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マッハの貴公子 C1Runner の熱~い日記でつ(¬_,¬)b フフフ・・・

マッハの貴公子 天才タケスィが熱~く語るでつ( ̄ω ̄)ムフ~

微粉バイオマス専焼技術を適用した カーボンニュートラルな発電システムへの取り組み

2020-06-25 21:33:33 | ガスタービン
昨今,地球温暖化への関心の高まりとともに,脱炭素,低炭素化に寄与する再生可能エネルギ ーの利用が世界的に拡大しているでつ。

この再生可能エネルギーの中でも,バイオマス発電は大容 量かつ安定した調整電源としての役割を担うことができ,カーボンニュートラルの観点から火力発 電所の CO2 排出量低減にも寄与することができるでつ。

高バイオマス混焼率の微粉炭焚発電システムの開発・実機での検証を経て,バイオマス専焼 時のボイラでの粉砕性/燃焼性/灰付着性に配慮した,高効率な微粉バイオマス専焼発電システ ムを開発。

本システムは,新設火力発電所への適用のみならず,既設石炭焚き火力発電 所へも大幅な設備改造なく適用可能な技術となっているでつ。





2015 年の気候変動枠組条約第 21 回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定において, 今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質的にゼロ(人為的な排出と吸収を同じにする=ネット ゼロ)にすることが目標として定められたでつ。

これにより,世界的に脱炭素,低炭素化に寄与する再 生可能エネルギー普及の動きが高まっているでつ。

中でも木質バイオマス燃料を利用した発電システ ムは,他の再生可能エネルギーと比較し,大容量かつ気候変動の影響を受けないロバストな電源 としての役割を担うことが可能であり,重要な電源として位置づけられているでつ。

このバイオマ ス発電において,従来の中規模出力容量(75MW~112MW)のバイオマス焚ボイラの主流である CFB(循環流動層)ボイラと比較して,高効率(蒸気条件の高温高圧化),低所内動力,高稼働率 が達成可能な微粉直接燃焼方式によるバイオマス発電システムを開発。

この微粉 バイオマス専焼発電システムの開発経緯や特徴を記載するでつ。
従来,繊維質が多く含まれるバイオマス燃料を微粉炭機(ミル)で粉砕することは困難,という認 識により,バイオマス燃料をボイラで使用するケースにおいては,ミルでの粉砕を必要としない CFB ボイラ等に適用型式が限定されてきたでつ。

だけど,CFB ボイラの場合,運転中の循環材の適正 な管理や炉壁,伝熱管への摩耗・減肉対策が必要となり,その補修費用・期間の観点からメンテ ナンスにかかる負担が大きいでつ。

また,CFB ボイラの特徴上,ボイラ火炉の必要圧力が大きく,風煙 道系の補機動力が大きくなる傾向にあるでつ。

一方,微粉直接燃焼方式を適用した中規模容量ボイラは,運転管理やメンテナンスが比較的容易かつ高効率。

このため,当社は,バイオマス燃 料の中でも原料を細かく破砕し,水分調整された後に圧縮成形された木質ペレットを対象としたでつ,

微粉直接燃焼方式によるバイオマス専焼ボイラの開発に取り組んできたでつ。

以下に,その主要技術 である燃焼システムと,バイオマス燃料をボイラで燃焼する上で重要となる灰付着抑制技術につ いて下記に示すでつ。

微粉バイオマス燃焼システムの確立 従来の微粉炭焚ボイラから大幅な機器仕様の変更を行わずに,各運転パラメータを調整す ることで,バイオマス専焼に対しても高い信頼性と燃焼効率を確保することが可能な微粉バイ オマス燃焼システムの開発。

微粉バイオマス燃焼システムの概要を図1に示すでつ




木質ペレットは,従来の竪型ミルで石炭粉砕時と同等の粒径(75μm 程度)まで粉砕すると, ミルの差圧や所要動力が大幅に増加。

これは,バイオマス燃料は繊維質が残存し,粉砕 性が石炭に比べて劣るためであり,経済性を考慮すると木質ペレットの粉砕後粒径は~1mm 程度が適正。

だけど,ペレット粉砕後の粒径は従来の微粉炭と比べて粗いため,ミ ル出口からのバイオマス粒子の排出性低下,及びバイオマスの着火安定性や燃焼効率の確保が微粉バイオマス専焼に向けた大きな課題。

そこで,ミル出口からのバイオマス粒子の排出性を改善するために,搬送空気量(1次空気 量)を従来の石炭焚と比べて増やし,ミル内の空塔速度を増加。

実際に,木質ペレットを 適正な粒径まで粉砕(解砕),微粉粒子として安定的に排出可能であることをテストミル にて検証することに成功。

また,実機においても従来の石炭専用粉砕ミルからの構造の設計 変更を行わずに,安定して連続運転できることを確認。

また,粉砕後の粒径が粗いバイオマス粒子の着火安定性や燃焼効率確保の課題に対しては,旋回燃焼(CUF:Circular Ultra Firing)方式を採用することで解決を図ったでつ。

本方式は,バ ーナから火炉中心へ微粉粒子と空気を噴射し,火炉内に旋回する渦状火炎を形成することで,燃料/空気の混合が良好となり,バイオマス燃料の高効率燃焼を促進でつ。

適用したバーナは石炭焚で実績豊富な低 NOx バーナ(M-PM バーナ)であり,微粉バイオ マスの燃焼に対しても,その有効性を当社の大型燃焼試験炉にて確認。

その後,実機に おいても安定かつ適切にバイオマスの燃焼が行われていることが各種計測結果(熱流束分 布,未燃分,NOx 値等)から示されたでつ。

灰付着抑制技術の適用は、 一般に,バイオマス燃料は石炭に比べてアルカリ金属成分(Na,K 等)が多く,木質ペレット もその傾向は同様。

バイオマス燃料中のアルカリ金属は炉内にて揮発して NaCl や KCl ガスとなるでつが,その発生量は炉内温度が高いほど多くなる傾向にあるでつ。

また,発生したガスは後 流の伝熱管部に到達して管表面にて冷却・凝縮し,バインダとなって灰付着を誘発するでつ。

その ため,他の燃焼方式と比べて炉内温度が高い微粉直接燃焼方式によってバイオマス専焼を実 現するためには,本課題を解決する必要があったでつ。

そこで当社では,図2に示す通り,炉内へ石炭由来のフライアッシュ(石炭灰)を投入し, NaCl や KCl ガスと反応させることによって,アルカリ金属の揮発量を低下させ,伝熱管部での 灰付着を抑制することを可能。




本技術の効果は,後述の当社グループ会社が燃焼装置のバイオマス専焼化改造を実施し た海外向け石炭焚ボイラでも実証済であり,バイオマス燃料性状と石炭灰性状に応じた最適量 の石炭灰を投入することで,従来の微粉炭焚ボイラと同等の伝面仕様にてバイオマス専焼対 応が可能。
微粉バイオマス専焼ボイラを適用した発電プラントの特徴及び概念図について,図3に示すでつ。




本設備の最大の特徴は,石炭由来のフライアッシュを炉内投入することにより,ボイラ炉壁・伝熱 管表面への灰付着を抑制することでつ。

バイオマス安全対策は、 木質ペレットは石炭と比較し揮発分が高く,100℃を超す雰囲気では揮発分の放出により酸化・ 蓄熱が進行しやすくなるでつ。

このため,バイオマス専焼時には石炭焚ボイラと比較してミル入口/出 口空気温度を低い温度で適正に維持・管理することで,ミル内の発火を防止。

また,バイオマ スは微粉が発生しやすく,最小着火エネルギーは石炭の 1/10 程度,爆発下限界濃度は約 40% であるため,従来の微粉炭焚ボイラよりも粉塵爆発防止対策の強化が必要となるでつ。

粉塵爆発につ いては三要素(粉塵濃度,着火源,酸素)が揃った雰囲気において発生するでつが,石炭と比較しこ れらの要素が揃いやすい雰囲気に晒されるミルや微粉炭管については,万が一の粉塵爆発を想 定し,急速燃焼抑制装置(消火容器,圧力感知器等で構成)を設置。

また,着火源となり得る 異物や金属類の,燃料搬送設備側での除去等,上流側での管理も重要。

排ガス処理システムは、

(1) 脱硝装置 バイオマス中に含まれる被毒成分に起因する灰付着・触媒活性低下による脱硝触媒劣化速 度の上昇については,ボイラ炉内への石炭灰投入により影響の緩和を図りつつ,環境規制値 に応じた触媒量の選定や,必要に応じた予備層の設置を考慮。

(2) 集塵装置 石炭焚ボイラのフライアッシュと比較し,バイオマス専焼ボイラのフライアッシュは燃料中灰分 割合が少ないこともあり,相対的に灰中未燃分が増加する傾向にあるでつ。

結果としてボイラ出口 煤塵の電気抵抗が低下し,かつ粒径が相対的に小さくなるため,電気集塵機では除塵率が低 下する恐れがあるでつ。

このため,本システムでは灰物性の変動の影響を受けづらいバグフィルタ を採用することで,高除塵率を維持しつつ,後流への灰中未燃分のキャリーオーバーを防止 。

(3) 脱硫装置 木質ペレットに関する品質規格である ISO-17225-2:2014(Solid biofuels–Fuel specifications and classes- Part2: Graded wood pellets)で規定されている燃料中硫黄分(Sulfer<0.05wt%) 以内であれば,原則脱硫吸収塔の設置は不要。

また,バグフィルタ入口煙道に消石灰を 噴霧する簡易脱硫を設置することも可能であり,環境規制値に応じたシステム設計が可能。

炉底灰処理装置は、 石炭焚ボイラと比較して,バイオマス焚ボイラでは燃料中の灰分や微粉度の違いにより相対的 に炉底灰中未燃分が増加する傾向にあるでつ。よって,本設備では湿式 DCC を経た炉底灰を一時 ボトムアッシュ貯槽に貯留,コンベヤ及びスクリューフィーダにてミル入口に移送し,リサイクルす る系統を設置することで,ボイラ炉底から系外に排出される灰中未燃分を低減する計画としてるでつ。

発電効率は、 微粉バイオマス専焼発電プラントには,中規模容量スチームパワーでは最高レベルとなる,主 蒸気温度/再熱蒸気温度 566/566℃級(蒸気タービン入口)の再熱システムを採用。

75MW 級, 112MW 級それぞれで発電端プラント効率 40%(LHV 基準)以上を狙ったサイクル設計を行って いるでつ。

稼働率及び所内率は 既に述べたとおり,一般的に CFB ボイラは燃焼効率を高めるため,炉内で流動材を所定の速 度で循環させているでつが,この循環する流動材に起因する摩耗や減肉のために,炉内耐火材の補 修や伝熱管への減肉対策が必要。

また,風煙道系に必要な圧力も高く,プラント運転に必 要な所内動力(所内率)も比較的高いでつ。

一方で,微粉燃焼方式は,これらの補修,減肉などによるメンテナンス費を比較的低く抑えられることができ,定期検査1回あたりのボイラ停止期間も相対 的に短くすることができるでつ。

また,ボイラ火炉及び風煙道系に必要な圧力も低く抑えられるため, 結果として高稼働率,低所内率(75~112MW級CFBボイラ発電プラントと比較し,約70~80%程 度のプラント所要動力)が達成可能。

よって,高送電端プラント効率が求められる IPP や, 高稼働率・安定運転が求められる自家発電設備,CO2 低減を狙った既設石炭火力発電所のバイオマスへの燃料転換等のケースにおいて,微粉バイオマス専焼発電システムの適用は,即効性 のあるソリューションになると考えられるでつ。

高バイオマス混焼率の実績 当社は,日本国内向けに 112MW 級の新設石炭・バイオマス高混焼発電設備を複数プラント 納入。

いずれの発電設備でも,定格負荷で熱量比にてバイオマス 30%混焼を達成したことを確認.

