湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

雲からはぐれた雨粒は‥

2018-01-09 15:40:59 | ポエム
雲からはぐれた雨粒ひとつ
私の頬に落ちてきた

地面ばかりを眺めていたから
その頬の水滴は
ポロリと土へと帰っていった

私は空を見上げたけれど
思い当たる雲などなくて

探せども探せども
遠くに見える雲ばかり

はらはらと

一粒の涙は
二粒の涙を連れてきた


二粒の涙は
沢山の涙を連れてやってきた


私はただ
あのしわがれたカサカサの
大きな手を思い出しただけなのに


最後の最後まで
繋いで離さなかった大きな手のひら


なんてことはない


ただ思い出しただけなのに


もう二度とその手のひらと
重ね合わすことはできない


昔々
船を操っていたせいか
雲の流れでお天気を読むのが得意だった人のこと






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