名言暴言直滑降

自作の詩や、いろんな人の名言暴言を紹介。

未完

2018-07-07 12:55:28 | ま行 (自作の詩)
あなたはまだ小さいから、
一粒だけね。

と言って、てわたした甘夏

まだ梅雨も明けていない
たなばた

今夜はだれが
会いにきてくれるでしょうか

てるてる坊主にお願いしたから
短冊なんていらないわ

そんなによくばっちゃ
夏がはじまるまえに終わる気がして

ねえ
わたしはもうおとなかな
おかあさん

2017-02-28 09:13:46 | ま行 (自作の詩)
開けてもいない窓を閉じるとき
はじめて私はとびらをつくる

誰も風も入ってこれないように
固く重く頑丈にして
隙間という隙間を埋めて
中の光が漏れないように
守っている
何かを

だけど
ただ一つだけ小さな鍵穴を付けた

区切りながらもつながる
見せたいのに恥ずかしく
見たいのに恐い

家々の窓の明かりを
温もり
ということばで表すことに慣れてしまった社会が
親切というなまえで
閉じてもいない窓を開ける

自由の前には不自由があったのに
いつからかそれらは曖昧になり空気になり
あったことさえもなかったことになって
とてもきれいに
死んでいくのね

ちゃんとして、って
言えばよかった。

思いの強さだけが
そんな開かずの窓を開く鍵
なんて馬鹿みたいで
全然だめ


無力

2016-07-09 00:40:19 | ま行 (自作の詩)
尖っている

ある晴れた日
ざらついた地面
ダンスと聖杯の位置は間違っていない

腕を高く伸ばした少女が
風潮に引きづられていく様
ご馳走様でした
なんて言葉はきっと良くない

尖っている

他人に似たビル群はいつだって完成形で
時折激しい風を起こす
それは引力とはまた違う力

たてつくのね
ひどく乾いてしまうのね
だから求め続けていられるのね
答えの無いところまで
きっと行ける

果てる

その姿勢に完膚なきまで討たれよう

もっと近くで

2013-10-02 20:43:46 | ま行 (自作の詩)
なんだかとても遠くにいるみたいって思ったんです

喜びと悲しみ
そのちょうど半分ぐらいのところで
つまり何気に
何気なく、口走ったんです

可哀想

伝わらないと思いました
伝えようとは思いませんでしたし
伝えるべきではないと思いました

それは、迷い込んできた蜘蛛が
私の目に留まり
咄嗟に気持ち悪いと思った時のこと

恋人を呼びました

恋人は、
蜘蛛を押し潰しました

蜘蛛は何もしなかった
何も知らなかった
ただ私の一方的な嫌悪で
頼りがいのある恋人の手によって
排除されたのです

何も殺すことはないと思いました

そして口走ったんです

可哀想

そうしたら私達の距離が
なんだかとても遠くに感じました

わかりたい、より
わかって欲しいと思ってしまった時点で

もうもとには戻らないのかもしれません

命が消えること
思いが途絶えること
今日が終わること
音楽が止まって
ことばは消えて

どれも留まる永遠など無いという事実

そして分からない
分かり合えない
割り切れない関係性という距離を
紐解いて手繰り寄せる中にまた
愛はあるのだと

そう、思いたいのです

出来ることなら
消えていくこの言葉で
私は距離をはかりたい

可哀想
愛してる

そんな遠い言葉じゃ
あなたは生き返らないでしょ

私はあの日の蜘蛛です
見えない糸で二人をまた繋げたいのです

留まる永遠など無いという事実の向こう側へ

今日が昨日の明日だってことに、気がついたら

自分と違うものを
たやすく受け入れる心だけ持って
死にたいのです

明白

2013-06-02 05:31:55 | ま行 (自作の詩)
今日から明日までの距離が
どきどきの数で測れるなら
左胸に聞いてみたい

夏から秋までの距離が
空の色で測れるなら
あの鳥に答えてほしい

君から僕までの距離が
ことばの数で測れるなら
記憶を巻き戻したい

世界よ
小さな世界よ
人ひとり不安にさせるだけで
こんなにもおびえてしまう
落ちてゆく夜は僕の心だ
凍える冬は僕の心だ
僕の心
遠い沈黙の彼方

海に
忘れられた命がある
それは
今日にならなかった明日
明日になれなかった今日
今になれない過去
閉じられたままで
開かない箱
飲み込んだ言葉
押し込めた気持ち
ぐるぐる渦巻いて
寄せては返す
波のように
時には穏やかに
ただ広がる


海にある
忘れられた命を
何人に開け渡せば
世界は終わるのだろう

世界よ
小さな世界

少しだけ
知っている事がある
涙を数えたら
海ができる
ほんとだよ

魔女狩り

2013-04-13 18:25:44 | ま行 (自作の詩)
夜は暗くて
元気は明るい
雨は寂しくて
一人は不安
人は生きなきゃだめなんだって

ちがうの ちがうの
何を言ってもそう答えるから
誰もわたしとは話したがらなくなってしまった

いつも唱える魔法を間違えてしまう
現代に生を受けた落ちこぼれの魔法使いは
夢と希望をふりまくどころか
人々を嫌悪の波に飲み込ませ
ついには馬鹿や精神異常のレッテルを貼られ
特別扱い

挨拶は頭を下げて
きれいなものを選んで
愛は性器を組み合わせる
人は人を殺しちゃだめなんだって

見たままを口にすることはやめようと
少しは学んで
その通りだ と にっこり笑ったら
溶け込めた魔法使い
正解の魔法を唱えると
人間になってしまって
その他大勢になってしまった

特別が恋しくなったから
また間違いを犯したくなるけれど
人間になってしまったから
勇気が出ない

知識を得るって 
用意された正解ばかりをみつけること
人に喜ばれましょう
仕事が経済をまわしている
経済をまわす人を量産している社会に
立ち向かえるのは 文化しかない

わたしは人間のやり方で
魔法を唱えることにする