名言暴言直滑降

自作の詩や、いろんな人の名言暴言を紹介。

月によせて

2013-10-12 18:58:58 | た行 (自作の詩)
群雲が銀河を隠してしまわないように
星座を繋ぐ糸が綻ばないように
そして影がこれ以上伸びないように
僕たちは祈るしかなかった

十字路にくるといつも思いだすのです
旅の始まりの事を
あなたの生命と引き換えに
だれかの明日となり得るのなら
その道をたてて標にしよう
問い掛けのこたえもまた
問い掛けでおわるのなら
死は有限ではなく無限のものかもしれません
あるいは宇宙

空の目玉が砂漠を行くたびびとを見ている
砂漠にはあるんだ
十字路や、信号や、ビルや、廃墟や、橋や、学校
まるでさっきまでいた場所となんら変わりはないようだ
ただひとつ違うのは
見られているという意識

呼吸やまばたきひとつにとってみても
無意識ほど賢いものは無いよ
無償の光を体に浴びるほど
気持ちのよいものは無いよ
十二分に満たされたたびびとは
光の目をみつけて
美しいと漏らすだろう
僕たちは探していたのではなく
探されていたんだ

もっと近くで

2013-10-02 20:43:46 | ま行 (自作の詩)
なんだかとても遠くにいるみたいって思ったんです

喜びと悲しみ
そのちょうど半分ぐらいのところで
つまり何気に
何気なく、口走ったんです

可哀想

伝わらないと思いました
伝えようとは思いませんでしたし
伝えるべきではないと思いました

それは、迷い込んできた蜘蛛が
私の目に留まり
咄嗟に気持ち悪いと思った時のこと

恋人を呼びました

恋人は、
蜘蛛を押し潰しました

蜘蛛は何もしなかった
何も知らなかった
ただ私の一方的な嫌悪で
頼りがいのある恋人の手によって
排除されたのです

何も殺すことはないと思いました

そして口走ったんです

可哀想

そうしたら私達の距離が
なんだかとても遠くに感じました

わかりたい、より
わかって欲しいと思ってしまった時点で

もうもとには戻らないのかもしれません

命が消えること
思いが途絶えること
今日が終わること
音楽が止まって
ことばは消えて

どれも留まる永遠など無いという事実

そして分からない
分かり合えない
割り切れない関係性という距離を
紐解いて手繰り寄せる中にまた
愛はあるのだと

そう、思いたいのです

出来ることなら
消えていくこの言葉で
私は距離をはかりたい

可哀想
愛してる

そんな遠い言葉じゃ
あなたは生き返らないでしょ

私はあの日の蜘蛛です
見えない糸で二人をまた繋げたいのです

留まる永遠など無いという事実の向こう側へ

今日が昨日の明日だってことに、気がついたら

自分と違うものを
たやすく受け入れる心だけ持って
死にたいのです