武蔵野つれづれ   第3の生活を自由人として

中国での体験記を記して参りましたが2012年の秋に帰国しましたので、これからは武蔵野での生活を徒然なるままに書きます。

第61話 泰山 中国最高の信仰の山 (世界複合遺産)

2012-09-07 22:59:01 | その他の中国都市

中国には信仰の対象の山として五岳がある。その中で最も重要とされるのが泰山である。皇帝は即位したとき、その正当性を示すために天地を祀る「封善の儀」を行うことが定められていた。その封善の儀が、この泰山と麓の岱廟で行われた。始皇帝以降72人の皇帝の儀が行われたというから、聖地である。

この泰山は、標高1545m。それほど高いわけではないが、麓からはほとんど直登の階段がついている。9km7412段というが、急勾配が途切れない。

   
[左]登山道の頂上。  [右]登山道。みんなしんどそう。

そんな霊験あらたかな山だから、是非登ろうと勇んでみたが、かなりしんどそう。「まあ外国人なのだから」と、自分で理屈をつけてロープウェイを利用することにした。


寺院はかなり絶壁の上にある。


碧霞祠

山上には山の神様の娘、碧霞を祀る碧霞祠があった。こんな山上にしては見事な建物である。
しかし、自然院の目的は、これではない。奥にある唐磨崖である。


唐磨崖。金色の碑が「紀泰山銘之碑」

書道史上、泰山は重要な意味を持つ。始皇帝は自らの功績を讃えた文章を石に刻ませて7つの名山に建立した。その一つが、ここ泰山刻石である。その後、いろいろな人が刻石した。字体も篆書・隷書・楷行草書さまざまである。その中で最も有名なものが玄宗皇帝(楊貴妃の亭主)が封善の儀を行った時に彫られた「紀泰山銘之碑」である。金色でひときわ目立つ。

中国は文字の国。いかにしてメッセージを多くの人に伝え、後世にも残るようにと腐心したのか。甲骨文、金文、帛書、木簡、竹簡 ・・・・ 紙が普及するまで、いろいろ工夫し材質に合せて字体も変化させてきた。自然院も書道を嗜む輩のはしくれであるからして、古人の思い入れを感じながら魅入った次第です。

 
[左] 「孔子小天下所」は、孔子が泰山に登った時に「泰山に登ると天下は何と小さいことか」と歎じたという故事を表す。
[右] 真ん中の石碑は無字碑と呼ばれ、何も書かれていない。あまりの眺めの美しさに言葉が出なかったからだという。ユーモアなのかマジなのか。2100年前、漢武帝時代の建立。
芭蕉の名句、「ああ松島や、松島や」にも通じるような。

この山の岩は泰山岩と呼ばれ、砂岩系(間違っていたらごめんなさい)で出来ている。表面に流紋を持ち風格があること、刻字のために表面を平らにするには丁度良い固さとを持っている。なるほど石刻場としては最適かなあと納得した。 

 
[左]ホテル入口に飾ってあった泰山石。この石ひとつで深山幽谷を思わせる風格がある。 
[右]「仙人橋」と呼ばれる石。自然の造形は時として面白いことをする。

 


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
先を越されました。 (tocchaca)
2012-09-15 23:22:05
泰山に行かれたんですね。先を越されてしまいました。
実は小生、山東省潍坊市に居ます。去年は長沙にいました。
実は自然院さんともお会いしているんです。去年の5月、烈士公園サイドの食堂で。日本から来たお客さんと一緒に食事をした時です。
またどこかでお会いするかもしれません。その時はよろしくお願いします。
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