オベロン会ブログ

英米文学の研究会、オベロン会の専用ブログです。

2011年4月30日のオベロン会報告

2011-05-03 | のどぐろ

3月11日の東日本大震災と福島第一原発の大事故により、 

わたしたちの現実感覚や人生観が大揺れになり、

恐らくこれからを生きる人々の生活感や価値観が

大きく変化してゆくのではないかと思われました。

 

 そんな中、不安をいや増す余震などのせいで、

三月末に予定されていたオベロン会も延期されました。

 桜の花も終わり、初夏らしくなりつつあるとき、

六本木の(あるいは麻布十番の)国際文化会館にて、

早乙女忠先生が<ダンテ『神曲』を読む(2)>を

じっくり発表して下さいました。

 

 すでに昨年、早乙女先生は、わたしたち を引き連れて、

『神曲』の暗き門をくぐられました。

今回の予告では、ベアトリーチェ が出てくるのでは、

と思われていましたが、そうは簡単に問屋が卸さず、

「地獄篇」の中でも有名なパオロとフランチェスカ が

登場する第五歌を精読なされました。

 

詳しい参考文献を挙げられながら、

読み慣れないわたしたち の手を取るように、

かみ砕いた解釈で<感覚の混交>といった表現や、

アナフラの技法などを指摘しつつ、

興味深い読みを次々に披露なされました。

剛直な詩人ダンテの別の側面にも触れ、

中世の生まれであるのに近代的であるダンテの

面白さを伝えて下さいました。

(ここで細かくすべてを網羅できないので、

隔靴掻痒です! )

 

発表後は、イタリア語の確認や、

いつものように様々に熱い話し合いが行われ、

刺激的で、新しい視点が出てきたりして、

とても貴重な時間でした。

 

場所を移して ビールや紅茶を飲みつつも、和気藹々、いや、

座る場所によってはかなりな議論も生まれるほどであったが、

じつに知的に愉しい話に花が咲いていた。

 

これからの日本の行方を思いながら、

ダンテの味わい深い道行きは

必ずしも別世界のことではないように思われた夕刻であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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