パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

葵祭を見に行った

2019年05月16日 08時57分58秒 | 旅・旅行

昨日の朝、起床前に青空文庫で源氏物語の「葵」をタブレット端末で部分的に読んだ
与謝野晶子による現代語訳で、源氏物型絵巻にも扱われている賀茂祭での
六条御息所の車が酒に酔った連中に壊されて、屈辱的な思いをする部分だが
この部分が思いの外あっさりと書かれているのに少し驚きを感じた
そのあとの生霊の活躍する部分は一回読んだだけでも印象に残っているが
この賀茂祭の部分はあまり劇的な感じはしない
でも当時の人達は、車の破壊という事件は十分に劇的な印象を持ったのかもしれない
というようなことを、つらつらと感じながら西へ行く電車に乗った

天気は雨の心配はなく、晴れ男をまたもや実感することになった
目的地は京都
最近は新幹線が京都が近くなるに連れて「帰ってきた」という感覚になる
この感覚は数年前ウィーンについた時も「帰ってた」という懐かしい感覚を覚えたものだった
京都の見どころはたくさんありすぎるが、昨日は何と行っても葵祭を見逃す訳にはいかない
早速地下鉄烏丸線で丸太町まで
列車はいつもより混んでいて多くの人は丸太町で下車する
1番出口は混んでいるので2番出口を利用するようにとのアナウンスがある

15日の葵祭は御所から下鴨神社、それから上賀茂神社へと500人ほどの人が平安時代の装束で
列をなして歩く「路頭の儀」が行われる
下鴨神社で見物する人が多いようだが、今回はあとのことを考えて御所で見ることにした
最初は立ったまま見物するつもりだったが、連休中の右膝をひねって痛めて回復がイマイチだったので
当日券を手に入れて座ってみることにした

葵祭は一昨年、上賀茂神社で競馬足汰式(くらべうまあしぞろえしき)を見ている
これは後に行われる賀茂競馬の前段階の行事で、実力・コンディション等から
2頭の組み合わせを決めるために行われる
馬が疾走するシーンはなかなか迫力があって面白かった
(あんな足が外れそうな鐙で乗馬しているとは、、)

平安時代の装束をした人がただ列をなして歩くだけ
そんなものが面白いか、、、と以前は思っていたが、「源氏物語」を読んだおかげで
この祭りが案外面白いかもしれないと思うようになった
物語の中では見物人が賑わっているようなことが書かれているし、祭りにつきものの酔っぱらいも
登場して、その時代の人たちが何を楽しんだかを実感してみたい気になった

座席ブロックは一番隅っこで、アナウンスはよく聞こえたが、列の人物・衣装等の紹介とのタイムラグがある
そのアナウンスに聞き慣れた言葉が時々耳に入る
検非違使・随身・命婦・内侍・斎王、、、源氏物語に時々出てくる言葉だ
今までなら耳の近くを通り過ぎる風のようにさっと消えてしまっかもしれないが
昨日は妙に実感を伴って耳に入っていった

せっかく行ったのだから写真撮影をと思うのは当然だが、写真を撮ろうとすると
行列を感じることが疎かになってしまいそう
そこで、写真は記憶の中に写すことにして、行列を見ることを優先した
わずかにスマホで撮影したのが定番の斎王

斎王役の人はじっと座って動かずにいなければならない
名誉な役割かもしれないが、大変だな、、と下々のものは思ってしまう
同様に大変そうだなと思ったのが、何か箱のようなものを抱いて歩いている役の人
重そうな傘を支えている人、何かを担いでいる人、、
とりあえず下鴨神社までそのままの格好で行かなければならない
見る方は歩いているのを見るだけだが、歩く方は案外大変だと少し同情してしまう

歩く速度は思いの外速い
馬が歩く速さと合わせなければならないのか、眼の前をササッと通り過ぎていく
足元を見ると草履姿の人が多い
ゴロゴロした石をモロに足裏に感じそうで、これもまたなれない身にはしんどそうだな
と同情してしまう

アナウンスの青海波(せいがいは)という言葉が耳に入った
源氏物語で時々でてきた言葉だが、読んでいるときは具体的なイメージは全然できなかったが
突然青海波模様というものがこれに違いないと頭に浮かんだ
そのイメージと行列で見たものが一緒だったのが少し不思議だったが
青海波という模様はどうも定番のパターンらしい

それにしても衣装のきれいなこと、品の良いこと
これは今でいうファッションショーみたいなものとして当時の人は楽しんだのだろうか

ということで、いろいろ感じることの多かった歩くのを見るだけの葵祭
その後の御所近くをブラブラした
御所に西には菅原道真の生まれた場所とか和気清麻呂にちなんだ神社とか、
そうしたものがあまりにも当たり前のようにそこに鎮座しているのが
なにか不思議な感じ



コメント
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