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マッハの貴公子 C1Runner の熱~い日記でつ(¬_,¬)b フフフ・・・

マッハの貴公子 天才タケスィが熱~く語るでつ( ̄ω ̄)ムフ~

CO2 フリー社会の実現に向けた水素燃焼ガスタービン なり~

2018-12-17 23:29:19 | ガスタービン
ガスタービン複合発電(以下,GTCC)はそのクリーンかつ高効率な特性から,現在,発電に占める割合が大きくなっているでつ。
そのため CO2 フリー社会の実現には,発電用大型ガスタービンに おける水素の大規模利用が重要。
天然ガスと水素の混焼方式と 水素専焼方式の大型ガスタービンの開発を進めてるでつ。

現在,水素 30vol%の混焼試験に成功。
さらに,水素のエネルギーキャリアの一つとして有望なアンモニアのGTCCでの利用につ いても研究を開始。

また,ヨーロッパにおける GTCC プラントの水素焚き転換プロジェクトにも参画。
これらの活動を通して,水素の供 給・輸送・貯蔵に関する国際的な水素サプライチェーン構築を牽引し,水素社会の実現に貢献するでつ。




1980 年代からの電力需要の急激な増加に対応するために,燃料に天然ガス/LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)を用いたGTCCが注目されたでつ。
これまで大容量・高効率化が進められ てきたでつ。

GTCCは化石燃料を使用する火力発電方式の中で最もクリーン,かつ高効率な設備。
日本の一次エネルギーの主な変換先は電力で,全体の実に 43%を占めるでつ。

その中で,火力 発電による電力供給割合は 85%にも及ぶ(2015 年現在)。

このため GTCC は,今後も旺盛なエネ ルギー需要に対応する一方で,資源の有効利用や低炭素社会の実現のために,
より一層の CO2 削減が求められているでつ。
日本では低炭素社会に向けた水素基本戦略として,2030 年頃に水素発電の商用化を目指すことを掲げているでつ。

この先 10 年余りの短期間での商用化(技術開発から電力事業者への設備導 入)をより現実的に進めるため,既存のガスタービン設備を使い水素発電ができるシステムを考案。

このシステムは,ガスタービン用燃焼器以外の発電設備の大規模なリニューア ルを必要としないでつ。
そのため,水素転換へのコストのハードルを下げ,水素社会へのスムーズなシ フトを促すことが期待されるでつ。

現在,国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)にご支援をいただき,発電用大型ガスタービンにおいて,燃料の LNG に水素を 30%混ぜて
使用することができる燃焼器の開発に成功。

水素の燃焼により懸念される NOx の排出も,従来レベルに抑制できるでつ。
70 万 kW 相当(タービン入口の温度 1600℃の GTCC)の出力に対応できる技術で,従来のGTCCと比較し,発電時のCO2排出を約10%削減できるでつ。
これは,水素 社会構築のための大きな一歩。

ここでは、水素燃焼ガスタービンを軸とした,水素社会実現に向けた取組みを紹介するでつ。

国連気候変動枠組条約第 21 回締約国会議(COP21)で採択された“パリ協定”の温室効果ガス削減目標達成に向けた取組みが世界各国で始まり,
再生可能エネルギー(以下,再エネ)の導 入が加速。

図1に IEA(国際エネルギー機関)の報告書における,現在から2060年まで の世界の累計 CO2削減量の見通しを示すでつ。




再エネの利用による CO2削減量を全体の約3割と見 込んでいるでつ。
風力,太陽光,水力などの再エネによる発電は,気候・気象条件,昼夜などの時間帯によって 発電量が変動することや,
世界の各地域で発電量が偏在していることから,効率よく電力を利用 するために発送電システムの柔軟性と安定性が求められるでつ。

一方で,再エネを水素に変換し貯 蔵・輸送して利用することが,エネルギーの変動に対して有効であると考えられており,再エネの大規模発電地域から
離れた日本においても水素のサプライチェーンの構築とそれに関わる技術 開発が重要かつ,急務。

また,先の報告書では,天然ガスをはじめとする化石燃料の改質により製造される水素の利用が 2030 年頃から増え始め,2050 年までの累積 CO2削減量の 14%を担うことが見込まれているでつ。

製造時に大量に発生する CO2 を回収して地中に貯留する Carbon dioxide Capture and Storage (CCS)と合わせて,再エネ主体に移行する過渡期においては,
化石燃料の改質と CCS との組み合わせから製造される水素の利用技術も必要。

図2に示すように,これら再エネ由来/化石燃料由来の水素を最大活用し,強みの発電製品を水素バリューチェーンに適用することに取組んでいるでつ。




その中で発電用大型ガスタービ ンは,高効率で発電できるだけでなく,低純度な水素(製造コスト・技術のハードルが比較的低 い)が利用可能であり,大量かつ安定的な水素需要を生むでつ。
水素社会に向けて,インフラの拡 充,多様な利用方法を含んだ水素利用ビジョンが示される中で発電用大型ガスタービン の果たす役割は,今後より一層大きくなるものと考えられるでつ。

発電用大型ガスタービンは,これまで高効率化を図るために,タービン入口温度(燃焼温度)を 上昇させながら開発が進められたでつ。
燃焼温度の上昇により指数関数的に増加する NOx 排出量に 対応するため,当社の発電用大型ガスタービンに搭載される Dry Low NOx(DLN)燃焼器は予混合燃焼方式を採用。

予混合燃焼方式では燃料と空気をあらかじめ混合して燃焼器内に投入。
従来の拡散燃焼 方式に比べて火炎温度を均一にできるため,NOx低減用の蒸気や水噴射が不要で,サイクル効率の低下も生じないでつ。

一方で,安定燃焼範囲が狭く,燃焼振動や逆火(フラッシュバック)の発生リ スクがあり,未燃分も排出しやすい傾向があるでつ。
天然ガスと水素を混焼,あるいは水素専焼させた場合,燃料成分の変化により火炎の性質が 変化するでつ。
水素は天然ガスと比較して燃焼速度が高いため,天然ガスのみを燃焼させた場合と比 較して,逆火現象の発生リスクが高くなるでつ。

したがって,水素ガスタービン用の燃焼器は逆火発生 の防止に向けた改良を中心に,低 NOx 化や安定燃焼化を図り,商品性の向上(低コスト,長寿命 等)と
合わせて開発・実用化する必要があるでつ。

以下に,当社の水素混焼・専焼に対応する水素ガスタービン用燃焼器の開発状況について述べるでつ。
図3にそれらの概要を示すでつ。




水素混焼用 Dry Low NOx(DLN)マルチノズル燃焼器 水素混焼による逆火発生リスクの上昇を防ぐことを目的として,従来のDLN燃焼器をベースとして新たに開発した
水素混焼用燃焼器の概要を図4に示すでつ。




燃焼器内部に圧縮器から供給 された空気は,旋回翼(スワラー)を通過することで,旋回流となるでつ。
燃料は,スワラーの翼表面 に設けられた小さな孔より供給され,旋回流の効果で急速に周囲の空気と混合されるでつ。

一方, 旋回流の中心部(以下渦芯)には,流速の低い領域が存在することが明らかとなっているでつ。
旋回流中での逆火現象は,この渦芯に存在する流速の遅い部分を火炎が遡上することで発生す ると考えられるでつ。
新型燃焼器では渦芯の流速を上昇させるため,ノズルの先端から空気を噴射 することを特徴。

噴射された空気は,渦芯の低流速領域を補い,逆火の発生を防止 。

フルスケールの新型燃焼器1缶を使用した実機圧力下での燃焼試験を実施した結果,水素 30vol%を混合した条件においても NOx は運用可能な範囲内にあり,
逆火の発生や燃焼振動 の著しい上昇を伴わずに運用できる目途を得たでつ。

水素専焼用マルチクラスタ燃焼器は、図5に示すでつ。

水素がさらに高濃度になれば,逆火のリスクは高まるでつ。

水素混焼 DLN 燃焼器のように旋回流 を使って燃料と空気を混合させるには比較的大きな空間が必要であり,逆火のリスクが高くなるため,
狭い空間で短時間に混合させる必要があるでつ。

そこで,火炎を分散し,より細かく,小さく燃 料を吹き出す混合方式を考えたでつ。

従来の DLN 燃焼器の燃料供給ノズル(8本)に対して,より 数多くのノズルを有する図5のマルチクラスタ燃焼器をベースとして,1本のノズルの孔を小さくし,
空気を送るとともに,そこに水素を吹いて混合させる方式を採用。




旋回流を利用せず,より小さなスケールで空気と水素を混合でき,高い逆火耐性と低 NOx 燃焼が両立する可能性 を有しており,現在,燃料ノズル構造の基礎検討を進めているでつ 。
拡散燃焼器 拡散燃焼器は,燃料と燃焼用空気を別々に燃焼器内に噴射するでつ。

予混合燃焼方式に比べ て火炎温度が高い領域ができやすく NOx 発生量が増えるため,蒸気・水噴射による NOx低減 対策が必要になるでつ。

一方で,比較的,安定燃焼範囲が広く,燃料性状変動への許容範囲も大きいでつ。
拡散燃焼器を図6に示すでつ。




これまで,小型から中型のガスタービン発電設備においてオフガス(製油プラント等で発生する排ガス)の燃料利用により幅広い水素含有割合(~ 90vol%)の燃料に関する実績を有するとともに,
水素利用国際クリーンエネルギーシステム技 術研究開発(World Energy NET WORK(WE-NET))プロジェクトへの参画の際に,水素専焼 による燃焼試験にも成功。

