パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

前松坂市長の本

2016年03月21日 19時55分16秒 | 

3月5日、新城市文化会館で行われた前松坂市長の講演を
刺激を受けて聞いたにもかかわらず
そこで購入しなかった「巻き込み型リーダーの改革」

結局、知り合いの方から借りて読むことになった
ここ数日間難解な集中力と想像力を要する本を読んでいたものだから
ここの本は楽に読んでいけた
(既に講演で聞いていた話が書かれていたせいもあるが )

本の前半はパワフルな、新城市が少し羨ましい活動の紹介
それと市の活動だけでなく東日本大震災の復興についての松阪市を
はじめとする自治体を巻き込んでの協力の仕方、システムの構築などが
書かれている

だが、意外と面白かったのは4章以降
山中氏の心の秘密というかその成長(?)の様子
「自殺志願者」から「偽善者」へ と題された章は
カミュの「シーシュポスの神話」の一節を思い浮かべることになった
カミュは冒頭の部分(だったかな)にこんな一文を書いている

真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。
人生が生きるに値するか否かを判断する、これが哲学の根本問題に答えることなのである。

ヨーロッパ人の中ではこの手の話をしても
多分それほど違和感を持たれないだろうが
日本人の中でこういう話をするということは少し変わった人間として
捉えられやすく、とっつきにくい人間と評価されそう

日本ではもう少し実践的なノウハウ・ハウツウもの、あるいは
現代社会の解釈等が書店の本棚を占めていて
この手の本が平積みされることは絶対無い

でもどういうわけか、何人かはどうしようもなくこういうテーマに心惹かれる
コリン・ウィルソン流に言えば「アウトサイダー」ということになるのだろう

で、自分も多分少しばかり変人ぽいところがありそうなので
この4章以降の話はとても共感できた
というか、これがなかったらこの本は普通のマニュアル本の一つにしか
過ぎなかったかもしれない

松阪市が一番ラッキーだったのは、このようなメンタリティの人が
(自分では偽善者として振る舞うことで、自分を自覚する様なところもあるようだが
  結果的にそれで世の中がうまく回っているのだからそれで良いのでは)
市長という現実的な作業をする人物として選ばれたことだ
(いや選ばれたのではなく、松坂市民が選んだのだったか)

ところで、山中氏、今は講演で忙しいらしい
でもきっと、彼を必要とする 時代が来るような気がするが、、



 


 

 

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