じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

ひとやすみできる幸せ。

2006-07-20 17:04:20 | きゅうけい
じいたんと二人、ばあたんの病院へ行ったその帰り道、
今日は、最寄り駅のひとつ手前でじいと別れた。

ばあたんの症状の悪化に伴い、色々考えることも増え
加えてじいたんのことも考えていたら頭がオーバーヒート。

だからどうしても、ひとりでぼんやりしたかったのだ。

さいわい今日はじいは、あまり疲れていない。
駅から自宅までは慣れた道だし、
携帯(そして名前などを書いた小さな札)をこっそり持たせてあるので
まず心配はないだろう。

じいたんは、快く「行っておいで」といってくれた。


駅の改札を抜けるとき、ふと、
祖母を自宅で介護していた去年の今頃までは、
こんな気ままなこともワンシーズンに一回できたかどうかだった
そんなことを思い出した。

一人で元気に帰宅してくれたじいたんに、心から感謝する。


駅の外へ出て、
頭をすっきりさせたい時に立ち寄ることにしている、
とあるカフェへ向かう。

途中、気に入りの本を持ち歩いていたにもかかわらず、
つい本屋へと足が向いてしまった。

そして、白いシャツを一枚買い足そうと取ってあったお金は、
あっというまに本に化けた(これでも数はかなり絞ったつもり)。



少し頭が疲れたなあと感じたときに
すぐ、こんな時間をぱぱっと確保できるって、
なんて素敵なんだろう。

それなりに課題も悩みもあるにせよ、
とりあえずは平和であるという証拠だ。

以前はわからなかったこと。

介護生活を経た今だからこそ、少しはわかるようになったのかもしれない。
以前よりもうんと、こういった時間を味わい尽くせている気がする。


そんなことをあれこれ思うと、
ちょっと目頭がツンときてしまうくらい、幸せ。

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