パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

53歳6ヶ月のサッカー選手

2020年09月24日 08時55分46秒 | サッカー

瞬発力を要求されるサッカーは選手寿命は長くない
大半は30代なかばで選手生命を終える
だが例外が日本にいた
KAZUこと三浦知良選手だ
昨日彼は53歳6ヶ月でリーグ戦(川崎フロンターレ戦)に先発出場した

身をもって年齢に伴う運動能力の低下を感じた者にとっては
この年齢でサッカーというゲームに出ているということ自体が信じがたいことだ

すごいな、、と思いつつ、少し意地悪な思いもあった
人気選手だけに、広告塔のような人集めの役割をしているのではないか
試合に出るとしても最年長記録を更新するために最後に少しだけ出るのではないか
そんな思いが頭をよぎった
そして「それは悪いことか?」といえば、「それでも良いじゃないか!」
と思い込もうとした

でもまずは見てから!ということでDAZNの中継でチェック
彼の所属する横浜FCの対戦相手は首位を独走する川崎フロンターレ
このチームは一時期のジュビロ磐田のような強さをキープしているので
J2から上がってきたばかりのチームでは荷が重い
よくて引き分けに持ち込めれば、、と予想した

この試合に、どちらかといえば守りを固めるべき相手に彼は先発した
(同様にちょいと年嵩がいった中村俊輔、松井大輔も先発出場した)
ゲームはKAZUの動きを追いかけながら見た
首位を走る相手だけに横浜FCは攻撃の形になれない
川崎は攻撃力だけでなく、前線の守りも結構鋭くパスコースを限定するだけでなく
ボール奪取も試みていて、横浜FCはボールを回しても後ろで回すだけ
なかなか前線にボールがいかない
当然KAZUもボールに触れない時間が多い
彼の時間は大半の時間を守りの助けとなる動きに費やされる事になった

走る姿は若い選手のような膝の柔らかさ、粘りが感じられるそれではない
でも右に左に、そして前から後ろまでプレスをかけたりコースの限定をする
ここでまた驚いてしまう
よく走れるな、、疲れるだろうに、、、

でもこのあたりまでは、彼は年齢がいってるから仕方ない、、みたいな思いでみていた
ところが、やっとボールが回ってきて攻撃に絡むシーンがあると2.3良いプレーがあった
ポストプレーだっかた壁パスだったが、周りに相手選手の多い厳しいなかで
とても効果的なパスを送った
ただでさえ横浜FCの攻撃時間は少ないので、この部分は印象に残った
そしてもう一つ、利き足でない左足でパス交換をした時、
普通のタイミングと違うので彼の技術の高さを感じた

そうか、彼を先発に使ったのは話題作りのためとか慰労のためでもなく
勝つためだった、、と感じた瞬間だった

横浜FCは彼と選手契約をしている
それは選手として価値があるものとしてであって、広告塔的な意味だけではない
彼が選手として戦う場にいたいと思うことは勝手だが
それを認めてくれる場所があった、、ということ自体が、今は驚いてしまう

選手を退いて解説で生きる、そんな選択も考えられるが、彼はそれを選ばない
あくまでも現場のプレーが一番、職人をいつまでも続けたいと思っている
彼はチームから必要とされない、、と判断されない限り続けていたいと思うだろう

ここまで来ると、彼の今までの業績のご褒美に「得点」というものをあげたい
とついつい思ってしまう
瞬間的な速さはなくなって今までのようにシュートは決められないだろうから
こぼれ球でごっつあんゴールでも良いから、みんなが喜ぶようなシーンがみたいな



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