DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

デッドゾーン

2013-05-23 15:45:58 | ButsuButsu


アフリカにあるタンガニーカ湖の研究を行っていたCatherine O’Reillyは、地球温暖化が湖の生物生産を減少させているという論文をNatureに発表した(O’Reilly, 2003)。

この論文の中で温暖化に伴って水温成層が強くなったことと、湖上風速の低下が湖の上下混合を弱めたことによって深水層から表水層への栄養塩供給が減少し、表水層での植物プランクトンの増殖が低下し漁獲量が減ったということを示した。

一方で、スイスとフランスの国境にあるレマン湖や鹿児島県の池田湖では、湖の上下混合が不十分になり浅い層から深い層へ十分な酸素が供給されなくなった(長谷川 2006、新井2009)。

これらの湖では、1960年から1970年代にかけての急激な富栄養化によって植物プランクトンが増え、多くの有機物が沈降して湖底にたまっている。

このようにして湖底にたまった有機物はバクテリアによって分解されるが、そのときに水中の溶存酸素が消費される。酸素供給の低下と有機物の分解とで、湖底付近はやがて低酸素化してくる。

現在、レマン湖も池田湖も、一年中、溶存酸素濃度がゼロに近い状態である。

このよう低酸素化は、カスピ海、日本海、インド洋、カリブ海のような大きな海水域でも報告されている(たとえば、Diaz 2001)。

また、世界の淡水湖沼の20%の容積を占めるバイカル湖(ロシア)やアメリカのワシントン湖では、湖が水温成層する期間が少しずつ長くなってきている(Shimaraev 2006, Winder and Schindler, 2004)。

これも温暖化の影響と言えよう。

北米にある五大湖のエリー湖では、全体の30%に近い水域で低酸素化が起こっている。

外来の貝が大発生したことと、水温上昇が原因だと言われている(Hawley et al. 2006)。

このように溶存酸素が少なくなり生物が生存しにくくなった水域をデッド・ゾーン(死の水域)と呼んでいる。

図に見られるようにデッドゾーンが世界中で急速に拡大している(Diaz and Rosenberg 2008)。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こだわりの世界

2013-05-23 10:40:11 | ButsuButsu


2008年4月27日に、特定非営利活動法人びわ湖トラストの発起人会を行った。

早いもので、あれから5年の歳月がたつ。

今、その時の趣意書を見ている。

初志というのは大切なものだ。

往々にして、組織というものは設立当初の意図から離れた方向に進み始める。

時々における周辺事情と経理状況がそうさせる。

しかし、この組織だけは、なんとか趣旨を守っていきたいと考えている。

当時の設立趣意書を目の前にして、いまさらに身が引き締まる思いだ。



********

設 立 趣 意 書

20世紀から21世紀にかけて急速に進行している地球温暖化は、世界各地で多くの不測の事態を引き起こしています。

人類が利用可能な淡水資源の45%を占める湖沼においても例外ではありません。

例えば、チベットやモンゴルでは、氷河や永久凍土の溶解で湖の水位が上昇し、時として氾濫を引き起こしています。

一方、乾燥地帯では、砂漠化が進行し湖が消滅したり塩湖化したりしています。

日本最大の湖であるびわ湖は、400万年の長い歴史を刻み世界で最も古い湖の一つです。

びわ湖は、関西に住む1400万人の人々の生命の源であるだけでなく、全国の湖沼水量の34%を占めています。

ところが、びわ湖周辺では過去10年間に0.7℃というこれまでに経験したことのない急激な気温上昇により、大きな環境異変が起きています。

そのひとつが深水層の低酸素化現象です。

急速に進行する地球温暖化や人間活動による自然破壊からかけがえのないびわ湖の環境を守り、その豊かな自然を健全な形で後世の人々に残すことは、私たちの義務であり責任であると考えます。

そのためには、びわ湖に関心を持つ多くの人々や様々な組織が、びわ湖とその集水域における正確な情報や教育資源を共有し、何をなすべきかを共に考え適切な行動を起こす必要があります。

地球温暖化からびわ湖を守るには、質の高い情報公開と相互の連携が不可欠なのです。

また、緊急かつ大規模な調査や修復に向けた技術開発も必要です。

その時々の財政事情や政治状況に左右されることなく、長期的に信頼性の高い調査研究をできる体制づくりがいま求められています。

このたびこのような事態を憂慮した有志が集まり、多くの賛同者を募り、びわ湖を主とした湖沼の調査研究や環境再生を支援し最先端の調査船や計測機器を共同運用すると共に、最新の湖沼情報を迅速に公開し将来にわたって健全なびわ湖を保全するための環境教育や連携を行うことを目的としてNPO法人「びわ湖トラスト」を設立することにしました。


2008年4月27日
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5月22日(水)のつぶやき

2013-05-23 05:09:06 | 物語
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする