西風に吹かれて

日本の西端にある基地の街から、反戦や平和の事、日々の雑感を綴ります。

第一回審尋

2016-05-16 21:33:45 | 石木ダム
今年2月2日に長崎地裁佐世保支部に提訴した「石木ダム建設工事並びに県道等付け替え道路工事続行禁止仮処分命令申立」の第一回審尋が、佐世保の裁判所で開かれた。





物の本によると、審尋とは「裁判所が、民事訴訟の当事者や証人などに、書面または口頭で詳しく問いただすこと。審問。」とある。

今回は、申立人505人の代理人である馬奈木弁護団長を筆頭とする弁護士と、訴えられた県・佐世保市の代理人である弁護士たちに、裁判官が質問を投げかけその回答を聞いていくというやりかただった。
法廷内は写真も録音もダメということで、今回も川棚「清流の会」のNさんがスケッチをして下さった。





審尋は30分足らずで終わり、その後、報告集会がもたれた。

中部地区公民館で行なわれた報告集会では、弁護団事務局の平山弁護士が、裁判所が「工事の対象区域の特定や地権者所有の土地はどこなのか」を双方に明確にするよう求めたことは、「裁判所にこの工事を止める気持があるのではないだろうか。」と話され、私たち申立人の気持も高揚したのだった。

馬奈木弁護団長は、原告団が提出した「工事差止め申立書」に対する佐世保市の答弁書が、一般論でしか書かれていないことに触れられた。



「水はないよりあったほうがいいという論理でしかない。」
「そこに住み続けたいという地権者の権利を侵すことは出来ない。」
「地権者の人権だけが踏みにじられているのではない。長崎県民全ての人権が踏みにじられているのである。立憲主義とは何か!国家とは何か!国民とは何か!を問う裁判なのだ。」

会場内は、弁護団長の力強い話に聞き入った。

誰もが闘いぬくという熱い気持ちを持ったことだろう。


石木ゲート横(5/12)

2016-05-12 21:25:19 | 石木ダム
朝から雲ひとつない青空が広がっている。

ダム事務所前のテントは朝露でびっしょりと濡れていて、骨組として天井に渡した竹を伝わって水滴がぽとぽと落ちてくる。

今日の仕事は、テントの天井とテント側面の透明ビニールの水滴を拭くことから始まった。



一段落して、コンビニ裏のダム事務所の駐車場を見ると、もう総務課長の車が止まっている。

いつも出勤は早いのだが、それにしても今日は早過ぎないか?

今日は他の職員の出勤も早いようだ。

午前9時、ダム事務所の男性職員たちが作業服に長靴姿で出てきて、軽トラックに草刈機や箒などを積み込んでいる。

買収済みの田んぼや石木川沿いの土手は、毎年業者を雇って草刈をさせているのに、職員自らが草刈をするのだろうか?

軽トラックは石木交差点を右折しこうばる方向へと行きそうな気配だ。

あわてて夫と後を追ったが、車はどこへ行ってしまったのか見失ってしまった。

ゲートまで上がり、私はそのままゲート横のテントで今日の当番のN子さん、H子さん、木場のE子さんと一緒に見張り番をすることに。





話は、県が昨日裁決申請した残り9世帯の宅地・農地・山林のことになったが、「私たちはどこにも行かんとだけん。ここに住み続けるだけさ。」とまったく動じる気配はない。


気持のいい少し汗ばむような陽気。

ゲートの中も緑で覆われ、石木川沿いの合歓の木も青々と茂っている。



遥か先にはマッターホルンのような虚空蔵山が見えている。こんなに素晴らしい生活の場をダムのために明渡すなど、地権者の誰一人として考えていない。



県は完全に地権者のみなさんの心を見誤ったのだ。


ところで、夫からの連絡によるとダム事務所の職員は、県の買収に応じて出て行った人たちが住む「ダム御殿」の中の空地の草刈をしていたとのこと。ご苦労なことだ。


石木ゲート横(5/9)

2016-05-09 21:39:02 | 石木ダム
朝7時40分、小雨模様の中、石木の八幡神社で地下水を貰いダム事務所前のテントへ。





一週間ぶりのテントだが、久しぶりに来たような気がする。

昨夜からの雨でテントの上には雨水が溜まって、大きく弛んでしまっている。

夫とテントに溜まった水を流すことから始めたが、下から棒で押すと、雨水はびっくりするほど一度に流れて二人とも足元がびしょびしょになってしまった。

一週間ぶりにテーブルや椅子を拭き、「石木ダム建設絶対反対」の赤い横断幕を張った。




午前8時過ぎに建設係長が、8時20分には建設課長が、8時30分には大型バイクで次長が、とダム事務所職員のみなさんが続々と出勤してきた。

連休明けだからだろうか、一人の欠席もなく午前9時前にダム事務所の全職員15人が揃った。


職員が揃ったことを確認してから、いつものようにゲート横のテントへ向かった。

雨の影響で石木川は急な流れだし、ゲートの中の山々にも霧がかかっている。





しばらくテントでS子さんとT子さんとおしゃべりを楽しんでから、今度は「こうばる公民館」へ。

今日は原告団の事務局会議なのだ。

国は平成25年9月に石木ダムの事業認定の告示を行なったが、この事業認定そのものが誤りであるとして、私たちは国を相手に「事業認定の取消し」を求めて訴訟を起こしたが、この訴訟に地権者・共有地権者110人が参加している。

