DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

夢(60)

2014-03-03 22:47:59 | ButsuButsu


蘇武は、漢の武帝(劉徹)によって使者として派遣された匈奴に、捕縛されてしまう。

帰順することを拒否したため、北海(今のバイカル湖)の北に流された。

彼の母は悲嘆して死去し、妻は再婚し、家族は離散してしまう。

蘇武の友人であった李陵は、軍人として匈奴討伐に向かう。

歩兵を指揮して戦い、逆に匈奴に捕縛される。

武帝の怒りを買った彼の家族は族滅(一族全員が処刑)される。

このことによって、李陵は降伏し匈奴の軍人となる。

拡張しようとする漢(中華)の皇帝の犠牲となった蘇我と李陵。

この二人が再開するのは、バイカル湖のほとりだった。

北方謙三が「史記」の中で描写する蘇武と李陵のことばだ。

***

国とは、理不尽そのものではないか、と思い続けてきた。

漢も、匈奴もだ。

人の運命を、たやすくいじりまわす。

国がなければ、戦などない、とは言えないが、国を守るためだけの戦は、いかにも多すぎる。

そういう戦を好んだのが、いまの漢の帝だった。

***

「俺は、生きてきた。そして、これからも生きる。そう思っている」

「生きるとは、なんなのだ。俺は族滅を受けた時に、本当は死んだのだろうか?」

「人は、何度でも死ぬのだ、李陵。この世が生きるに値しないと感じたら、たやすく死んでしまう。死んでもまだ、何かが続いている。そう考えると、死ぬことも生きることだと思う」

***

族滅といえば、最近の北朝鮮でもあった。

韓国の聯合通信が北朝鮮の張成沢・元国防副委員長の親族が処刑されたことを伝えた。
「複数の情報提供者」の情報に基づくものだという。
張成沢氏は北朝鮮のナンバー2だった。
昨年12月8日に逮捕され、12日には公開裁判ののち、銃殺された。
その累が親族に及んだ。
張成沢氏の姉とその夫の元キューバ大使、また、マレーシア大使を務めた張成沢氏の甥など、親族たちが次々消されていった。
ある者は家から連れ出され、近所の人の見ている前で殺された。

2000年も前に中国であった話だが、今でも北朝鮮では起こっている。

主張し、行動し、血を流し、獲得しなければ、基本的人権は維持されない。

権力という得体のしれない欲望には、常に目を光らせる必要がある。

そうしない、我々の大切な権利や愛情までもが簡単に蹂躙されてしまう。

何かを築きあげるのは大変だが、壊すのは簡単にできる。

3月2日(日)のつぶやき

2014-03-03 09:24:49 | 物語