石炭からバイオマス専焼への改造実績 が,海外にてバイオマス専焼化改造に関与した実績を表1に示すでつ。




ここで示した設計コンセプト,燃焼試験装置での検証,国内での微粉炭バイオマス高 混焼発電設備の運転実績や海外でのバイオマス専焼化改造を経て,微粉バイオマス専焼発電シ ステムを確立。

本システムは,カーボンニュートラルの観点からみた CO2 排出量低減の役割, 及び高効率な安定電源を担うという役割を同時に達成,

即効性のある技術。

今後,新 設のみならず既存の石炭焚き火力発電所へ本技術を適用することで,高効率で安定稼働な再生 可能エネルギーによる電源普及を目指し,低炭素社会への一層の貢献を図っていくでつ。

いずれの案件も,石炭から バイオマスに燃料転換を実施したものであり,トラブルなく安定運転されているでつ。

また,ボイラ周り補機や排ガス処理装置等のプラント設 備においても,バイオマス専焼に配慮した対策,設計を施しているでつ。

以下に,各々の設備の特徴 及び設計配慮点について述べるでつ。




石炭ガス化技術と水素製造でつ。

2020-06-20 07:10:29 | ガスタービン
世界における総発電電力量の6、7割を占める化石燃料の中でも石炭は、その豊富な埋蔵量と安定した価格と供給により、
今後も重要なエネルギー資源としての利用拡大が期待されているでつ。

一方、石炭は地球温H菱化の主要因であるC02発生量が石油や天然ガスに比べて多いため、徹底的に高効率化をはかり
CO燐生量計刷、化することが重要。
それを可能とするのが次世代の発電技術である石炭ガス化複合発電。

石炭ガス化複合発電とは、石炭を高温でガス化して気体燃料とし、これをガスタービンで燃焼させ、さらにその排ガスの
熱で蒸気を発生させて蒸気タービンを動かす複合発電システム。

我が国において石炭をガス化する技術はこのIGCCによる発電を中心として開発が進められているが、石炭ガス化技術により
生成されるガスは一酸化炭素(CO) と水素 (H2) を主成分としており、発電だけではなく水素製造、化学品原料製造、合成燃料製造など
幅広く利用可能な技術。

特に水素は非常にクリーンなエネルギーとして次世代のエネルギー相会の中核として期待されているでつが、自然界に
そのままエネルギーとして利用できる形では存在しないでつ。

将来的には再生エネルギーを用いて水を電気分解して水素を製造することも可能であろうが、当分の聞は化石燃料から
製造する必要があるでつ。

現在の主流は天然ガスや原油から水素が製造されているでつが、資源量や価格、供給の安定性などを考えると石炭からの
水素製造は極めて重要であり、現に中国では石炭からの合成燃料や化学品原料の製造に大いに力を入れているでつ。

石炭ガス化による水素製造は、必要な水素の製造と同時にCO2の分離・回収も可能な技術であり、水素社会実現のための
キーテクノロジーのーっとしても注目されているでつ。

本稿では、石炭ガス化技術と生成ガスからCOを分離・回収することで可能となる水素製造。

石炭ガス化の歴史石炭のガス化は、今から約200年前の1792年にジェームス・ワットの下で技師を務めたウィリアム・マードックが
石炭から可燃性ガスを取り出したことが最初とされているでつ。

マードックは、球形の金属容器に石炭を入れて加熱し、乾留することによって水素・一酸化炭素・メタンなどのガスを発生。
このガスは夜間の照明用に使われ、ガス灯の普及とともに各地へ広がっていった当時のエネルギー源の主流は石炭であり、
石炭ガスはその簡便さから都市の照明用ガスあるいは暖房用として利用されるようになり、イギリスでは1810年初頭より、
またアメリカでは1820年頃からその専門会社が設立されるようになったでつ。
我が国では、 20世紀初めに海外の技術を導入して、石炭による都市ガス供給が行われるようになったでつ。

ドイツにおいて、第一次世界大戦突入を契機として、国内で、豊富に産出する石炭のエネルギーを利用する目的から、
石炭ガス化の技術開発が盛んに行われ、各種技術(ノレノレギ炉(固定床方式)、ウインクラ炉(流動床方式)、
コッパース炉(噴流床方式,) )が開発されたでつ。

マードックの石炭ガス化は間接加熱による索杉鴻卒炉で、あったが、これらは石炭を部分燃焼させながらガス化を行う直接ガス化。

その後安価で取扱いが容易な石油の普及により石炭ガス化の需要は減少したでつが、 1973年の石油危機後は再び見直され、
都市ガス用・産業用だけではなく発電用としても注目されるようになり、近年は発電用を主目的としたガス化炉の開発が盛んに
行われているでつ。

だけど、主として公害問題から天然ガスの利用も活発に行われており、経済的に競合状態にあるでつ。

石炭ガス化の原理は、石炭のガス化は、石炭に水蒸気、酸素、空気などを作用させて一酸化炭素と水素を主成分としたガスへ
転換することであるでつ。
一般的なガスイ七の基本反応式を次に示すでつ。
①石炭 → H2 十 CO21 + チャー (C)
② C +O2→CO2
③ C 十四仇→ CO
④ C + CU2→ 2CO
⑤ C + Hρ → CO + H2
⑥ C 十 2H20 → CO2 + 2H2
⑦ CO 十 HzU→CO2 +H2
③ C + 2Hz→ CH4

式①は石炭の熱分解であり、水素や炭化水素ガスなどの揮発分とチャー(固定炭素と灰分から成る残留固形分)に分解するでつ。
式②と③は酸素との反応で燃焼と部分燃焼を示しており、ガス化に必要な反応熱を供給しているでつ。
式④と⑤は主となるガス化反応式であり吸熱反応。
これらの反応に伴い式@ベ②に示す反応も行われるでつ

石炭ガス化炉は、石炭をガス化するには、まず微粉炭機にて石炭を粉砕、乾燥し酸化剤と共にガス化炉に投入。
ガス化炉では反応により CO、H2を主成分とする高温の可燃性ガスが生成されるでつ。

ガス化炉の形式として
(1)固定床又は移動床、
(2)流動床、 (3)噴流床の
3形式。

これらは石炭の粒径や部分燃焼温度などが異なるでつ。
現在の商用ガス化炉は、高温・高速反応による高経済性により噴祈抹が主力。

固定床ガス化炉は火格子の上に置かれた石炭を時間をかけてガス化する最も古くから実用化されて来た方式で、
30mmの塊炭を上部から投入し酸素などの酸化剤は炉底部より供給されるでつ。

反応速度が遅いため処理量は少なし¥流動床ガス化は粒径が数m mの比較的半島、粒子を用い、空気等で流動化させながら
部分燃焼させガス化する方式。

前後の比較的低温で燃焼させるため、灰の融点が高めの石炭に適し、また高灰分炭などの低品位炭にも適しているでつ。
また粗い粒子が取扱えるため廃棄物やバイオマスの利用にも有効で、あるとされているでつ。

ただし流速一定で設計するため出力が直径の2乗に比例するので、単一ガス化炉の最大容量に制限があり、これを補うものとして
循環流動床方式も研究されているでつ。
噴流床ガス化炉は粒径がO.lmm以下の微粒を用い、18000C程度の高温で部分燃焼。

粒径が小さいため比表面積が大きく、また高温のため反応速度が極めて早く、さらにガス化炉の設計は3乗則によるため
コンパクトで大出力を得ることができ経済性に優れているでつ。

燃料の供給形態としては乾式(ドライフィード方式)と湿式(スラリーフィード方式)がある。湿式の場合、石炭を水と混合して
スラリー化 してガス化炉へ供給するためパイプラインで送ることができるでつが、索ぱ負失が大きく、乾式の方が
プラン ト効率は高くなるでつ。

またガス化剤としては、酸素(酸素吹き)と空気(空気吹き)があり、酸素吹きは生成ガス中に窒素を含まないため、現在化学プラントを
中心に広く用いられ、水素製造にも適しているでつ。

しかしガス化剤となる酸素製造のための空気分離装置の動力が大きく 、発電プラン トとしての効率が低下するため、発電用途の
IGCCの場合は空気吹きの方が効率が高いでつ。

石炭ガス化による水素製造方法は。石炭ガス化による水素製造プロセス。
ガス化炉で生成されたガスは、 胞 とCOが主成分であるが、その他窒素化合物(Nfu)、硫黄化合物 仕掛やCOS)などの
不純物が含まれるため、それらを除去するガス精製設備。

不純物が除去された生成ガス中のCOは水蒸気 (Hρ)を用いて次に示す化学反応(シフト反応)により CO2とに転換されるでつ。
COは分離 ・回収され、純度の高い水素が取り出せるでつ。
CO + 1的 → CU2 十 lli (シフト反応)

ガス精製設備は、ガス化炉から発生した石炭ガスは熱交換器で適切な温度まで冷却され、ガス精製設備へと送られるでつ。
ガス精製設備は石炭ガスに含まれる窒素化合物や硫黄化合物などの不純物の除去、精製を行う設備。

現在のガス精製は湿式が主として用いられているでつ。
ガス化炉からの生成ガスを冷却・洗浄し、吸収液にて硫黄化合物を吸収する方式。

洗浄塔ではダスト、微量成分、Nfuの除去を行う。生成ガス中の硫黄化合物は、 H2S(硫化水素)、 COS(硫化カルボ、ニル)が
主形態であるため、アミン翻夜での吸収を可能とするよう COS変換器における触媒反応によってCOSをH掃に変換。
その後、生成ガスをアミン水溶;夜にくぐらせlliSを吸収するシステム。

処分離・回収技術は、まず生成ガスに水蒸気を添加してCOをCO2と胞にするシフト反応を行い、その後CU2を分離・回収するでつ。
CO2の分離・回収技術には、化学吸収法、物理吸収法、膜分離法、吸着法などがあるでつ。

それぞれの方式には長所・短所があり、目的とするガス濃度、設備費×運転費など経済性その他を総合的に判断して
採用する方式が決められるでつ。

(1)化学吸収法
アルカリ性樹夜を吸収液として利用し、 CO2を化学反応で吸収。
アルカリ樹夜としてはアミン水瀦夜などが用いられるでつ。
アミン類が低温でCO2を吸収し、高温で放出する性質を利用してて、 CO2の回収に熱エネルギーが必要となるでつ。

2) 物理吸収法
メタノールやポリエチレングリコールなどの吸収液を使用して、高圧・低温でCU2を溶解・吸収。
その後、減圧することでCO2を回収することができるでつ。

(3) 膜分離法
高分子膜、セラミック膜などにより各気体の透過速度の違いを利用して混合ガスから各気体を分離する方法。
選択率の向上、膜の高寿命化、モジュール化技術などの開発段階の技術。

(4) 吸着法
活性炭などの多孔質の吸着剤を用い、高圧でCOを吸着させ、減圧するとCO2を放出して
回収する方法 (PSA)でつ。

処分離・回収方式は、ガス精製設備で硫黄分 (Hs) を除去してからのCO2分離・回収技術が、実際には処理ガス中に硫黄分を
含んだ状態でCO分離・回収が可能な方式。
処理ガスから事前に硫黄分を除去する方式をSweet方式。
硫黄分を除去しない方式をSour方式とし、Sweet方式で、は処理ガス中に硫黄分が含まれず技術がすべて適用可能であるでつが、
Sour方式で、は処理ガス中に硫黄分が含まれており、物理吸収法のみ適用可能。
物理吸収法では一つの吸収液でCU2とH2Sの吸収が可能で、しかもCO2とH2Sの溶解度の違いにより選択的に回収が可能。
一方化学吸収法では、H2S回収時にCO2が混入してしまい選択的な回収が困難なためSour方式には適用できないでつ。

CO回収・貯留技術は近年、地球温暖化問題解決のために燃料もしくは排ガス中からCO2を回収し、これを地中あるいは海中に
貯留する、いわゆる CCSが盛んに提唱されているでつ。
従来、石油/化学プラントで、は水素を取り出すために分離されたCO2は利用されるもの以外は投棄されていたでつ。
CCSが行われると、 H2とCO2が同時に有効な物質として取扱われるため、両面で有効となるでつ。
しかし、このCCSは設備費増加や運転費用増大という経済的に負の側面を持つため、 CO2を有価物として取扱うメカニズムが
存在しないと本格的な適用は難しいでつ。

究極の水素社会はCO2を全く排出しない社会であり、再生可能エネルギーなどからの水素製造が必要であるでつが、
それまでの過渡期に関しては、化石燃料による水素製造も有効な技術。

ただし、天然ガスや原油といった他の化石燃料の資源量が石炭より少なく、また価格安定性などの点から石炭より不利。
従って、将来を見据えると石炭ガス化による水素製造は極めて重要な技術で、あるといえるでつ。

今後の容量・調整力市場に必要な高速負荷応答性に対応する PWPS航空機転用型ガスタービンについて

2020-05-05 01:11:11 | ガスタービン
太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー(以下,再エネ)を大量に導入することは世界 的な傾向。
だけど,周知のとおり再エネは非常に不安定で,太陽光発電の場合は日 没からは発電できなくなるでつ。

既に現段階でも大きな問題となり,地域によっては電力系統の安定 運用のために太陽光発電を制限せざるを
得ない状況となっているでつ。
将来の更なる再エネ導入拡 大には,電力系統の負荷変動を補償する火力電源設置が不可欠。

この電源には高速起 動特性と高速負荷応答性,CO2 排出が少ない高効率が要求されるでつが,これに最適なのが
航空機転用型ガスタービン。




また,国内では,今後の送配電分離に よる完全自由化に移行されることとなっており,前述の再エネ導入時の系統安定化を踏まえて
容量・調整力市場が整備されていく予定であるが,Aero GT はこの市場に有望な製品。
この Aero GT の特徴と欧米での使用事例を記載するでつ。

PW Power System社(以下,PWPS)は1961年設立のAero GTの製造・販売会社。
PWPS は 2013 年に三菱重工業(株)が買収し,2017 年から三菱日立パワーシステムズ(株)の 100%子会社。

航空機用エンジンには,コンパクト・軽量で大推力(パワー)が求められているでつ。
その派生 型の Aero GT も発電専用設計の重構造型ガスタービンと比べ出力に対して小型・軽量で,設置 面積も少ないでつ。
また,航空機用エンジンは離着陸時や飛行中の環境変化に対して素早く大きな 出力を変化させる必要があるでつ。

高負荷応答性が要求されているでつ。
かつ,頻繁な起動停止を繰 り返す運用に対応する必要があり,高信頼性の着火起動性も要求されているでつ。

一方,このような過 酷な運用に対して,本体寿命への影響を少なくする必要があるので車室・ロータなどは薄肉構造 となっているでつ。
その技術・構造を踏襲している Aero GT は,起動時間が短いにもかかわらず,高温 部品の寿命消費への影響は少ないでつ。

航空機エンジンには効率よく大推力を得るために高負荷・高圧力比の空気圧縮機が採用され ており,この圧縮機を Aero GT にも
利用しているので重構造型ガスタービンと比べシンプルサイク ル効率が高くなっているでつ。

メンテナンスは,航空機エンジン同様にエンジン全体を現地で交換するモジュール化した定検作業のため,
数日で交換できプラントの高稼働率を実現。
図1に航空機エンジンと Aero GT の外観比較図を示すでつ。





PWPS の Aero GT は高効率(単体で 40%)で薄肉軽量な構造により,急速起動(5分以内),機 敏な負荷応答性(50%/分),
起動前のターニング不要という特長があり,エンジンとしては, 30MW クラスの FT8 と 60MW クラスの FT4000 の2機種を
有しているでつ。

この内,FT4000 が最新機種で,コア部は実績豊富なターボファンエンジン PW4000 をベース に,航空機転用型として
低圧圧縮機(LPC)とパワータービン(PT)を独自設計。

初号機の 工場試験を 2014 年に米国の West Palm Beach 工場にて成功裏に完了し,既に3台が米国とアル ゼンチンで
商業運転してて,順調に電力需要に貢献。 これらのエンジンを応用した PWPS 固有のユニークな製品ソリューションを
下記2点紹介するでつ。

また,表1に AeroGT の性能諸主要目を記述するでつ。




FT8 を使用した 30MW の世界最大容量級の移動電源設備。
ガスタービンと発電機が 同一トレーラに収納されているため,移動毎のカップリング・アライメント調整が不要。
さら に地耐力次第ではコンクリートの基礎工事も不要で,数日の超短期間で据付工事を完了する ことが可能(図2)。




技術的な特徴として,燃料は油燃料もガス燃料も使用できる Dual Fuel 仕様で,かつ同じ設 備で 50Hz 地区でも 60Hz 地区でも
運転できる Dual Frequency 仕様となっているでつ。

2011 年の震 災時には 60Hz 地区から 50Hz 地区への送電に課題を残したでつが,この設備であれば両周波数 地区でも
移動して発電運転が可能であるので,将来の減災対策・国土強靭化に有効なソリュー ション。

1台の発電機を2台のエンジンで駆動する軸構成で,FT4000 を使用した場合,Aero GT とし て世界最大の発電容量 140MW の設備。
コンパクトながら出力が大きいため,建設単価 の削減や据付面積低減に大きなメリットがあるでつ。
また,エンジン2台中,1台を切り離した運転が可能であるので部分負荷効率を高く維持でき るメリットがあるでつ(図3)。




欧米では送配電分離に伴いエネルギー市場(MWh)に加え系統の周波数・電圧等を安定化さ せるための
アンシラリー市場(容量 MW と調整力ΔMW/△h 市場)が運営されており,日本でも導 入が検討されているでつ。

このアンシラリー市場(図4)は,再エネ導入拡大に対する電力系統安定化 とも密接に関係しており,欧米の市場へは急速起動特性を
有する Aero GT の普及率が高いでつ。




以下に Aero GT のソリューション事例を記載するでつ。
さらに,コンバインド化はガスタービン2台に対して排ガスボイラは共用の1缶構成も可能で 建設費の低減に貢献できるでつ。
スピニングリザーブ・調相運転 天候の急変で再エネの出力が急減すると電力の供給力不足が生じ,系統周波数が変動。

系統周波数を適正に保持するには,予備電源等により供給力不足を迅速に補わなければ ならず,1分・1秒でも発電時間が
早い火力が必要。
さらに起動前や停止後の運転操作 が簡単で,補機が少ないことが好ましいでつ。

Aero GT は発電機を含めて完全空冷であるため,運 転保守の面からもこのようなスピニングリザーブ(出力瞬動)運転向きであり,
欧米で多数導入。
PWPS の Aero GT は図5に示すように PT(発電機駆動用パワータービン)が GG(Gas Generator)と切り離された Free Turbine 構成。




このためクラッチ無で発電機を同期 電動機として電力系統に接続すると力率改善や電圧調整の調相運転が可能。
この特長 をいかし,発電運転に加えて再エネ発電運転時には調相運転による系統安定化と1台で二役 というメリットがあるでつ。

ハイブリッドシステム(ガスタービン+畜電池) スピニングリザーブには,起動指令で瞬時に電力を供給する要求があり,このために
常時最低負荷にてガスタービンを待機運転する必要があるでつ。
その間燃料を無駄に消費するので不経 済であり,CO2 排出の点から環境上も好ましくないでつ。

ガスタービンと畜電池を組み合わせたハイ ブリッドシステムはこの待機燃料をカットし,かつ瞬時電気供給可能なシステムとして
最近注目されているでつ。
このシステムの基本構成を図6に示すでつ。




本システムは Aero GT と蓄電池(含むパワーコンデショナー)で構成され,制御装置に再エネ 出力を左右する気象条件,電力単価,燃料単価の市場動向を取り込み,電力系統安定化に加え て経済性を踏まえてシステムの起動・停止操作を行うでつ。

又,蓄電池がブラックアウト時の非常用発 電機の役目も出来るのでブラックアウト用のデーゼル発電機が不要。
表2にこのハイブリッドシステムとガスタービン/蓄電池単体システムとの比較を示すでつ。




既にこの システムは米国で実用化されており,我が国の更なる再エネ導入拡大と電力系統安定化の両要 求に対して有効。
今後蓄電池価格の大幅な低下が予想されており,ハイブリッドシステムの 導入がさらに早まることが予想。
急速起動特性と高速負荷変化特性に優れた Aero GT は,アンシラリー市場に適した発電方式。

これに伴い,再生可能エネルギー導入拡大による環境負荷低減と電力系統安定化に寄 与することが可能。
今後も多様化する電力市場ニーズに応えるべく,更なる起動性・運用性向上していくでつ。

こういう電源が世界に浸透していくといいでつなぁ~

20年代の進化は…

2020-01-19 07:10:29 | ガスタービン
10年代はどちらかというと各メーカからは新機種はなかったなぁ~
特に画期的なことは…

基本的にはGE、シーメンスは大型より中小型に力を入れている…
1社だけ大型に注力してるけど…
結局既存技術の延長戦…

日本では応用は出来るけど、自己開発は無理というのを証明してるでつなぁ~
さて、令和のガスタービンはやっぱり分散電源ということもあって、主は中小型に移る。
コンピュータがそうであったように、ダウンサイジングへと向かう…

その波に乗り遅れるとIBMのようになるでつなぁ~

さて中小型の最大のネックは、高効率化。
その最大のネック対策はセラミックガスタービンだと思うでつなぁ~
80年代に開発が活発化したけど、この技術も埋もれてるでつ。

300kWだけど効率は44%くらいあったわけだから、セラミックを使わない手はないでつなぁ~
ただ改善されてないのはセラミックの脆さ。
こりがなかなか難しいんだろうなぁ~

耐久性と壊れにくさ…
この両立を上手く開発出来れば、無冷却ガスタービンが出来るでつ。
無駄なエネルギーを出さない夢のタービン。

昭和に埋もれてる技術はまだまだたくさんあるでつ。
そりを改めて再開発してみるといい結果が出るかもでつなぁ~
技術の進歩を…

三菱のガスタービンエンジンハイブリッド車「MI-TECH CONCEPT」とはどんなクルマか

2019-12-26 07:10:29 | ガスタービン
PHEV×AWDを得手とする三菱自動車が、ユニークなコンセプトカーを東京モーターショー2019に出展。
告知された驚きのテクノロジーが「ガスタービン搭載」。
ここ最近のクルマではまったく馴染みのないこのエンジンをどのように使うかでつなぁ~

三菱自動車が2019年の東京モーターショーで目玉として展示したのが、MI-TECH CONCEPTと名付けられた
コンパクトSUV・EVの技術スタディ。

前回のTMSに出品した「E-Evolution」のフロントデュアルAYCを更に推し進めて、前後のそれぞれ独立した4モーターを備えるでつ。
コンセプトとして悪路の走破性を求めたとのことでつが、これだけのモーターを積めば電気は間違いなく大食い。
ましてやサイズ的にコンパクトクラスであることを謳っているからには、BEVでは航続距離が不足することは明らか。

では発電用エンジンを積めばよいかといえば、小さな車体に4モーターと制御機器、バッテリーを詰め込んでいることから、
最早エンジンの置き場がないでつ。
そこで着目したのがコンパクトでハイパワーのガスタービンエンジン。

これまでいくつかのガスタービン自動車が登場。
だけど、その多くはガスタービンを直接駆動力として使うもの。
こりは、ガスタービンは負荷変動に弱くレスポンスが劣悪、燃費が悪い、排気の処理が難しいといった、自動車用動力としては
致命的ともいえる欠陥を持つ故に、どれも実用の域には達しなかったでつ。

ガスタービンエンジンは後車軸の直上に搭載される予定。
後方下部のダクト上の部分から排気を拡散して放出することが想定。

排ガスに関しては低圧・低温で燃焼するガスタービンの特性上、NOxはほとんど出ないため、後処理装置は不要。
RDEの実施を考えればこれはメリット。
MI-TECH CONCEPTはGTを発電機の動力として使用。

つまりシリーズHEVであり、端的にはレンジエクステンダー(Rex)エンジンとしてのガスタービン選択。
BMW i3が登場して以降、市販された実用Rexはないに等しい。

その理由のひとつがRexに適したエンジンがないということ。
既存のICEV用エンジンは発電用としては能力過大な上にサイズが大きい。

i3が搭載したエンジンは直列2気筒のバイク用エンジンだが、フィアットのツインエア以外に乗用車用2気筒エンジンはないし、
振動の問題を未だ完全には克服していないでつ。
マツダがREをRex用に使おうとしているのは、振動の少なさが大きな理由。

ガスタービンならば、単純な回転機関なので振動は少なく、騒音も高周波音なのでレシプロエンジンの低周波振動より消音対策は簡単。
何よりガスタービンは重量比出力がレシプロエンジンより格段に優れているでつ。

Rexに必要な50kW以下の出力を発揮するマイクロGTならば、重量は数十㎏程度にできるでつ。
MI-TECH CONCEPTはGTを後車軸上に搭載する予定。
実車を見る限り、そこにレシプロエンジンを載せる余裕は確かになさそう。

ガスタービンではレシプロと違って冷却系の補機装置も不要。

燃料は補給の観点からガソリンを想定。
ガスタービン自体の燃費は決して良くはないでつが、既存のHEV程度の数字は十分可能。
排ガスに関しては低圧・低温で燃焼するGTの特性上、NOxはほとんど出ないため、後処理装置は不要。

RDEの実施を考えればこれは大きなメリット。
既存のガスタービンの多くは多少なりとも発生するNOx対策として予混合燃焼を行うでつ
ガスタービンはジェットエンジンとして使われるように排熱を直接排出するため、陸上交通機関としてはその対処が求められるでつ。

MI-TECH CONCEPTはガスタービンからの排気を一気に拡散させて車体後部から「モワァ~」と排出。
ただし、これは実証された技術ではないようで、今後の検証が必要。
GTの稼働は走行時の充電に限られ停止時には回さないようにするとのことだが、これも排熱対策を考えてのこと。




MI-TECH CONCEPTの動力レイアウトをコメントから想像した図。
パッケージによってはレシプロエンジンが搭載できなくもないが、4モーターが消費する大電流を賄うにはかなり大きなエンジンが必要。
マイクロガスタービンならば出力数十kW級で100kg以下のものもあり、冷却補機も不要。
発電効率(≠熱効率)は高速回転に耐えるモーターの開発次第の模様。

HEVのモーターは概ねエンジンとの間に減速ギヤを介しているでつが、MI-TECH CONCEPTの発電機は
ガスタービンの出力軸直結にするでつ。
ガスタービンの回転数はレシプロエンジンより一桁多く、場合によっては10万rpmにも達するでつ。

そんな高速で回せるモーターがあるのかと訊くと、現在モーター製造企業で開発が進んでいるとのこと。
超高回転で回すことでモーターは現在のものより同等出力なら相当小型化が可能。
これこそコンパクトなガスタービンとの相乗効果を生むキー技術。

専用のGTエンジンを含めモーターも外部サプライヤーとの協同開発になるようだが、その進捗状況が実車の登場時期を左右する模様。
Rexについては、カリフォルニアのZEV規制によって規定されているのが現状。

ただ「ZEV規制に縛られたクルマにするのは面白くない」でつなぁ~
エンジンの使用について制約が多すぎ、Rexの可能性をスポイルしてしまうでつ。

中・大型車にはPHEVがベストであり、BEVの性能向上版ともいえるRexはコンパクトカーにこそ求められる基準。
現状ではコストを含め課題は多いでつが、EVの進化の一形態として実用化してほしいでつなぁ~

夢のエンジンと言われた自動車用ガスタービンエンジンもこういう風に使うと面白いかも…
だけど、ジェットエンジンを車に…
こりもいつかは実現してほしいでつなぁ~

流星号がそんなイメージかなぁ~

発電の新潮流 ガスタービン

2019-12-24 07:10:29 | ガスタービン
火力発電所で、電力が作り出されるとき、何が起こっているのか。
天然ガス焚火力発電所の心臓部であるガスタービンでは金属も溶解する1,500℃以上の温度に達した燃焼ガスが、
膨張しながらタービンブレードと呼ばれる特殊合金の翼に吹きつけられ、3,000回転/分以上の高速で回転。

その強大なチカラが軸の先につながる発電機へと伝わり、電気エネルギーに変換。
ガスタービン単機での出力は主力ののG形ガスタービンで33万kW前後。

実に約4万世帯の電力をまかなえる計算。
いったん稼働を始めたタービンは長期間の運用が求められ、究極の堅牢性と信頼性が試さるでつ。

世界を制した巧技が成せるでつなぁ~
ものづくりの国の技と精神が築いた、世界最高峰の技術。
自然エネルギー発電に注目が集まる昨今でつが、長らく電力供給を支えてきた火力発電も、目覚しい進化を遂げているでつ。

世界に先駆け、燃焼温度1,600℃級を実現したJ形ガスタービンはその代表格。
そして、ガスタービンの排熱を利用して蒸気タービンによる二次発電を行う「ガスタービン・コンバインドサイクル発電(GTCC)」に、
この新世代機を適用すれば、世界最高水準の熱効率60%以上と、世界最大となる出力46万kWもの発電量を得ることが可能。

火力発電の新たな可能性を示すこの成果は、技術へのあくなき探究心と膨大な経験の蓄積なしに成し得ないものとなってるでつ。

燃焼した燃料の熱エネルギーから、有効に取り出すことができた電気エネルギー(発生電力量)の割合。
例えばガソリン乗用車の場合、動力に変換できる熱効率は30%台。

放電加工によってタービンブレードに開けられた無数の穴(翼面冷却孔)が、誤差なく設計どおりに加工されているか専用工具で
一つひとつ入念に確認。
1,500℃以上もの高温・高圧の燃焼ガスに長期間さらされ続けるブレードには冷却対策が不可欠。
冷却孔の加工はその有効な手段の一つ。
空洞構造のブレードに開けた直径1~2mmほどの微細な穴から内部に空気を通し、高い冷却効果を得る仕組み。

難度の高い、ガスタービン用燃焼器の溶接作業。
この燃焼器には冷却構造が仕込まれているでつ。
肉厚5mm程度の耐熱金属の板の内部には、冷却用の蒸気や空気を循環させるための2mmほどの細い溝が張り巡らされているため、
複数のパーツをつなぎ合わせる作業には高度な技術を要するでつ。
機械化も不可能な繊細な作業は、厳しい認定試験をパスした熟練溶接者の手に委ねられるでつ。

慎重かつ丁寧に進められる、蒸気タービンの翼植え作業。
“止翼”と呼ばれる一枚は、安全上最も重要な位置にあるブレード。
この最後の一枚に至るまでのすべてのブレードが、技術者の手によって寸分の狂いもなく収められるでつ。

三日三晩の時間をかけて、ガスタービンローターの組み上げ作業が行われるでつ。
大きなリング状のパーツが、12本のボルトを使って約600MPa(力で表すと約4,500t)という想像を絶する圧力で締付でつ。

蒸気タービン用のブレードが、熟練の技術者によって一つひとつ丁寧に検査。
ほんの些細な傷でも大事故を誘発しかねないため、組み上げの前後で細心の注意のもと点検が行われるでつ。
小さな部品ひとつに携わる者でも、その仕事の先に広がる「電気を安定供給する」ことへの責任と誇りを胸に、業務に従事しているでつ。

全てに通じる叡智。
プラント全域を知り尽くす総合力が、安全を創るでつ
最先端のガスタービン開発で世界をリード。
その専門領域は広大深遠、プラント開発全域に及んでいるでつ。

GTCCの場合では、ガスタービンから排出される高温ガスの通り道であるガスタービン排気ダクトや高温ガスの熱を利用して
水を蒸気に変える排熱回収ボイラ、その蒸気を受けて二度目の発電を行うための蒸気タービンまで、開発・製造を一手に手がけるでつ。

さらに、GTCCの実証設備による製品検証、プラント全域の配管やモジュールの接合、制御までを担うことで、すべての設備を
バランス良く連携・機能させ、より安全な発電に貢献。
この総合力が真骨頂。

ガスタービン排気ダクトモジュールの内部。ガスタービンから排出された約700℃のガスがこの筒を通り、
排熱回収ボイラモジュールへと送られるでつ。
筒の外側には断熱加工が施され、外壁の温度はわずか40℃に抑えられるでつ。

排熱回収ボイラモジュールの内部。
高温の排気ガスが通り抜ける空間には、水を蒸気に変える伝熱管が隙間無く設置。
縦13.5m×横18m×高さ8.5mのエリアにその数、1万3千本以上。

また、チューブの外周には、熱吸収を高めるためにフィンがびっしりと加工され、チューブ内の水に熱が無駄なく伝えるでつ。
製造工程における度重なる検査・試験を経て、出荷前の最終点検を受ける蒸気タービン。
GTCCプラントでは、伝熱管でつくられた高温の蒸気が蒸気タービンに吹き付けられ、その回転力から電気が作られるでつ。

納入するGTCCプラントの規模や仕様に応じ、さまざまなサイズの蒸気タービンが製造。

電力を世界中のひとの手に!
長崎造船所ではGTCCで使われる蒸気タービンをはじめ、排気ダクトや排熱回収ボイラといった大型モジュールの製造が行われるでつ。

排熱回収ボイラモジュールは重量が約4,000tと、モジュール化されたボイラとして世界最大を誇るでつ。
モジュールには配管設備や電気部品などがすべて組み込まれているため、納入先となる発電所での大幅な工期の短縮や
現地管理の軽減化を図ることが可能。

次世代ガスタービンへの挑戦で磨かれる、品質と性能の新次元!

ガスタービン開発は、「熱」との闘い。
タービンブレードに吹き込まれる燃料の燃焼温度が上がるほど発電効率は向上。
これに伴い単位出力あたりのCO2の排出量も少なくできるでつ。

1,200℃級のD形の開発を皮切りに、1,400℃級のF形、1,500℃級のG形へと挑戦。
いよいよタービン入力温度1,600℃級を誇る、最新鋭J形の市場投入。

この温度域における100℃の壁は厚いものの、これまでF形、G形の開発で培った高温化設計技術に、
国家プロジェクト1,700℃級ガスタービン要素技術開発への参画で得た技術(タービン冷却、遮熱コーティング、高性能タービン)を
適用することで世界一の熱効率は実現。
こうして培われたJ形の最新技術は主力モデルのG形などの既存モデルにも適用され、性能や信頼性のアップデートが図られているでつ。
いわば、すべてのガスタービンが、進化を止めない最新作。

積極的なグローバル展開で、日本の高度な発電技術を世界に届けたいという思いが製品開発に込められているでつ。
先進国や新興国のいずれでも、今後はGTCCのニーズ拡大が予想。

燃費の良さはもちろん、安価な非在来型ガス(シェールガス)の発見や、老朽化した石炭火力発電の置き換え需要の伸びもその理由。

火力発電の懸念は環境性ですが、最新鋭のJ形ガスタービンを適用したGTCCでは、CO2の発生量を従来型石炭火力発電の
約50%に抑制できるほど環境負荷も小さいでつ。

だけど、いかに優れた発電技術であれ、世界に広く普及し、活用されなければ存在しないも同様。
そこで、世界の市場向けに現地工場や合弁企業を設立するなど、グローバル展開を積極化。
最近の例でも、北米の需要に応える米国・ジョージア州の原動機工場、タイではアジア市場向けのタービン高温部品補修工場が順次竣工。

これにより製品の低コスト化や迅速で行き届いたサービスの提供が可能になり、日本の高水準な技術を届ける基盤は整ってきたでつ。

エネルギーのあらゆる未来に貢献する、発電技術があるでつ。

将来、発電のメインストリームには、何が踊り出るのか。
その行方は、それぞれの国・地域が保有する資源の状況や環境政策などによって大きく異なるでつ。

そんな中、電力供給の中核をなす火力発電や原子力発電をはじめ、多様な発電技術に通じる活躍の場は、ますます広がるでつ。

例えば、埋蔵量の豊富な石炭をガス化して燃料に使うIGCC(石炭ガス化複合発電)では、世界最高効率を達成。
また、自然エネルギー発電の分野でも、需要が拡大する風力発電や、世界シェアでトップクラスの地熱発電など、あらゆる発電ニーズに対して
提案が可能。

こうした広範な製品・技術に取り組む理由には、ビジネスの側面だけでなく、人々の営みに欠かせない電力の安定供給に
少しでも貢献したいと願う、エンジニアの熱い意志があるでつ。

そんな使命感を抱いて、目の前に広がる発電技術の未来を見ているでつ。

土光さんは、人間タービンだったです。

2019-11-01 07:19:29 | ガスタービン
名経営者であるけど…
やっぱり、タービンの技術者だなぁ~

土光さんが作ったというか当時の戦後最大の合併が…
あの…
石川島播磨重工業、IHIでつなぁ~




土光さんは、石川島も東芝も大変な時に社長になって、会社を再建させたです。
その手腕がすごすぎる…
今までの慣習とかそういうのを破壊したです。

創造と破壊…
それによって、見事に再建してみせたです。

それと…
ジェットエンジンの開発にも情熱を掛けられてたです。
石川島とGEの提携もその一環。

ガスタービンの将来性を高く評価されてたです。
まだ航空機エンジンへ日本の技術や開発費が得られなくても投資していくところは
エンジニア経営者の鏡だなぁ~

土光さんは生活が庶民であったのも有名。
特にメザシをよく食べておられたので、メザシの土光とも呼ばれていたけど
いざとなれば、高級なところで食事して、交渉とかまとめたりしてるです。

宴会嫌いでもあるけど、そこも適材適所でやるです。

ポイントを押さえる天才でもあるです。

土光さんは人間タービン。
名経営者として再建屋としても有名だけど、タービンの将来を見据えて
投資したタービンの神様でもあるです。

次世代のCO2回収型石炭ガス化複合発電システム

2019-10-26 07:10:29 | ガスタービン
石炭は埋蔵量が豊富で、低価格かつ安定供給性に優れたエネルギー源である一方、他のエネルギー源と比べて
二酸化炭素(CO2)の排出量が多く、環境負荷低減のためにこの点をいかに克服するかが重要であり、そのためには、
石炭火力発電の高効率化に加え、CO2を回収・貯留するCCS1技術により低炭素化を図っていく必要があるでつ。

だけど、CCSには多大な付加的エネルギーが必要となるでつ。

効率の低下や発電コストの上昇を招くでつ。

そのためこのエネルギーロスをいかに低減するかが技術的な課題があるでつ。
CO2回収型次世代IGCC技術開発」において、CO2回収を行っても最先端の石炭火力発電プラントと同等の
発電効率が実現可能なIGCCシステムの基盤となる技術開発を実施。

本プロジェクトにおいて、これまでの基盤技術開発の成果を活用し、発電時に発生するCO2を
ほぼ全量回収しながらも、最先端の石炭火力発電と同等な発電効率42%を達成できる次世代の
IGCCシステムの開発を実施。

今回開発するIGCCシステムは、排ガスCO2の一部を系統内にリサイクルし、排ガス中のCO2純度を高めることにより、
CO2回収時に大きなエネルギーロスとなっていたCO2分離回収工程が不要といった特長を持つでつ。




実機に近い大型サイズでの要素技術検証を実施することで、基盤技術をより確実な技術として発展させ、
2035年頃の商用化を目処とした、効率でCO2をほぼ全量回収可能なゼロエミッション石炭火力発電の
早期実現させるでつ。

IGCCシステムの基幹技術であるガス化炉、ガス精製装置、ガスタービンの開発を中心に進め、
送電端効率42%(HHV※3)を見通すための要素技術を確立するでつ。

具体的には、1日当たりの石炭処理量50t規模の石炭ガス化炉にてO2/CO2ガス化技術を実証するとともに、
1日当たりの石炭処理量が3t規模の小型ガス化炉において幅広いCO2濃度範囲でCO2がガス化反応に及ぼす影響を
解明するでつ。

また、これらの生成ガスによる試験により乾式ガス精製システムの検討を行うでつ。

さらに燃焼器試験や数値解析等によりセミクローズドガスタービンシステムの設計を行うでつ。
IGCCシステムの基幹技術であるガス化炉、ガス精製装置、ガスタービンの開発を中心に進め、
送電端効率42%を見通すための要素技術を確立。

具体的には、1日当たりの石炭処理量50t規模の石炭ガス化炉にてO2/CO2ガス化技術を実証するとともに、
1日当たりの石炭処理量が3t規模の小型ガス化炉において幅広いCO2濃度範囲でCO2がガス化反応に及ぼす影響を解明。

また、これらの生成ガスによる試験により乾式ガス精製システムの検討を行うでつ。
さらに燃焼器試験や数値解析等によりセミクローズドガスタービンシステムの設計を行うでつ。

セミクローズドシステムも長らく眠ってた技術。
それをようやくという感じでつなぁ~
まだまだ埋もれた技術を活かさないといけないでつ。

HAガスタービンの最新型「7HA.03」を発表

2019-10-16 07:10:29 | ガスタービン
GEは、HAガスタービンの最新型「7HA.03」を発表したでつ。
Hクラスの最新型「7HA.03」は、60Hzガスタービンの中でもガスから電気への変換コストが最も低い水準となり、
世界最大かつ最高効率で、高い運用柔軟性を実現したでつ。

Hクラスのガスタービンで培った28年の経験をもとに、7HA.03は歴代シリーズで最も低い排出量を実現そたでつ。
7HA.03の導入により、フロリダ・パワー&ライト・カンパニーのダニアビーチ発電所の発電効率は世界の発電所の中でも最高レベルになるでつ。

信頼性が高く安価で質の良い安定した電力の供給は経済発展に不可欠かつ生活の質の基盤であり、7HA.03の導入はこうしたニーズの拡大に対応するもの。
7HA.03の初号機は、フロリダ・パワー&ライト・カンパニーのフロリダ州フォートローダーデール近郊のダニアビーチ・クリーン・エネルギー・センターに
納入されるでつ。

GEのHAガスタービンの構造や系譜を受け継ぎつつ、7HA.03では、ガスから電気への変換コストの最小化とともに業界トップレベルの運用柔軟性を実現。
世界最大かつ最高効率、最大の発電容量の60Hz向けガスタービンとして、業界を一歩前進させるものとるでつ。




7HA.03の各性能は7HA.02と比べて向上しており、2軸のコンバインドサイクルの場合、発電容量は米国内10万500世帯分の必要電力に相当する134MW増加。
発電効率は0.4%向上し、米国の発電事業者であれば年間90万米ドルのコスト削減が見込まれるでつ。

28年の歴史を有するHクラスの技術を継承し、実績あるGEのHAシリーズの構造を基盤とした7HA.03ガスタービンは、世界で最も急速に普及しているガスタービンの設計と
一貫性を維持しつつも、Hクラスの進化を実現。
7HA.03ガスタービンは、発電容量とパフォーマンスの向上、運用柔軟性の強化、並びに投資コストの削減と設置時間の短縮という3つの主要領域で大きな改善をもたらすでつ。

フロリダ・パワー&ライト・カンパニーは、信頼性の高いエネルギーの提供を追求しているでつ。
GEは長年、発電設備の革新に取り組んでて、その一環として、老朽化した発電機をGEの最新技術が搭載された新しい高効率設備に交換。

GEの60Hzガスタービンの中で最高効率の最新鋭ガスタービンである『7HA.03』をダニアビーチ・クリーン・エネルギー・センターに導入することで、

フロリダ・パワー&ライト・カンパニーはご家庭や事業所でエネルギーをお求めのお客様に対し、今後も安価なエネルギーを安定的に提供し続けることができるでつ。

7HA.03では、他のHAガスタービンの設計をもとに新たな設計要素をいくつか取り入れ、これまで以上に高いパフォーマンスを実現。
R1チタン製の1ブレードを大きくすることで出力を向上し、さらにはGEの60Hzガスタービンでは初となるDLN 2.6e燃焼システムの導入により、
排出規制を遵守しつつ燃焼温度を上昇させたでつ。

また、30%まで出力を抑えながらも排出規制に対応することができ、負荷変化率は毎分75MWに向上(7HA.02比で15MW増)。
これにより、発電事業者は市場や電力網の状況に対し、より素早く対応できるようになるでつ。

60Hzガスタービンとして次に業界をけん引する存在となる7HA.03をご紹介できることは喜ばしい限り。
HA技術の最新型である7HA.03は、ダニアビーチ発電所に初導入されるでつ。
今後も、アメリカやアジアをはじめとする世界各地の発電事業者の皆様に、この優れたガスタービンがもたらすメリットをご提供していくとのこと。

フロリダ州ブロワード郡に位置するダニアビーチ・クリーン・エネルギー・センターによる最新鋭の発電技術への投資は、大きな注目を集めるでつ。
この投資により、同発電所は「クリーンさと発電効率において世界の発電所の中でも最高レベル」となるでつ。

また、このプロジェクトではライフサイクル全体を通して3億米ドル以上のコストを削減できるなど、新型設備により顧客にとっても大きな経済効果があるでつ。
また、古い発電設備を交換することで、大気への排出量を大幅に削減することにもなるでつ。
ダニアビーチ発電所の効率性を高めることで、フロリダ・パワー&ライト・カンパニーのシステム全体での天然ガス使用量削減を実現することもできるでつ。

コンバインドサイクル発電による7HA.03ガスタービンの発電効率は現在64%超となっており、シンプルなモジュラー設計によりコンバインドサイクル発電所の
パフォーマンスをトップレベルに向上させ、設計・調達・建設(EPC)の提携事業者による設置期間の短縮と発電所のコスト効率向上を実現。
商用稼働中のHAユニットは現在世界全体で40基あり、米国内1,350万世帯の必要電力に相当する18GWの電力を供給。

HAガスタービンシリーズの総運転時間は41万5,000時間を超え、18か国40社以上のお客様から計100件もの受注を獲得。
ちなみにGEは、ギリシャのアギオス・ニコラオス発電所からの受注により販売数100基を達成したでつ。

GEは好調な売れ行きに慢心せず、稼働データや現場観察による気付きをもとに、HAガスタービンの維持管理や修理、改良計画を進めていくとのこと。
また、HAガスタービンは50Hz・60Hzの両区分で世界最高効率の発電所に採用されているとして評価されているでつ。

7HA.03ガスタービンは、出力440MW、スタートアップは、10秒、単体の効率は、43.2%、コンバインドサイクルだと64%を超えるでつなぁ~
蒸気冷却の威力はすごいし、さすがはGEでつなぁ~
技術の熟成がさすがでつ。

J形ガスタービンの運転実績をふまえた 1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発

2019-09-29 23:29:19 | ガスタービン
豊富な運転実績と先端技術研究,検証に基づく 絶え間ないガスタービン開発を通じて,
地球環境保全及びエネルギーの安定供給。

最近では 2004 年から参画した国家プロジェクト“1700℃級超高温ガスタービン要素技術 開発”の成果を活用して,
世界初となるタービン入口温度1600℃の高効率機M501J形を開発し, 世界各国で運転実績を積み上げているでつ。
実績あるJ形をベースに,燃焼器強制空 冷システム,超厚膜 TBC(Thermal Barrier Coating),
高圧力比圧縮機を中核技術として適用した,次世代 1650℃級の JAC(J Air Cooled)形ガスタービン開発状況を
報告するでつ。

これらは 個々の要素としては検証済であり,最終的な検証として,2020年 高砂工場内設備にて実機検証開始を予定。




近年,地球環境保全及びエネルギー安定供給の観点から,従来火力と比べ高効率かつ運用性に優れる
ガスタービンコンバインドサイクル発電プラント(GTCC)の重要性が高まっているでつ。

GTCC の高効率化にはガスタービンの高温化が重要な役割を果たしており,1980年代に
1150℃級大容量ガスタービン M701D 形を開発後,タービン入口温度 1350℃の M501F 形,
蒸気冷却式燃焼器を採用したタービン入口温度1500℃のM501G形を開発(図1)。




高いプラント熱効率と信頼性及び低公害性を実証してきたでつ。
2004 年からは国家プロジェクト“1700℃級超高温ガスタービン要素技術開発”に参画して
高温・高効率化に欠かせない最新技術の研究開発に取り組み,その開発成果を活用して,
世界初のタービン入口温度 1600℃となる高効率機 M501J 形ガスタービンを開発。
高砂工場内のガスタービン複合サイクル発電プラント実証設備(T地点)にて 2011 年から実証運転を開始し,
その後 M501J 形 GTCC の運転実績を着実に積 み重ねているでつ。

J形ガスタービンは燃焼器の冷却に蒸気冷却方式を採用しているでつが,高いタービン入口温度を
維持したまま空冷化できれば,GTCC の更なる高効率化と運用性改善が期待できるでつ。

そのため,は高温ガスタービンの空冷化を実現する次世代 GTCC の開発に取り組み,
その中核技術 である強制空冷システムを考案。

2015 年春に 高砂工場内のT地点にてシステム全体の検証試験を完了し,その後,
現在まで 10000 時間以上の長期運用を実施。

最新鋭の高効率ガスタービンの開発と運用状況,及び実績あるJ形をベースに,
燃焼器強 制空冷システム,超厚膜 TBC,高圧力比圧縮機を中核技術として適用,次世代
1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発状況を以下に記載するでつ。

M501J 形は,豊富な運転実績のあるタービン入口温度 1400℃級F形,1500℃級G形・H形で
実証済みの要素技術を基盤とし,国家プロジェクトで開発された 1700℃級の最先端の技術開発成果を
適用することにより,タービン入口温度 1600℃が達成可能となったでつ。

タービン入口温度の上昇及び最新の要素技術の採用により,GTCC 発電端熱効率は従来機と比べて大きく上昇。
CO2 排出量は,従来型石炭焚き火力発電所を天然ガス焚きJ形コンバインドサイクル発電所に置き換えた場合,
約6割の削減が可能。

図2にM501J 形の技術的特徴について示すでつ。




M501J 形ガスタービンの開発は,基本設計の段階で各要素の検証試験を実施し,その結果を詳細設計に反映,
最終的に実証発電設備にてガスタービン全体の実機検証実施というステップを踏んできたでつ。

図3に 高砂工場内のガスタービン複合サイクル発電プラント実証設備(通称 T地点)の外観を示すでつ。




M501J形初号機に対して,2300点に及ぶ特殊計測を実施し,性能,機械特性,燃焼特性が目標値を満足することを
実証した上で,商用機を出荷。

J形ガスタービンは国内外合計 57 台受注,順次出荷してて,現在まで 39 台が商用運転に入ってて,
累計 76.8 万時間以上の運転時間を達成(図4)。




次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの基本コンセプトは、実績のあるJ形に対し,
検証済の要素技術:①燃焼器強制空冷システム,
         ②超厚膜化 TBC,
         ③高圧力比圧縮機,を適用することによってJ形よりも高効率化,
          運用性を改善させる 1650℃級次世代 JAC 形ガスタービンの開発を進めているでつ(図5)。




本ガスタービンの基本コンセプトについて以下に述べるでつ。
 ①強制空冷システム採用により,運用性を向上させるとともにタービン入口温度を上昇させるでつ。
 ②タービン入口温度が 501J 形から+50℃となるでつが,国家プロジェクト技術をベースに開発された超厚膜化 TBC の
  採用により,高性能化と信頼性を両立させるでつ。
 ③圧縮機はH形と同等の高圧力比設計を採用することにより,ガスタービン出口排気ガス温度 の上昇を抑制するでつ。

図6に示す通り,上記の個々の要素技術は検証完了しており,JAC 形へ反映,適用されているでつ。




J形とJAC 形のガスタービン性能比較を,表1に示すでつ。




JAC 形ガスタービンに適用する要素技術の検証状況について述べるでつ。
図6に示すように,これらは個々の要素としては検証済であり,最終的な検証として 2020 年り実機検証を
予定しているでつ。

燃焼器強制空冷システムJ形ガスタービンは燃焼器の冷却に蒸気冷却方式を採用しているでつが,
高いタービン入口温度を維持したまま空冷化できれば,GTCC の更なる高効率化と運用性改善が期待できるでつ。
そのため, 高温ガスタービンの空冷化を実現する技術として,強制空冷システムを考案。

強制空冷シス テムの採用により,タービン入口温度 1650℃級であっても空冷化を実現でき,
高い複合発電効 率の達成とともに,プラント全体の運用性改善が可能となるでつ。

本システムは 2015 年春に,T地点にてシステム全体の実機検証試験を完了しており,その概要を紹介するでつ。

強制空冷システムは圧縮機出口(燃焼器車室)から抽気した空気を強制冷却空気冷却器(クー ラー)にて冷却し,
その後強制冷却空気圧縮機で昇圧して燃焼器の冷却に用いたのち車室に戻す冷却系統としているでつ。
図7に強制空冷システムの概略図を示す強制空冷システムの特徴について以下に述べるでつ。




(1) 強制冷却空気冷却器の排熱をボトミングサイクル側で回収させ効率のよいシステムとすることが可能
(2) 燃焼器冷却構造を最適化することで既存の蒸気冷却と同等以上の冷却性能達成が可能
(3) 蒸気冷却に比べ GTCC 全体の起動時間短縮が可能 強制空冷システムを採用した次世代 GTCC の効率向上には,
   少ない冷却空気量で効率的に 冷却可能な燃焼器を開発し,強制冷却空気冷却器の排熱低減と回収効率向上,
強制冷却空気 圧縮機の動力を低減していくことが重要。

強制空冷システムの実機検証 図8にT地点で実施した強制空冷システム検証設備全景及び系統概略を示すでつ。





2015 年春,このT地点検証設備にて,強制空冷システムの運用性,すなわち起動停止,負荷変化,
負荷遮断といった過渡的な変化に対する追従性を検証し,すべて問題ないことを確認したでつ。

ガスタービントリップ試験時の強制冷却空気圧縮機運転点挙動についても試験を実施し,ガスタービン 100%負荷からの
トリップにおいて,強制冷却空気圧縮機がサージに入ることなく,安全に停止できることを確認。
T地点では今なお強制空冷システムにて運転,長期検証を実施しており,10000 時間以上の 運転実績を積み上げているでつ。

この強制空冷システムをベースとし,負荷運転時のクリアランスコントロールを可能とする系統についても検証。

本系統では,冷却空気を,タービン翼環をバイパスさせて直接燃焼器へ導 入する供給方法と,
負荷運転中のタービンクリアランスを低減することで性能を最大化するため, タービン翼環に通気した後に
供給する方法の2系統があり,負荷運転中でも切換弁(三方弁)にて切り換え可能。

