先日カクテルバー・ネマニャに、カナダやロンドンのフレア修行から帰国したフレア・バーテンダー小野 友輔(ユースケ)さんがご来店されました!
ユースケさんは、九州大会で2度の優勝後、2013年の全国大会オープン戦「FLAIR BARTENDER COMPETITION in HARD ROCK CAFE」で優勝、その後カナダに渡り、「T.F.L FLAIR COMPETITION CANADA」をはじめとするカナダ大会で4度優勝を獲得!
帰国後、注目されているフレア・バーテンダーです!
お話を伺ってみました。
北條:「フレア歴は何年になられますか?」
小野:「2009年から始めたので約5年です。」
北條:「フレアをはじめられたきっかけは何ですか?」
小野:「23歳の夏にフレアと出会いました。当時、僕は電車の運転士をしていたのですが同僚から映画の『カクテル』を勧められて何となく観たのがきっかけです。その頃既にバーテンダーに関心があったので フレアバーテンダー の存在を知って、何かがバチッとハマった気がしました。初めは趣味感覚で 特技の一つになればいいなぁ と思っていましたが、気付いた時にはフレア中心の生活を送っていました。気持ちが趣味の枠を越えてしまったので フレアに懸けて脱サラするのか、二足のわらじで続けて行くべきかとても迷いました。迷った結果、会社を辞め フレアバーテンダー の道を歩む事に決めました。そこで最も重要視した事は、 死ぬ間際の達成感を想像して後悔の無い選択をする ということでした。」
北條:「海外で優秀な成績を収められての帰国でしたが、カナダやロンドンでのフレアの練習は毎日何時間されていましたか?また現在の練習時間どれくらいですか?」
小野:「カナダやロンドンではフレア・スタジオに通って毎日6時間くらい練習していました。
練習環境は海外にいる間いつも整っていたので練習場ではフレア馬鹿な人達と毎日顔を合わせて、技や大会の情報交換をしていました。どこも多国籍だったので英語はもとより他国語を教わる良い機会にもなりました。特にロンドンでは、ロードハウスのグランドファイナル出場を目指して狂気的に練習に励むトップ選手たちの姿に刺激を受けました。そこでハングリー精神がかなり鍛えられたと思います。今の練習時間は実質2時間くらいです。」
北條:「フレアでの失敗談などありますか?」
小野:「失敗談というかヒヤッとした事で言うなら、初めてロードハウスに出場した時に忘れ物をしてしまいました。忘れたものは レシピ表 で、予め大会のWebサイトからダウンロードして印刷した上、カクテルレシピやメイキングの方法等を記入し演技前に審査員に提出するものなのですが、そもそもWeb上の大会ルールをしっかり読んでいなかったので、会場で皆がレシピ表を持っているのに気付いた時は ヤバい と思いました。
皆に訊いて回っても誰も予備の用紙を持っておらず、自身の演技時間ギリギリまでレシピ表の調達にバタバタして焦りました。同様に知らなかった他国の選手が一人居ましたが、とても諦めが早くレシピ不提出でガッツリ減点されていました。それからは海外の大会に出る時にはルールが英文でも面倒臭がらずにちゃんと翻訳をしようと思いました。」
北條:「フレアをしていて良かった事などありましたか?」
小野:「良い意味で 暇な時間 が無くなった事です。時間が空いた時はここぞとばかりに練習をしています。次の大会やショーに向けて新しい事を企んだりする時間も、常に頭を使っていて人生に張りが出たと思います。夢中になれるモノに出逢えて良かったです。」
北條:「好きなフレアバーテンダーや尊敬するフレアバーテンダーはいらっしますか?」
小野:「好きなフレアバーテンダーは、ダンス要素の入ったスタイリッシュなフレアをする Andrea Fiore氏 や、基礎能力が非常に高く独自性があって面白いVladymyr Buryanov氏です。尊敬するフレアバーテンダーは、Kojiさんです。オリジナリティ溢れる演技、演者としての立ち振る舞いやフレア以前に人としての考え方などで色々と教わる事が多いです。」
北條:「海外の大会で優勝するまでの苦労したお話しなどありましたら教えてください。」
小野:「何事も準備次第で結果はほぼ決まると思っているので、海外で大会に臨むにあたって準備には何よりも労力を費やしました。大会で使用する変わった指定ボトルの確保や練習用ボトルの収集は毎度苦戦しました。これはBarや酒屋を回って地道に集めていました。練習スタジオでは日々の場所取りがあり基本的に早い者勝ちで、本番用カウンターは数が限られていたので、大会前は特に激戦だったので朝早くから通っていました。あとは、大会によってはルールの発表が遅く当日のルール変更もよくあり、日本ではまず有り得ませんが大会自体のドタキャンなどもありました。また、大会で優勝や入賞した時の副賞がデカ過ぎて家に持って帰れなかったり、日本にも送れなかったりする事が何度かあり、そんな時はお客さんにあげていました。物より思い出ですね。とにかく海外の大会は全てが初めての経験ばかりだったので、毎度アドレナリンが噴出していました。」
北條:「今後の目標がありましたらお聞かせ下さい。」
小野:「まずはオーセンティックとフレア を両立させる為、クラシックのカクテル技術をしっかり学ぶことが当面の課題です。 そしてこれからのエンターテイメントシーンにフレアをもっと浸透させられるよう貢献していきたいです。パフォーマンス面では、フレアに色々なモノを組み合わせて新しいジャンルを創ろうと思っています。また、長いスパンでの野望は勿論 ロードハウスのグランドファイナルに出場して優勝する事です。一生青春 一生勉強をモットーにこれからも日々新しい事に挑戦して行こうと思います。」
北條:「貴重なお話ありがとうございました。」
※まずは次に出場するフレア大会はとても楽しみにしております。クラシックなバーテンダーのカクテル技術の習得も頑張って下さい。良いお店で働けると良いですね。