アンモニア分解GTCCがあるでつなぁ~
発電用大型ガスタービンで必要となる大量の水素を安定に利用可能とするためには,水素の 製造・運搬・貯蔵等を担うサプライチェーンが構築されることが前提になるでつ。

水素の運搬・貯蔵に 関しては,水素を液化して運搬・貯蔵する方法だけでなく,アンモニアや有機ハイドライド等のエ ネルギーキャリアを活用することが水素基本戦略で提示されているでつ。
2017年度から内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に参画して,アンモニ アをエネルギーキャリアとしたガスタービンシステムの検討を実施。

アンモニアは,液化水 素の 1.5 倍の体積水素密度を有しており,液化石油ガスなどの既存の運搬・貯蔵インフラを転用 可能である等の特徴があるでつ。
同プログラムでは,アンモニアを燃料としてマイクロガスタービン(3)及 び小型ガスタービンで直接燃焼させる研究がなされているでつが,大型ガスタービンに適用するには
表1に示す課題があるでつ。




そこで,図7に示すように,アンモニアを熱分解して水素に変換 し,ガスタービンで燃焼させるシステムを検討。





分解反応を起こすためには,アンモニア を触媒接触下で高温に加熱しつつ,原料アンモニア1モルあたり 46 kJ/mol の反応熱の投入が必 要となるでつが,
この反応熱は生成する水素の発熱量増加(化学再生)になるため,原理的な効率低下はないでつ。

原料アンモニアを分解させる際に残留する微量の残留アンモニアが燃焼器での NOx 生成の原因となるため,残留アンモニアの量を低減できる分解装置の機器構成,
分解触媒の選定等を同プログラムで進めているでつ。

本システムには表2に示すように,高効率かつ大容量なGTCCシステムに対して比較的少ない 改造で適用できる特徴があり,CO2 フリーアンモニアを用いることにより,
大量の CO2 削減に寄与 することができるでつ。

本システムを適用することにより,現在開発中のガスタービン用水素燃焼器を活用できるだけでなく,開発したアンモニア分解装置は汎用的な水素サプライチェーンの構成機器として
活用することが可能。

海外では,例えば,化石燃料由来の水素製造時に発生する CO2を CCS によって処理するシス テムなど,水素供給の段階から輸送,貯蔵そして利用までを視野に
入れた包括的な水素利用プランが示されているでつ。
特にヨーロッパでは既存の天然ガスパイプラインが発達しているという利点もあり,国境を越えた総合インフラとして,水素活用のプロジェクトが進められているでつ。

その中で,オランダのエネルギー企業であるヌオン社(N.V. Nuon)が運営する出力 132 万 kW 級の天然ガス焚きガスタービン複合発電(GTCC)を水素焚きに転換するプロジェクトに参画。

同プロジェクトは,図8に示すオランダ最北部のフローニンゲン(Groningen)州に位 置するヌオン・マグナム(Nuon Magnum)発電所に,納入した M701F 形ガスタービンを中核とする
発電設備3系列のうち1系列を 2023 年までに100%水素専焼の発電設備へと切り替えるも のであり,これまでに初期フィージビリティスタディー(FS:実現可能性調査)を実施。

既存技 術である拡散燃焼器の適用を検討し,水素燃焼への転換が可能であることを確認。
天然ガス 焚きでは 44 万 kW の GTCC 発電設備1系列につき年間約 130 万トンの CO2 を排出するでつが,水素焚きへの転換によりそのほとんどを削減することができるでつ。

引き続きガスタービン技術領域 での FS を担当し,具体的な改造範囲の計画等,同プロジェクトの実現に向けて協力を続けるでつ。




本報の記載した内容は,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の“水素社 会構築技術開発事業”の成果の一部。
同助成事業において水素・天然ガス混晶方式のガ スタービンの燃焼器の開発に取り組み,30vol%の混焼条件においてガスタービンの運転が可能な目途を得たでつ。
引き続き,水素専焼方式の開発を進めているでつ。

また,本報の第4章に記載した内容は,内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)“エ ネルギーキャリア”(管理法人:JST)の成果の一部。
同研究により,水素のエネルギーキャリ アの一つとして有望なアンモニアを利用したアンモニア分解 GTCC システムの開発を開始。

2050 年の再エネによる世界的な CO2 フリーの水素社会に向けて,また,その移行期における CCS を組み合わせた化石燃料由来の水素利用において,水素燃焼ガスタービンの果たす役割は大きいでつ。
今後も,大量かつ安定的な水素需要を生む水素発電で,国際的な水素サプラ イチェーンの構築を牽引し,CO2 フリーの水素社会に貢献する所存でつ。
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