前者では,クリアランスを開けておくことで大きな負荷変化運転に対応可 能である(Flexible Mode)。
一方後者では負荷運転中にクリアランスを詰めることができ,性能を最 大化できる(Performance Mode)。

図9に負荷運転時の三方弁切り換えによるクリアランス挙動を示す。本システムにより性能を最大化したまま
従来以上の運用性向上が期待できるでつ。





1650℃級 JAC 形ガスタービンは 501J 形からタービン入口温度が+50℃となるでつが,超厚膜化 TBC の採用により,
高性能化と信頼性を両立。

一般的に TBC を厚くすると耐久性が低下するが,国家プロジェクト技術をベースに開発された TBC は従来以上の
耐久性を有し,超厚膜化が可能。

なお,超厚膜化 TBC の検証は,施工検証としてクーポン試験片を採取し,ミク ロ組織,気孔率を確認したのち,
熱サイクル試験を実施して耐久性に問題ないことを実翼適用前 に確認。

実機検証では燃焼器,タービン1~3段動静翼,分割環に超厚膜化 TBC を施工し, 長期検証によって信頼性を確認。
図 10 にタービン1段静翼にて実施した超厚膜化 TBC の検 証状況を示すでつ。




1650℃級 JAC 形ガスタービンの圧縮機は,運転実績のあるH形と同等の高圧力比設計を採用し,圧力比を
J形の23 から 25へ上昇させることにより,ガスタービン入口温度上昇に伴う排 気ガス温度の上昇を抑制。

高圧力比の圧縮機は出口流路面積を相対的に絞った設計とすることから,圧力比の低い起動中には流量が減少し,
旋回失速が相対的に悪化する懸念があるでつが, 2001年T地点H形圧縮機(圧力比 25)にて検証済。

これに加え2018 年5 月にはT地点にてJ形ベース,圧力比 25 として設計した圧縮機の実機検証を実施し,
起動特性及び空力性能が良好であることを確認(図 11)。




ガスタービン高温部品(静翼,分割環)の冷却空気削減による性能向上を狙いとし,現工法では製作不可能な
複雑冷却構造の3D金属積層造形技術の開発を進めているでつ。

課題の一つである 造形物の材料強度確保のため,材料組成の調整と造形・熱処理プロセスの適正化に取り組み,
高温環境での3D金属積層造形物の要求強度を確保。
現在,ガスタービン高温部品(1段分 割環)にて実証試験実施中。

今後は,複雑構造の高精度造形技術の開発に取り組む計画 。




1650℃級 JAC 形は,運転実績のあるJ形に対し,検証済の要素技術を適用したガスタービン であり,
個々の要素としては検証されているでつが,最終的な検証として 2020 年より初号機の実機検 証を予定。
本章ではガスタービン初号機の製作状況,及び実証のための高砂工場内設 備の更新状況について述べるでつ。

次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの初号機製作状況 1650℃級 JAC 形初号機は,3章のガスタービン設計基本コンセプト,
及び4章の要素開発検 証結果に基づいて圧縮機,燃焼器,タービン翼の開発設計を進め,初号機の製作を完了。

回転部品については 2018 年 12 月に高速回転試験を実施し,ロータ軸,圧縮機動翼,タービン動翼の加振試験によって
離調成立性に関して問題ないことを確認(図 13)。




この結果を踏まえ,2019 年6月に実証試験設備に向けて本体出荷を完了。(図 14,15)






GTCC 実証設備の更新状況 新たに開発する GTCC の実証試験運転を行うには,ガスタービン本体だけでなく,
既存の発電 機,主変圧器,排熱回収ボイラなどの主要機器も次世代機の仕様に合うよう更新する必要。
このため,既設のT地点実証設備を廃止し,新たな実証設備建設のため更新工事を実施中 。

図 16 に新実証設備の建設状況を示すでつ。




現在,2020 年の次世代 1650℃級 JAC 形の実証開始に向けて準備を進めてて,これまでの G形,J形同様,
新たな実証設備にて着実に検証を行っていき,更なる省エネルギー・低公害化 の社会的ニーズに応えていくでつ。

GTCC の高効率化にはガスタービンの高温化が重要な役割を果たしており, MHPS は 2004年から参画した国家プロジェクト
“1700℃級超高温ガスタービン要素技術開発”の開発成果を活用して,世界初のタービン入口温度1600℃の高効率機M501J形を
開発し,その運転実績を着実に積み重ねてきているでつ。

GTCC の更なる高効率化と運用性改善のため,実績あるJ形をベースに,燃焼器強制空冷システム,超厚膜 TBC,
高圧力比圧縮機を中核技術として適用した,次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発を進めているでつ。

これらは個々の要素としては検証済であるでつが,最終的な検証として実機検証を予定してて,
既設のT地点実証設備を廃止し,新たな設備にて 2020 年実証開始予定。

さらなる進歩と効率化が必要になるでつが、この技術をダウンサイジング化できれば、
分散型エネルギーの効率アップにつながるんだけど…

シーメンスのガスタービンなり~

2019-09-02 07:10:29 | ガスタービン
ドイツのシーメンス社は,第二次世界大戦後に電力用大型ガスタービンの開発,製造に着手した
オリジナルガスタービンメーカー4社の一つ。

そのV形 ガスタービンの最新形はSGTx-4000F形機(従来名称: V94.3A/ V84.3A)であり,
1990年代後半から世界各地 で運転を開始。

シーメンス社は1998年にウェスチングハウス社の火力部門を吸収し,W形ガスタービン(従来名称: W501D5A/W501F/W501)を
製品系列に加えたでつ。

2003 年にアルストム社の小型ガスタービン部門を吸収した後,2005年には全ガスタービンの
モデル名をSGTx(Siemens Gas Turbine)に統一してリネームしたでつ。

現在 の同社の製品系列を表1に示すでつ。




従来のV94.3AはSGT54000F,V84.3AはSGT6-4000Fと呼ばれ,5-は50Hz機, 6-は60Hz機,FはFクラス機であることを示すでつ。
このSGTx-4000F形機の開発経緯,特徴お よび改良実績を説明するでつ。
また,現在発電所において実 機実証試験中の次世代機SGT5-8000H(Hクラス機)の概要について紹介するでつ。

図1にSGTx-4000F形機の断面図を示すでつ。





SGTx-4000F形機は,初号機が1990年に運開した 1,300℃級の第3世代機(V94.3/V84.3)をベースに,
高効率,高出力化を図った改良機でつ。
1990年から,プラットアンドホイットニー社の先端 航空機エンジン技術を導入し,開発を開始。

先ず, 第3世代機からタービン入口温度(ISO温度 1,160→ 1,190℃)と圧力比(16→17)を上昇,
および翼列性能 や冷却技術の向上により,単体熱効率は約5%(相対値), 出力は約10%上昇。
開発機の検証試験は,ベルリン工場の全負荷試験設備 (水摩擦動力計)を使ってSGT6-4000Fで実施。

1994年から2年間,改良と検証を繰り返し。
SGT5-4000F/SGT6-4000Fの導入機は1996/97年に夫々現地で運転を開始。
更なる高効率,高出力を目指し,1990年代後半にはター ビン入口温度(ISO温度)を1,230℃に上昇。

この 時点で単体効率は38.5%を超え,コンバイドサイクル効 率は当初目標とした58%LHV(約52%HHV)を実現。
表2にSGTx-4000F形機の最新の性能諸元を示すでつ。




基本構造は,これまでの全てのV形ガスタービンと同 様,数十年来の実証済み技術をベースにしているでつ。
 ・ シーメンス式ディスク型ロータ(半径方向に切られ た鋸歯状のハースセレーションを介して1本のセンタータイボルトで
ディスクを結合する構造(写真1))




 ・高温部に軸受を持たない2軸受支持方式
 ・保守点検が容易な水平2分割ケーシング構造
 ・圧縮機側に発電機を配置するコールドエンドドライブ方式
 ・コンバインドサイクルに適した軸流排気
 ・ 大型燃焼室内でのマルチバーナ燃焼(点検時に高温 部品に容易にアクセスできるでつ(図2))




 ・ 気液両燃料での低NOx予混合燃焼が可能な24個の ハイブリッドバーナ(図3)




SGTx-4000F形機では,従来のサイロ形燃焼器に比べ 冷却の必要な表面積が小さいアニュラー形燃焼器を採用。
これにより燃焼器冷却空気量を低減し,予混合の 燃焼温度を低NOx,低COに有利な約1,500℃に保持したまま,
タービン入口温度を上昇させているでつ。

第3世代機では,高温化に対処するため,タービン第 1段動静翼の冷却空気を外部冷却する方式を採用。

この外部冷却によるタービン翼の熱応力問題と熱効率 の低下を解消するため,および冷却空気の最小化により
タービン入口温度(ISO温度)を向上させ熱効率を向上させるため,SGTx-4000F形機では,更に高温化したにも係らず,
下記の対処により外部冷却を不要としたでつ。

 ・ タービン各段動静翼の冷却空気は,圧縮機のそれぞ れ相当する圧力温度位置から抽気し外部および
ロータ内部通路を通って供給(図4)




 ・ 単結晶翼材(SC翼)および遮熱コーティング(TB C)の採用
 ・ 高性能フィルム冷却(シャワーヘッド冷却,シェー プドホールフィルム冷却)の採用(図5)




15段の圧縮機翼列および4段のタービン翼列は,航空機エンジンでの試験結果をベースに,計算機流体力学 (CFD)手法で
3次元流れ設計。
圧縮機翼列は全15段にわたって剥離を抑制する拡散制御翼型(CDA翼)を採用し,内外径部では翼型の壁面修正を実施。

SGTx-4000F形機は導入当初に初期問題を経験したでつが,次のような改良を実施して信頼性を向上。

燃焼振動は火炎の不安定により生じる音響系との共鳴が原因であり,高温ガスタービンでは特に顕著。

SGT5-4000F形のアニュラー形燃焼器では,バーナ出口 に発生する環状渦が原因で問題を生じたでつ。

この解決策としてバーナ設計を改良し(HR3型バー ナ),バーナ出口に円筒状の延長部(CBO:Cylindrical Burner Outlet)を追設。

これにより環状渦による 可燃性混合気の形成が抑えられ,自発火とそれに伴う音 響系の共鳴を消滅。

燃焼器ライナ保持機能の強化ということで、従来と同様,SGTx-4000F形機の燃焼室は,
熱遮蔽ライナ(合金製ヒートシールドおよびセラミックタイル) で覆われているでつ。

運転条件の厳しいSGTx-4000F形機で は,この熱遮蔽ライナの保持力不足を経験。

ライナ保持部の設計変更で保持力を強化し,全運転領 域で緩みに対して充分な裕度を確保。

タービン翼の局部過熱は、高温部品の点検時に,タービン静翼の内外シュラウド 表面や動翼先端の局部過熱が発見。

冷却空気孔の配置,形状・寸法の見直し,冷却空気パ ターンの改善と実測での効果検証により解決。

SGTx-4000F形機の高出力,高効率および低排出物の ための改善は,継続的に行われてきているでつ。

高出力,高効率の改善は、圧縮機側のジャーナル・スラスト複合軸受部に設置した
油圧式翼隙間調整装置(HCO:Hydraulic Clearance Optimization)により,運転中のロータ軸位置を変えることで
タービン翼先端隙間を減少させ出力と効率を向上させる方式が開発され,実機での効果確認と改良を経て,
最近の改良型機で採用されているでつ。
圧縮機前側段の翼の再設計(翼の食違角の変更)で吸気流量を増加させる出力増加等の見直しは,
検証試験を経て段階的に実施されてるでつ。

排出物(NOx)の改善は、予混合燃焼でのNOx排出濃度(15%O2)は,ガス燃料では25ppm以下,油燃料では75ppm以下が,
また油燃料と水とを予め混合したエマルジョン燃焼ではガス 燃料に近い30ppm以下も確認され実機適用されてるでつ。

従来,約50%負荷以上では予混合燃焼(予混合バーナ+ パイロットガスバーナ)だが,50%負荷以下では
拡散燃焼(拡散バーナ)運転のためNOx排出濃度が高く,地域の規制によっては,低負荷での連続運用の
制限要因となっていたでつ。

改良型のHR-3型バーナの採用等で火炎の安定化が確認され,ガス燃料では現在,拡散バーナを削除した全負荷域での
予混合燃焼が標準として採用され,低負荷域の運用性を改善しているでつ。

運転実績SGTx-4000F形機は既に約230台を受注し,約170台以上が運転に入っているでつ。

SGTx-4000Fの信頼性係数は,2000年以降はEクラス機のSGT5-2000E(従来名称:V94.2)とほぼ同一レベルにあり,
SGTx-4000Fは既に成熟機と見なせるでつ。

2000年からの市場調査,開発期間を経て,シーメン スの次世代機SGT5-8000Hは実機検証段階に入ったでつ。
SGT5-8000Hは,ウェスチングハウスを吸収後に開発さ れた最初の機械であり,両社の実証済み技術の上に
最新技術が反映されているでつ。

2001年に確立した開発方針は,以下の市場要求を満足 することでつ。
 ・ コンバインドサイクル効率(送電端)60%LHV (約54%HHV)以上
 ・短い起動時間と高い運転柔軟性(運用性)
 ・低ライフサイクルコスト
 ・高信頼性,高利用率
 ・低排出物 NOx 25ppm,CO 10ppm( 15%O2)以下
 ・低負荷での高効率,低排出物

