DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

謎(8)

2014-03-13 18:17:37 | ButsuButsu


「ホモ面って知ってる」

女が聞いた。

「モホロビチッチ不連続面」

と男が答える。

「地震波速度の境界面だ」

「そうね。地殻とマントルの境界面で、この面の上と下とでは地震波の伝搬速度が異なる。この性質を利用して、地殻の厚さを知ることができる」

女が、ウィキペディア的に説明した。

それによると、琵琶湖の地殻は少々厚いらしい。

この部分が陥没しているのだ。

上層の密度が2.6g/cm3ほどで、下層の密度が3.1g/cm3程度である。

琵琶湖の地殻の厚さは40kmほどで、周辺が32kmである。

つまり約8kmにわたる陥没がある。

この結果、琵琶湖の重力は小さい。

いわゆる負の重力異常地帯だ。

なぜこのような不連続な陥没ができているのかというと、フィリッピンプレートの潜り込みが原因らしい。

そうすると、古琵琶湖の移動も説明できそうだ。

「琵琶湖は水平的な応力が大きな場所で、歪みを受けやすいのでは」

女はそう話すと、何かを考えるそぶりをした。

「そもそもなぜこの場所でプレートが潜り込むのか」

「湖は結果であって、原因ではない」

男はそう言った。

「このことと湖底で見つけたベントと何か関係があると思わない」

女の質問に男は答えた。

「これだけではわからない。もう少し調べないと。ただ面白い話だ」

二人は膨大な文献を検索し、情報の収集を開始した。

こうして2009年は終わり、2010年の春を迎えた。
コメント
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