武蔵野つれづれ   第3の生活を自由人として

中国での体験記を記して参りましたが2012年の秋に帰国しましたので、これからは武蔵野での生活を徒然なるままに書きます。

第9話 江南の春 木蓮 菜の花

2010-03-21 22:46:33 | 上海
 今日は一気に春が来た。ここ上海は緯度的には鹿児島とほぼ同じだが、不思議なことに平均気温は東京と変わらない。むしろ風が強いぶん寒く感じられ、厳しいのが実感。
 それがようやく春景色になったので、付近の写真を撮ってみた。


 紫木蓮の並木(木蓮は花びらが厚く、いかにも中国の花という感じ)

 菜の花畑

 菜の花の柔らかい黄色が好きである。菜の花畑はそこらじゅうにある。あぜ道を歩くと菜の花独特の香りが充満している。子供の時に嗅いだ思いが蘇り、懐かしい感じがする。

  川一筋 菜種十里の宵月夜 母が生まれし国美しむ  与謝野晶子

 この歌は高校の時習った。50年経った今でも覚えているのは、母の故郷の徳島にも同じような景色があり、とりわけ印象深かったからである。(あの頃は多感だったからなあ!!)

 ここは長江(揚子江)の南。つまり「江南の春」そのもの。漢文の授業で習った事だけは覚えているが中身は忘れたので、調べてみた。以下の通りです。

 千里鶯啼いて緑紅に映ず 水村山郭 酒旗の風
  南朝 四百八十寺  多少の楼台煙雨の中
  花にうつろう鳥の声  風にゆらめく酒の旗
  伝え来れる寺でらの  鐘楼も煙る雨のなか  杜牧

 今あらためて読んでみると、ほのぼのとした大陸の春の長閑さが伝わってくる。漢詩もいいもんだ。今の高校では漢文はほとんど教えないとのこと。漢文やる暇があったら英語をということらしい。教育も実用本位というのでは、ちょっと寂しい気がする。50年経ってから授業を思い出す男もいるのだから。

 昨日、北京など北部で例年になく激しい黄砂嵐があったと当地のTVで報道していた。本日は日本でも黄砂の被害が相当出たとのこと。やはり日中は一衣帯水なのだ。
因みに、上海は黄砂の通り道から南にそれているので、黄砂被害はない。