2001年から概念設計,基本設計を開始し,これと並行して燃焼器の各種リグテスト,モデル試験,
新型圧縮機のモデル試験(2005年)等を実施。
特に運用性の観 点から,空気冷却方式が選定されたでつ。

2007年4月にプロトタイプ機をドイツのイルシング発電所4号機サイトに出荷,2007年12月に初点火,
2008年 4月にベースロードに到達,現在18ヶ月間の検証試験が進行したでつ(写真2)。




SGT5-8000Hの特徴は、SGT5-8000Hの計画諸元を表3に示すでつ。




主要な構造上の特徴を以下に示すでつ(図6)。
 ・ 高負荷,高効率の新型13段軸流圧縮機。低圧側は 拡散制御翼型(CDA翼),後段の高圧側は高圧翼型 (HPA翼)を採用。
  運用性を最適化するため,入口 案内翼(IGV)を含み4段の可変静翼
 ・空冷式の16×カンアニュラ燃焼器
 ・ 空冷式の4段タービン。第1段動静翼は単結晶翼。
  第1~3段動静翼はTBC付き。
 ・ ロータはシーメンスオリジナル構造(ハースセレー ション付ディスクを1本のセンタータイボルトで締付ける方式)。

油圧式翼隙間調整装置(HCO)付き。  
高効率の特徴を以下に示すでつ。

 ・ 冷却空気の漏れを低減した最先端のシールシステム
 ・最先端の翼列設計を採用した新型圧縮機(写真3)





 ・ 最先端材料の採用によるタービン入口/排ガス温度 の上昇
 ・ 高排ガス温度に基づき,ベンソン式HRSGを使用した高蒸気条件(170bar,600℃)のコンバインドサイクルプロセスが可能

性能,システムの健全性および運転の最適化は,3,000 点以上の計測点を使用し,実機で検証したでつ。

イルシング発電所4号機は2段階で建設されるでつ。
第 1段階では,シーメンスがシンプルサイクルプラントでSGT5-8000Hのプロトタイプ試験を行ったでつ。  

第2段階では,SGT5-8000H 商用機に改造し,ベンソ ン式HRSG,2流排気2車室式蒸気タービンを追設して,
高効率の一軸式コンバインドサイクル設備を建設するでつ。

プラントとしての最適化,検証試験終了後,2011年に顧客への引渡しされたでつ。

ガスタービンやコンバインドサイクルの開発や改善は,変化する市場からの需要を先取りして,継続的に行われているでつ。

成熟市場といわれる電力分野でつが,高性能化や環境負荷の低減,信頼性の向上,運転柔軟性の増大,
ライフサイクルコストの低減など,追求すべき課題は少なくないでつ。

これらの要求を満足すべく,今後もガスタービンの開発,システムの最適化が進み,
近い将来に60%LHV以上の熱効率も達成されるでつ。

さすがにドイツ シーメンスの技術は世界最高峰でつなぁ~

水蒸気の10倍のエネルギーで発電する「超臨界CO2タービン」が次期エネルギーの本命かなぁ~

2019-08-31 07:10:29 | ガスタービン
発電所では、タービンを回すのに水蒸気が使われるのが一般的。

だけど、水の代わりに二酸化炭素を使うと、30パーセント高い発電効率でエネルギーを生み出せるという論文が
発表されたでつ。

米エネルギー省も期待する「超臨界CO2タービン」の可能性は高いでつなぁ~

二酸化炭素はすごい分子。

二酸化炭素といえば、動物が呼気として放出し、植物が吸収する物質であることや、気候変動のいちばんの原因で
あるとされていることが一般的。

だけど、二酸化炭素にはもっと多くの可能性があるでつ。
たとえば二酸化炭素によって、電力業界をもう少し環境にやさしいものにできると考えている技術者たちがいるでつ。

二酸化炭素の回収と貯留をひとひねりしたものに思われるでつが、そうではないでつ。

熱を電気に変える巨大な装置、タービン発電機のこと。
ほとんどの発電所は蒸気タービンを利用。

だけど、水を水蒸気に変えるには大量のエネルギーが必要。
室温では気体で存在する二酸化炭素なら、そうした問題を避けられるでつ。
おまけに、圧縮するのは水と比べてはるかに容易なので、タービンに大量に詰め込むことができるでつ。

超臨界流体(温度と圧力のバランス上、気体と液体の区別がつかない状態)になった二酸化炭素なら、いまより小型のタービンで
もっと多くの電力を生み出せるでつ。

水を使うのは効率が悪いでつ。
米国における電力の3分の2以上は、「ランキンサイクル」と呼ばれる熱サイクルで稼働する蒸気発生器によってつくり出されているでつ。

まずは、水をポンプで圧縮してから加熱する。加熱方式は、石炭の燃焼でもいいし、放射性物質の崩壊でもいいし、何千ものミラーで
反射させた太陽光でもいいでつ。

加熱によって水を沸騰させ、蒸気を発生させるでつ。
そして、さらにどんどん加熱していく。蒸気を限界まで高温にしてからタービンに送り込むと、タービンブレードが回転し、
取り付けられた発電器が電力を生み出す。その後、低圧となった水蒸気は復水器に送られ、水になってポンプに戻るでつ。

そして、このサイクルが新たに始まるでつ。

ランキンサイクルは、1世紀以上にわたってうまく機能してきたし、最近までは状況を変える理由が何もなかったでつ。
発電費用がかなり安く済み、石炭使用の結果(気候変動)が直ちにはわからなかったからでつ。

だけど、ランキンサイクルは効率が悪いでつ。
水を使用することがその主な理由。

「サンショット・イニシアティヴ」(米エネルギー省が太陽光発電システムのコスト削減に向けて2011年に開始した技術開発プロジェクト)は、
ランキンサイクルについて、氷から水に、あるいは、水から水蒸気に、といった具合に何かの相を変化させるのには、多くのエネルギーを
加える必要があるでつ。

つまり、ランキンサイクルを経る蒸気発生器は、水を沸騰させるための多量のエネルギーを無駄にしているわけ。

二酸化炭素を使えば、高効率で省スペースも可能になるでつ。
二酸化炭素を利用するタービンは、「ブレイトンサイクル」と呼ばれる、液相のプロセスがないサイクルを利用。

全体を通して気相を利用するので、結果的にエネルギーの利用効率が向上するでつ。

さらに二酸化炭素は、水と比べて圧縮が容易。
高エネルギー状態になった二酸化炭素を、少ない体積により多量に詰め込むことができるでつ。

二酸化炭素に熱と圧力を加えて超臨界状態の二酸化炭素にすると、水蒸気の10倍のペースで
エネルギーをタービンに送り込めるでつ。

その結果、超臨界二酸化炭素発電システムでは、エネルギーを電力に変える効率が30パーセント高まるでつ。
さらに、こうした発電器は小型でシンプル。
気相だけを扱うので、部品が少なくて済むからでつ。

ひとつだけ改良しうる点があるとすればそれは、何らかの方法で大気から集められた二酸化炭素を利用できると
さらにいいという点。
現在は、閉鎖系に滞留している二酸化炭素に頼っているでつ。

タービンの温度変化が課題は…
システムを実現するうえでの障害は何かというと、それは、タービンが受ける温度変化。

高エネルギー状態での大きな温度勾配になり、タービンに機械的ストレスが与えらるでつ。
つまり、亀裂や膨張、変形が起きない金属で二酸化炭素用タービンを製造し、
酷使に耐えるのに十分な大きさにすることが必要。

超臨界二酸化炭素タービンを使う発電所のプロトタイプを建設すると発表。
総額8,000万ドルのこのプロジェクトは、約6年後に操業開始し、数千世帯の電力需要を賄うのに十分な10メガワットの
エネルギーを生成する予定。

少なくとも10年間は、超臨界二酸化炭素用タービンが従来型の蒸気タービンに取って代わり始めることはないと考えているでつ。
それまでには石炭が使用されなくなるかもしれないでつが、それでも問題はないでつ。
この技術は、太陽熱発電所や原子力発電所など、熱を電気に変えるどんな発電所でも利用できるでつ。

超臨界CO2サイクル火力発電システムは燃料のガス(天然ガスか石炭ガス)と酸素を燃焼させてタービン発電機で発電。
この点は従来のガス火力発電と同様だでつが、発電に伴う排気ガスを冷却してCO2と水に分離することができるでつ。

さらにCO2を高圧の状態で回収して燃焼器に送り、ガスや酸素とともに燃焼させて発電に利用する仕組み。
現在のガス火力発電で主流になっているガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル方式(ガスタービン複合発電)と
同等の高い発電効率になるでつ。

コンバインドサイクルと比べて1つのタービンで発電機を構成できるため、プラント全体の規模が小さくなって発電コストを低減できる
メリットがあるでつ。
しかもCO2を分離・回収する設備が不要になるでつ。

超臨界CO2サイクル火力発電システムでは、30メガパスカルの高圧の状態でCO2を回収できるでつ。
超臨界状態のCO2は温度と圧力を変化させると、気体のような拡散性と液体のような溶解性を発揮。
拡散性によって燃料のガスと一緒に燃焼させることや、溶解性を生かして他の物質に吸着して回収することも可能。

日本は火力発電に伴うCO2排出量を削減するために、次世代の火力発電技術の開発促進に力を入れているでつ。
2030年をめどに石炭火力で約3割、ガス火力で約2割の削減が可能な発電技術を実用化する計画。

それでも大量のCO2を排出することから、CO2を分離・回収する技術の開発を並行して進めているでつ。

最大の課題は分離・回収にかかるコストを低減させることで、2030年までに現在と比べて4分の1程度まで引き下げることを
目指している2030年の時点で実用化できる最先端の火力発電技術とCO2分離・回収技術を組み合わせた場合に、
100万キロワット級の発電設備でCO2分離・回収コストは年間に50億円程度になる見通し。

発電事業者にとっては次世代の火力発電によって燃料費を削減できるメリットがある一方で、
CO2を分離・回収するコストは小さくないでつ。

そうなるとCO2を100%回収できる超臨界CO2サイクル火力発電システムは有望。
政府が策定した次世代の火力発電のロードマップには、今のところ超臨界CO2サイクル火力発電は盛り込まれていないでつ。




テキサス州の実証運転の結果によっては、2030年に向けた有力な火力発電技術の1つになるでつ。

その技術は、直接燃焼方式による超臨界CO2サイクル火力発電システムは、直接燃焼方式による超臨界CO2サイクル火力発電システムとは、
簡単に言うと高温高圧の超臨界状態となったCO2でタービンを回して発電するシステム。

外部から間接的にCO2を加熱してタービンを回す方式の研究はいくつか例があるでつが、燃料を燃焼させて発生したCO2を直接送り込んで
タービンを回す今回の方式は世界初。

この方式の特徴は2つ。

1つ目は、単一のタービンだけで、ガスコンバインドサイクル発電システムと同等の発電効率を発揮すること。
ガスコンバインドサイクルでは、ガスを燃焼させた排気でタービンを回し、排気の熱を使って水蒸気を作り、この水蒸気でもタービンを回すでつ。
合計で2つのタービンを回して発電しているでつが、今回の方式では1つのタービンだけで同等の発電効率を得られるので、施設をコンパクトにできるでつ。
またタービン自体も、同程度の発電能力を持つガスタービンと比べて小さく作れるでつ。

もう一つの特徴は、発電施設のほかにCO2を分離、回収する設備を設置する必要がないこと。
ガスタービンを回した後のCO2は、高純度、高圧の状態でそのまますべて回収できるでつ。
実際にはガスタービンを回した後のCO2は、高温高圧のCO2を作る燃焼器に戻るので、発電施設の中でCO2が循環していることになるでつ。

タービンを回す高温高圧のCO2は、燃焼器で天然ガスなどの燃料を燃焼させて作るでつ。
このとき、大気で燃焼させず、純粋な酸素で燃焼させることで、大気を汚染する窒素酸化物を発生させないというところも特徴。

燃焼機から出てきたCO2は、高温高圧の超臨界状態になっているでつ。
その温度は1150℃で、圧力は30MPa。
一般的なガスタービンでは、同程度の温度で、圧力が2MPaほどのガスでタービンを回すでつ。

今回の方式では、ガスタービンと同程度の高温で圧力を大きく高めた超臨界状態のCO2でタービンを回すことで発電効率を大きく高めているでつ。
だけど、高温高圧に耐えるタービンを作ることは課題の1つ。

現在、検証運転を開始して、稼働データを収集、分析しながら技術を確立し、250MW級の発電所の商用運転を目指すとしているでつ。

二酸化炭素の削減には、クローズドするのが一番いいでつなぁ~
さてコリからのガスタービンの燃料として、水素と二酸化炭素が本命になってきたでつなぁ~

超臨界CO2ガスタービン発電が温暖化ガス削減の切り札かなぁ~

2019-08-20 07:10:29 | ガスタービン
CO2は、摂氏31度、73気圧で超臨界状態となるでつ。
超臨界CO2は一定の状態を保つため、媒体に使えばコンパクトなシステムで効率的に発電することができるでつ。

