「予もいづれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂白の思ひやまず (奥の細道:旅立ち)」
高校生の時に奥の細道を読んで以来、芭蕉の漂白の旅にずっと憧れていた。自分もいつかは漂白の旅に出ようと。男って皆そういう憧れをもつのではないかと思う ??
しかし今はフルタイムの仕事は終えたとはいえ、大学の仕事をしているのでまとまった休みは夏休みしが取れない。7月の最後の授業が終わるのを待って、スイス彷徨の旅に出た。往復のエアチケットと初日のチューリッヒのホテルのみ予約して日本を出国。あとは現地で天候と体調と気分次第で行先を決めるという気ままな風来坊ひとり旅。どのホテルでもWI-FIが通じるので必要な情報入手も手続きも簡単にできる。便利な世の中になったもんだ。山歩きと温泉三昧で浩然の気を養う。題して「奥の山道」3週間。
スイスはこれまで5回くらい来ているが、大体はレンタカーでまわっていた。今回は鉄道に徹することにした。飲めるので。ユングフラウ、ロイカーバード(温泉)、マッターホルンを経て氷河鉄道でサンモリッツ、さらにルッツェルンと廻った。どこへ行っても滞在中は快晴という幸運の連続。天気だけは運なので、天の采配に感謝。雄大な自然を心ゆくまで楽しむことができた。満足のゆく写真も撮れた。
今回の旅で気がついたこと、3点。
1.中国人が増えた。
ざっと見たところ、アルプス銀座では、欧州人4割・中国人4割・インド人1割・その他(日本人を含む)1割という感じ。土産物店などでは客の9割が中国人、店員も半分が中国人。けたたましく中国語が飛び交うのを聞くと、一体ここはどこの国?と戸惑うような店もある。昔はグリンデルバルドなどは日本語の看板も多かったが、今は中国語に書き換えられている。
中国人は団体ツアー中心で、トレッキングなどでは日本人の方がやや多い。日本と同じく、ツアーに飽き足らなくなった人がトレッキングなど体験型旅行に移行してゆく過程にあるのだろう。観光客は中国人は20~30代中心、日本人は60代中心なので、年齢を見れば中国人か日本人かの見分けはすぐにできる。
2.外国人を受け入れるシステムが完備されている。
スイスカード一枚あれば鉄道もロープウェイもそのまま乗れる(もしくは半額で)し、ホテル宿泊客は温泉やバスが無料になるカードを発行してくれるので、切符購入の煩わしさが少ない。支払いもクレジットカード機の仕様が標準化されているので、不慣れな外国人としては大いに助かる。
ただし物価が高い。(他の欧州国の2倍以上か?)完備された観光客受け入れシステムとホスピタリティの代償として受け入れるしかないが。
3.以前よりアルプスの雪が減った気がする。(感覚的な印象ではあるが。)
グリンデルバルドからの眺望。そびえ立つ岩山群の右端はアイガー3970m。
ユングフラウヨッホへ向かう登山電車
ユングフラウ山麓のトレッキング
フィストでのトレッキング。高く見える山はシュレットホルン4078m。欧州人は犬を連れてのんびり歩く。
バッハアルプ湖2265m。碧い湖水が印象的。
アルメントフーベルから三山を望む。手前からユングフラウ、メンヒ、アイガー
ラウターブルンネンの谷。朝のみ右側の岩壁に陽が当たる。右の滝は305m。
ロイカーバード温泉。背後に屏風岩がそびえ立つ。
ゲンミ峠 岩の節理が美しい
マッターホルン山麓をトレッキング 山道を歩いているトレッカーが小さく見える。
逆さマッターホルン リッフェル湖にて
グレイシャーパラダイスへ向かうロープウェイから。マッターホルンと氷河。幻想的な世界。
ゴルナーグラートから見たブライトホルンとゴルナー氷河。今が一番雪の少ない季節。9月になると初雪が降り始める。
ペレス氷河とベルニナアルプス3751m。サンモリッツから一時間列車に乗り、ロープウェイで展望台へ。