共通番号制度 86%が懸念 国民一人一人に番号を割り振る「共通番号制度」について、内閣府が行った世論調査で、個人情報の漏えいによるプライバシー侵害など、何らかの懸念を感じていると答えた人は、86%に上りました。 (中略)個人情報に関して、最も不安に思うことを聞いたところ、「特にない」と答えた人は11%だったのに対し、「個人情報の漏えいによる、プライバシー侵害のおそれがある」が41%、「情報の不正利用により被害に遭うおそれがある」が32%、「国により個人情報が一元管理され、監視されるおそれがある」が13%で、何らかの懸念を感じていると答えた人は、86%に上りました。これについて内閣府は「制度を導入する際は、情報の不正利用などへの罰則を設け、政府から独立した第三者機関の監視も行うことにしているが、国民の不安を解消するための活動を強化したい」と話しています。 (NHKニュース・1月28日 17時17分) |
わが政府と内閣府は第一に自覚が足りないと思う。ことはプライバシーの問題なのである。この手のことで「罰則」だの「第三者機関の監視」などを言っても何の意味もないのである。個々の国民が自分自身の個人情報を完全に自分の管理下に置き、また制御できるような制度であるのかどうかが問われているのである。罰則にしろ監視にしろ個人情報の自己管理と制御を保証するものでは少しもない。それは、ほんのすこし理屈で考えてみれば中学生でも判りそうなことである。
政府がどうしてもこの種の制度を導入したいのだったら(実際、まったく事務的な効率という観点でだけ言えば、それは政府と国民の双方にとってメリットのある制度である)、上の題名にある通り、共通番号に強度の匿名性を持たせた制度を案出すべきなのである。細かいことを書くのは面倒くさいから書かないが、実用上十分な匿名性を確保できる制度は技術的に可能である。導入と維持のコストはほとんど変わらないはずである。
逆に言えば、そんな技術はその筋の専門家に訊けば、それが可能か不可能かは直ちに答えてくれるわけである。匿名性を付与せずに共通番号制度を導入するとか、その上に罰則だの監視だのと物騒なことを言っている、そのこと自体が、この制度の導入に関する政府の真の動機を(少なくともわたしに)疑わせるものである。