超臨界CO2ガスタービンは、超臨界状態のCO2を80~200気圧程度、35~600℃程度の範囲で、圧縮、加熱、膨張、冷却を
行う閉サイクルガスタービン。




外部加熱方式のため、残渣油、副生ガス、バイオマスなどの燃料のほか工場排熱や太陽熱のように燃料以外の熱源も利用することができるでつ。

従来の蒸気タービンに比べ、1,000kW~10万kW程度の中小型機において本システムは1~2割ほど高い効率と
大幅な小型化が実現できるでつ。

試験装置が完成した2010年秋以降、運転試験を繰り返し、外部からの熱入力のみによって電気出力を継続的に取り出すことに成功し、
本システムが原理的に成立することを実証できたでつなぁ~。

この発電システムの原理は1969年に論文発表され、システム検討や設計研究が行われてきたでつ。
近年になって、米国、日本、韓国、フランスで試験装置を使った研究が活発化しており、2010年には米国と日本において
圧縮機の運転結果が発表されて、圧縮機とタービンを組み合わせてた発電試験はこれまで報告されているでつ。

商用ベースに乗せるには、今後は、ガスタービンメーカー等とも協力しながら大容量機の試作と運転試験を行い
実用化を目指すでつ。

CO2は31℃、7.4MPaに臨界点を有するでつ。




これにより高温・高圧の領域では、気体と液体の境界がなくなり、気体と液体の中間的な性質を
持つ流体(超臨界流体)として振舞うでつ。

超臨界CO2ガスタービンの動作と特徴は、CO2を120~200気圧に加圧したのち250~600℃程度に加熱して、この高温高圧のCO2が
膨張する時にタービンを回すことによって発電を行うでつ。

タービンを出たCO2は80気圧程度になるでつが、外部には放出されずに、35℃程度に冷却されたのちに圧縮機に送られて再度、
加圧と加熱が行われ、タービンを回すでつ。

このシステムのサイクル上の特徴は、圧縮機を臨界点近くの条件で運転することにより、圧縮に必要な動力を大幅に低減でき、
従来型ガスタービンに比べて発電効率を大きく向上できる点。

超臨界CO2ガスタービンの特徴は間接加熱方式の発電システムであるため、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料はもちろん、
残渣油や廃棄物のような低質な燃料のほか、排熱や太陽熱のように燃料以外の熱源も利用することができるでつ。

同じ間接加熱方式である蒸気タービン発電に比べ、1,000kW~10万kW程度の中小型システムにおいて本システムの方が1~2割ほど
高い発電効率が期待できるでつ。

また、システムがコンパクトになるので設備費も安くなるでつ。

超臨界CO2ガスタービンの用途としては、まず第一に工場の自家発電を想定。

日本は、残渣油、副生ガス、廃棄物、排熱等を熱源とする中小の蒸気タービン発電が工場の自家発電等として3,000万kWほど存在。
工場の自家発電は、電力料金の値下げにより徐々に減少してきたでつが、東日本大震災に伴う電力不足により、
その存在が見直されているでつ。

ただし、発電コストやCO2削減の観点から、今後は低質燃料や排熱を高効率に利用できる技術が求められ、このニーズに合致する
本システムは大きな貢献が期待されているでつ。

再生可能エネルギーとして注目され導入が増えているバイオマス発電や太陽熱発電にも、従来技術である蒸気タービンに
代わって導入が期待されるでつ。

これらの用途では、数千~数万kWの発電出力が一般的であり、本システムの優位性が最も発揮しやすい分野となるでつ。

そして、超臨界CO2サイクル火力発電システムのパイロットプラント向け燃焼器初着火にも成功したでつ。
今回着火に成功した燃焼器は、300MW級商用プラントに適用可能な燃焼器と同サイズの50MWth注1燃焼器。

2013年に10MWth*燃焼器を用いた300気圧での実圧燃焼試験に成功し、その成果を活用して50MWth燃焼器の開発を進めきたでつ。

今回実施した試験は、共同開発者のうちの1社であるネットパワー社がアメリカ・テキサス州に建設した超臨界CO2サイクル火力発電システムの
パイロットプラントに、設置した燃焼試験設備を組み合わせた燃焼試験。

パイロットプラントの起動プロセスにおいて燃焼器の着火に成功したことで、実用化に向けた大きなマイルストーンを達成。

今後は、本燃焼試験で燃焼器の性能評価およびパイロットプラントの基本的な運用性を確認した後に、燃焼器をパイロットプラントの
タービンに組み込み、タービン・燃焼器を含むシステム全体の性能、運用性および信頼性の検証等を行う計画。

検証試験で得られたデータを元に技術を確立し、300MW級プラントの商用化を目指すでつ。
 
超臨界CO2サイクル火力発電システムは、既存のガスコンバインドサイクル発電システムと同等の発電効率を有しながら、
CO2を分離回収する設備を別に設置することなく、高純度の高圧CO2を回収することができるニアゼロエミッション火力発電システム。

システムの概要は…




超臨界CO2サイクル火力発電システムは、CO2、天然ガスおよび酸素を注入して燃焼させて発生した高温ガスでタービンを回転させて発電。
その後、タービンから排出された燃焼ガス(CO2と蒸気)は、熱交換器を経て冷却され、水分を分離した後、高圧ポンプで圧縮されるでつ。
大部分のCO2は燃焼器へ循環されますが、燃焼により発生したCO2分はそのまま回収することができるでつ。

二酸化炭素を利用するシステムが温暖化ガス削減には一番いいのかなぁ~

だけどこういう研究があまり公になってないけど、いろいろと温暖化ガス対策は施されてるでつなぁ~

名機H型ガスタービン開発物語でつ♪

2019-08-10 07:10:29 | ガスタービン
GEが蒸気冷却という画期的なガスタービンを開発したことで、高効率化の競争が激しくなったでつ。
GEのH型は、J型より発電効率が同等かそり以上を誇る世界最高峰のガスタービン。

ちなみにGEは、F型の後、H型になったけど、F→G→H型と順次開発を進めたでつなぁ~
だけどH型は受注もなく、J型へと移ってしまったでつ。
GEと同じことしててもダメっていう典型的な例でつなぁ~

だけどその技術は、J型にも1700℃ガスタービンにも活かされてるでつなぁ~
1999年にT地点で実証試験で225MWという出力を出したでつなぁ~
20年前の技術だけどそりが、まだ世界で君臨してるということはそりだけ、高い技術だったでつなぁ~

そのH型とは…





開発の経緯を、見直してみるでつなぁ~
H型ガスタービンは、TIT1500℃の高性能ガスタービン。
H型はG型と比べて総合熱効率が絶対値で2%高く、出力が約20%近く大きくなるでつ。

H型は、F,G型をベースに設計してるでつ。
その継承している技術は…
ロータは、圧縮機側軸受とタービン側軸受の支えられた2軸受構造。

発電機との接続は、熱伸び等の熱的影響を小さく、フレキシブルカップリング等不要な圧縮機軸端駆動方式。
排気方式は、コンバインドサイクル発電設備に最適な軸流排気方式である。
圧縮機側軸受は、8本のラジアルストラット、タービン側軸受は軸心を保ちつつ熱伸び差の吸収が容易なタンシャルストラットに支持された構造。

圧縮機ロータは、トルクピンを挟み込みんだディスクボルトで結合し、タービン側ロータは、カービックカップリングを持つディスクボルトで結合し、
トルクを確実に伝える構造。
H型は翼蒸気冷却方式を採用してるでつ。

これまでは、圧縮機の圧縮した高圧空気で冷却していた1,2段動静翼をボトミングで発生した蒸気で冷却するでつ。
こりにより冷却空気量を約半分に削減できるでつ。

さらに冷却空気の混合損失も低減してプラント総合効率が向上し、削減した空気分、燃焼ガス主流が増加し、タービンでの仕事も増加し出力も
増加するでつ。

また、低温の冷却空気の燃焼ガス主流への混入量が減少した分、同じ圧力比であれば排ガス温度が上昇。
このため圧力比を上昇させて排ガス温度を従来並みに出来るでつ。

圧縮機は最新翼型を採用し、従来より圧力比を高くかつ段数を減少させた高効率圧縮機を新規に開発し、0.29スケール圧縮機にて
事前検証して採用したでつ。

H型ガスタービンの開発スケジュールでつ。




各種要素試験をモーラして、随時設計に反映したでつ。
以下にそりを示すでつ。

蒸気シール特性確認試験は、蒸気冷却翼への供給・回収通路の各結合部のシールには、これまでガスタービンでは使用しなかったシールを使用。
蒸気を冷却に使用するので、従来の冷却空気並みに漏れを許容すると蒸気漏れになるでつ。
蒸気漏れは、プラント総合熱効率に低下につながり、ボトミングの補給水量を増加させる課題を発生させるでつ。

こうした課題を事前に解決するため、選定したシール構造について要素試験を順次実施。
まずは静止系に備えるものも回転系に備えるものも、静的状態のシール要素試験を実施したでつ。
それにより最良の構造と寸法を選定出来たでつ。

次に選定したものから買い県警に備えるものを回転状態で実現できる図2に示すモデルロータ試験を行い、シール性が計画通り保てることを
確認したでつ。




H型圧縮機の0.29スケール圧縮機を製作(図3参照)。




これを2軸ガスタービンM252を駆動し、圧縮機出口には圧力を上げれるように調整弁を備えて各種運転を模擬したモデル圧縮機試験を実施。
圧縮・回転数を自由に選択することで、様々な起動特性データ、圧縮機性能データを取得し、圧縮機が計画通り特性・性能を有していることを
持戦に確認したでつ。

モデル圧縮機の下流側に実圧燃焼試験設備を設置し、実圧燃焼試験を実施したでつ。
高温回転検証試験を図4に示すでつ。

この設備は燃焼器を備え、この燃焼器へは前記圧縮機から高圧空気を供給するとともにパイプラインから天然ガスを供給し燃焼させ、
燃焼後の1500℃の高温ガスを0.6スケールの単段タービンに送って回転させるでつ。
回転負荷を動力計で吸収制御し6000rpmの一定回転に保つでつ。

今回は、G型スケール設計動翼6枚を蒸気冷却構造とし、翼を植えたロータに蒸気通路を構成し、蒸気冷却動翼を冷却した後、
再びロータを通って軸端から蒸気を回収した状態で運転したでつ。

運転中の翼冷却特性データ、ロータ各部の温度データ、各部振動データを取得し、計画通りであったことを確認したでつ。




試運転結果として…
T地点の実証設備を用いて試運転を実施。
通常はG型の長期信頼性実証のために使用しているでつが、一時的にH型へ換装したでつ。

最小限の切替できるように配管等をレイアウトしてるでつ。

フローは図6に示す通り、排熱回収蒸気発生器で発生した高圧蒸気を高圧スチームタービンへ送り、この出口蒸気を
蒸気冷却翼の送気して冷却用に使用。




冷却後は中圧タービン入口で蒸気を回収するでつ。
各種作動試験を順次実施した上で図7に示す220MW(GT160MW、ST60MW)の出力を達成、蒸気冷却システムの
検証第一ステップが成功したでつ。




次ステップは1500℃での運転検証になるでつ。
結果は、圭角通り冷却性能を発揮できたでつ。

合わせて試験後の状態も良好であったでつ。
試験成果は以下の通りでつ。
蒸気冷却ロータの安定運転が確認できたでつ。

ロータ軸端から蒸気を供給し、ロータ内部を通って蒸気冷却動翼に至り、日田旅ロータ内部を通ってロータ軸端に回収するでつ。
図10に示す通り安定した新道徳性を得たでつ。




今回は初の試運転であったため、手動での運転としたでつ。
今回の成果を活かして次回以降、自動化を進めるでつ。
蒸気冷却翼の冷却特性は、試験結果で予想通りの冷却特性を得られたでつ。

今回は、図6に示す通り、TIT1は220MWで200℃までであったでつが、計測データを理論的に385MWで1500℃まで外挿し、
メタル温度が許容値内であることを検証したでつ。
0.29スケールの性能試験で事前起動特性データ、圧縮機性能データを取得して確認したでつが、試運転でも同様の特性を
確認できたでつ。

タービン空力効率は、蒸気漏れを補正し、算出した結果、計画効率を達成したことを確認したでつ。
プラント総合効率もほぼ満足できたでつ。

H型は、従来のガスタービンと異なり、タービン翼をボトミングから蒸気で冷却するでつ。

こりにより同じ体格のガスタービンでプラント総合効率・出力共に向上したでつ。
ベース構造は従来のガスタービンの信頼性を重視した構造を踏襲したでつ。

こりにより開発スタートから20ヶ月の短期間で試運転を実施。
220MWの出力を達成。
第1ステップは成功して完了。

今回の試運転より蒸気冷却ロータの安定運転の確認、蒸気冷却静翼・動翼の冷却特性の確認、圧縮機・タービン性能の
確認も無事に完了したでつ。
H型ガスタービンの蒸気冷却は、TITを上げるより効果があるでつなぁ~

ただ、実機の実績が作れなかったというより、GEのH型を上回る性能ができなかったでつなぁ~
欧米とのガスタービン技術の差を痛感させられたのもH型の教訓でつなぁ~

火力原子力技術協会研究発表会

2019-08-05 07:10:29 | ガスタービン
久々に学会の講習会に参加したでつ。
大阪だと…




ここに来るのも…




超久々でつなぁ~
中は変わらないでつなぁ~




さて今回は…




水素社会、AIの活用、発電効率等でつなぁ~
テキストは…





出来れば、カラーがよかったなぁ~
そいともう少し、詳細に知りたいとこだけど…

そこは、上手く煙に巻かれてるでつなぁ~