個人的には訳文は嫌いなんで、ドイツ文学はドイツ語で読むべきだし、フランス文学はフランス語
 で読むべきというポリシーがあるので、こと文学に関しては海外文学は読まないことにしているが(哲学は難し過ぎるから訳文を読む)、サリンジャーは邦訳で
 読んでもその技巧が凄いことは十分わかる。非常に精緻な文章構成でびっくりする。文学や絵画はレベルが高くなるほど隠された作者のコードを読む必要
 があるが(最近はそうでもないけど)、サリンジャーに関してはそれが見事に当てはまる。

・オッサンになって改めて読むとわかる滋味みたいなものかもしれんが、とりあえず、他の読んだことのないサリンジャーや、フォークナーとか英米文学もとりあえず
 邦訳で読んでみようと思った。幸い英語だから原書でもなんとか読めるし。
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