カナディアンロッキーで暮らす

カナディアンロッキーで暮らす茶道とカルトナージュ愛好家の日々

パン焼きに熱中

2021-03-10 09:53:22 | 出たっきり邦人・メールマガジン

No.205


こんにちは、いかがお過ごしですか?
3月を迎え、夜明けが段々早くなり一日が長くなっていくのを感じます。
3月14日からDaylight Saving(夏時間)も始まり、大袈裟に言えば
長らく寒さの中で縮こまっていた体が春の陽ざしを浴びて一気に解き放
たれるような気分です。マイナス37℃が今冬の最も寒かった日の気温で
さすがに寒波が去るまでの1週間は外出を避けてお籠生活でした。

というわけで、本日のタイトルにした「パン焼き」は、極寒の中、家で
過ごしている間に一生懸命チャレンジしたことのひとつでした。以前から
お菓子作りは好きだったので日本で習って自己流にアレンジしてマイ
レシピもたくさん持っていますが、パンは皆さんご存知のように日本は
どこに行っても美味しいべーカリーが軒並み。私が20余年暮らした京都
はその中でもパンの激戦区と言われる街したから、フレンチ、ジャーマン
イタリアン、昔懐かしいパン屋さん、とニーズに合わせて買いに行ける=
自分でパンを焼く必要なし、でした。

カナダに来てから、時々ふわっ&もっちっとした食パンが食べたいなぁ〜と
思うことはありましたが、私の暮らすキャンモアは田舎町にしてはいつも
焼き立てバゲットやペストリーが買えるフレンチベーカリー、ベーグルの
専門店があり、こちらではパンは主食のようなものですからスーパーでも
イタリアンブレッド、マフィンやクランペットといった英国好み、南米系
のピタパンなど多種多様なパンを買うことができて、それほど不自由は感
じていませんでした。

夫は以前から厚切り食パンが食べたいと言っていたので、カルガリーの友人
が自宅で日本風の角食パンを焼いているという話を聞き、お願いしてみたら
直接レクチャーしていただけることになりました。パンは旦那様の方が研究
熱心で当日は3斤分の生地から1.5斤の角食パンと6つのあんパン、4つ
のコッペパンと、同じ生地を使っての作り方を丁寧に実演しながら教えてく
ださいました。

発酵時間を利用して、前日焼いたという角食パンのサンドイッチ、奥様お得意
のスープやサラダ、デザートをごちそうになって、どれもかなり繊細で手を
かけてあることに驚くやら嬉しいやら!こちらに来てからは、パーティーなど
で大皿に盛られた料理や、ポットラックのお料理を戴く機会が多く、ご夫妻の
繊細なおもてなしは日本に帰ってお料理好きな友人宅に招かれている…と錯覚
するようでした。

スイーツや料理はYouTubeの動画で作り方を見て参考にすることも多いのですが
実際にパン生地の発酵具合を見ながら成型していく行程をすべて見させて戴き
とてもよくわかりました。せっかくの作り方を忘れないように、早速、蓋つきの
食パン型をネットで購入、1週間後から自宅で作り始めました。
第一作目は、ちょっと2次発酵させ過ぎたのか、焼いているあいだに蓋の隙間
から少し生地があふれ出てしまったのですが、ふわっ&もちっと感のあるパンに
なっていたので、すっかり気を良くして、その後2度続けて焼きました。

3度目にやっと完ぺきっ!と言える焼き上がりになり、師匠である友人に画像を
送ると「3度目で完璧とは優秀だ!私はもっと試したよ」と褒めてもらいました。
それは彼が何度も何度も焼いて、やっと完成したレシピを教えてくれたのです
から当然なのです。ふわっ&もちっの秘訣は「湯種」です。湯種とは粉に熱湯を
加えてよく混ぜ12時間ほど置いて糊化させたもので、食感が良くなるのと老化
(パサつき)も防ぐのです。

我が家のオーブンだと、395F°で35分にセットしますが、20分くらい経つ
と部屋中に(我が家はオープンキッチンなのでダイニングとリビングも繋がって
います)パンの焼ける香ばし匂いが充満してきます。美味しい匂いは幸せを感じ
る効果やストレス軽減効果もあると何かの本で読んだことがあります。

夫の持病(糖尿病)を考えて、粉はWhole-wheat50%にして焼くようにしました。
湯種を入れれば、ほんの少し発酵に時間を要するのですが、焼きあがった食感は
白い強力粉だけで焼くのと変わりありません。発酵から焼き上がりまで3時間近く
かかりますが、お陰で極寒の日々を「パン焼き」で十分楽しむことができました。
3度目以降ほぼ失敗なく焼くことができたので、年末年始はささやかなプレゼント
としてご近所やバンフの友人達にも配りました。

1月下旬〜2月初旬になると、マーマレードを作るためのセヴィルオレンジが出回
る季節です。イタリア原産のオレンジですが、カナダで手に入るのはカリフォルニ
ア産の物で、バンフの友人がイギリス生まれの老婦人から教えてもらったレシピで
作り始め、もうかれこれ10年前に私にも作ってみないかとレシピが回ってきたの
です。今年もバンフの友人が「箱買い」してくれたオレンジを分けて戴きました。

夏のハックルベリーやイチゴのジャム、冬のオレンジマーマレード作りが、私の
カナダ生活の中では大変重要なイベントになっています。それを自分で焼いたパン
にのせて戴くときの幸福感は半端ではありません。たぶん日本で暮らしているとき
だったら、ハロッズの美味しいマーマレードが買えるだろうし、こんな気持ちは味
わえなかっただろうと…。

良い事ばかりではなく、苦労やストレスを感じることも多い海外生活ですが、反面
ここでしか味わえないものが沢山あるとポジティブに受け止め、どこで暮そうと
自分のアイデンティティは「日本」であることを誇りに感じて、移民大国のカナダ
の中で異文化交流を体験し楽しみながら過ごしたいと思っています。

近々、地元のNPO団体Bow Valley Food Allianceから日本料理を紹介してほしいと
頼まれ、「ちらし寿司」を紹介することになっています。作るところから試食まで
映像も撮るそうで、昨年秋に依頼されたのですが、COVID-19でどんどん延期になっ
てやっと実現することになりました。いや、突然クルーに陽性者が出たりしたら
また延期になる可能性もありますが、ここ数日、寿司好きの夫は色んな盛り付けの
ちらし寿司を食べさせられるので、血糖値が上がるかも?とぼやきながらも嬉し
そうです。



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