君の方

夕方
涼しい　時
君の　方へ
寄せて
手　を
とって
重なる重なる
温かい　点　と　点
刻んだの
こんなところに　穴があいて
風が　通る
涼しい　時
夕方　
いっちゃわないで
答えを　連れて
誰かの　方へ

声 ＃1

聞いて
車の音
工場の音
河の流れる音
電話の音
歩く音
体が擦れる音
音としてのことばでしゃべる
意味なんか理解しなくても
伝わるはず

礼節

いつも電気をつけっぱなしで
怒られていた私
夢から覚めていたのに
また目を閉じて
終わりを始めさせたくない

始まりと終わりを区切る生活
誰かと誰かを区切る社会
こんにちはからさようならまで
何故始めさせてしまったんだろう
繰り返しがどんなに楽なことか

冗談をとばせ

本当らしい冗談
あなたのこと大嫌い
冗談らしい本当の話
あなたのこと大好き

たいしてかわらない
どちらにしても
勇気がないなら
冗談をとばせ
あなたは知ってる

息がつまる想いで

息がつまる想いで
心が窮屈だけど
つまらない毎日よりはマシ
泣きたいときには泣きなさいという
誰も呼吸は忘れない

傷と揺れ

心が痛むと
医師が動き
意志も動く
医師はあなたを癒そうと
あなたは誰かを傷つけようと
悲しい傷跡
母と子の関係の修復を
したい医師の意志が動く

ID

守り続けていくには
変え続けていかねばならぬ
人も知らないあんたを
教えることはできぬ

なんだか楽しくない

好きなことをし足りないんじゃない？

赤い陰気

誰かの影が長く伸びて
時は夜に傾いて
動物たちは血走る目で
一斉に駆け出してゆく
それは太陽を掴むため
それは空を赤く染めるため
逆から数えれば
今の位置は一体どの辺なんだろう
カウントダウンへの反抗
十まで数える前に
銃で撃て

I see for you

I see for you.
I can see for your life.