また、現在行なわれている付け替え道路工事と関連工事の差止めを求めての訴えも起こした。
こちらには全国から505人もの人たちが参加してくださっている。

それで、裁判の報告や案内などを弁護団に変わって連絡する原告団事務局が結成されたのだ。

まだ動き始めたばかりで、体制が整っていくのはこれからだが、事務局はみんなやる気満々なのだ。

裁判に負ける気などしない。

50年も出来なかったダムの必要性などどこにもないのだから。

「工事差止め」仮処分の第1回審尋は5月16日(月)長崎地裁佐世保支部で行なわれる。

石木ゲート横(5/2)

2016-05-02 21:30:28 | 石木ダム
連休に入ったからか、ダム事務所職員の出足が遅い。

いつもは早い総務課長も今日は午前8時を過ぎてやって来た。

大型バイクでかっこよく乗りつける次長の姿も見えない。休みなのだろうか。

コンビニ裏のダム事務所駐車場には、職員の車が8台止まるけれど、今日は6台だけだ。




午前9時15分、ゲート横のテントに到着。

テント正面のK建設が石垣の耐震化工事をされている。



この石垣の上にはもう使われなくなった砕石の選別機が置かれていたのだが、熊本地震が起こってから、危険性があると思われたのだろう、古くなって錆びてしまっている鉄板を取り外し撤去されたのだ。



採石場の上には上ったことがないのだけれど、石を取った跡は大きな水溜りになっているとの事だ。その水を外に流さなければ地震の時には決壊する可能性があるのだとか…。それで石垣に穴を開けて溜まった水が外に流れるようにされている。



午前11時10分、ダム事務所前にいる夫から電話で、ダム事務所の軽乗用車がこちらに向かったと連絡があった。

急いで今日のテント当番のS子さんとT子さんと3人でプラカードを持ってゲートの前に立った。



ダム事務所の車はやって来たけれど、こちらの方を見もしないで通り過ぎてしまった。

今日のテントへの来訪者は、木場のMさんと同じく木場のE子さん。それから写真家の村山嘉昭さん。

Mさんの話では、県が、買収した木場地区の土地の草刈をしているから、ダム事務所の車はその現場に行ったのだろうとのことだ。

村山さんは今月末に新しい写真集の出版を予定されていて、いまその写真につける文章を書かれている。それで、こうばるの方々に話を聞いて回られているのだ。

「ほたる祭り」までには出版したいと話されていた。

美しいこうばるの自然と、その土地で生き生きと暮らす人々の様子がいっぱいに詰まった写真集。

楽しみに待ちたいと思う。






石木ゲート横(4/28)

2016-04-28 20:54:23 | 石木ダム
今日も朝7時40分にダム事務所前に到着し、横断幕を張りテントを簡単に掃除した。

ここで、ダム事務所前のテントだとかゲート横のテントだとか書いていてもなかなかお分かりにはならないだろう。

ダム事務所というのは長崎県石木ダム建設事務所のことで、県道4号線・川棚~波佐見間の道路沿いの石木バス停のそばにある。



こちらがそのダム事務所だ。



そして、その事務所の真ん前にあった空地をお借りして、座り込みを始めたのが昨年の7月24日のことだった。

中断していた石木ダム本体工事のための付替え道路工事が再開したのが昨年の5月19日で、それから連日の阻止行動が足掛け9ヶ月続いて、今年1月に再び中断して今日に至っている。

その行動をやる中でダム事務所に抗議するとともに、多く人たちに「こうばる」という中々人目につきにくい場所で、どんなことが行なわれているのかを知ってもらうために座り込みを始めたのだった。

はじめは炎天下の空地にプラカードを持って座っているだけだったが、これでは大変だろうと地権者の皆さんがビニールシートで屋根を張り、冬にには寒さ避けのシートもまわりに張ってくださって、りっぱなテントが出来上がっている。



そのテントには1昨年8月、ゲート前の座り込みで長崎県に訴えられ、裁判所から処分が下って、ゲート前の阻止行動に参加できなくなった夫や清流の会のⅠさんが、職員の動きを見張るために座っているのだ。

工事は1月の終わりから中断したが、私たちは「ダム反対」の意志を示すためにもと週に2回ほどこのテントで座り込みを続けてきた。

4月からは、ダム事務所前でしばらく座り込んでから、私も地権者の皆さんが交代で見張りを続けているゲート横のテントへ向かうようになった。

もちろん、ゲート前に立入禁止命令が出ている夫は、ダム事務所前で職員の動向を見張っている。


9時20分、ダム事務所前の夫から電話。

県の軽乗用車に職員が乗り込んで、こちらへ向かっているという。

すぐに今日の当番のK枝さんとH子さんとプラカードを手にゲート前に並んだ。

車は私たちの前を素通りして上へと上っていく。

迂回道路予定地の監視小屋には地権者の男性陣が交代で見張りをされているので、そちらとも連絡を取り合ったが県の車は県が買収した空地に止まっているという。

私たちも急いで車の後を追った。

ダム小屋まで行くと車から下りて付近を見回している職員の姿が見えた。



所長と次長と建設課長に建設係長、それに業者が1人。地図を見ながら何やら話し合っている様子だ。



ダム小屋からはばあちゃんたちと「石木川のほとりで」というフォトブックを出された村山カメラマンも出て来られる。
「一昨日から来てたんだよ。」とのこと。



事務所前から車で上ってきた夫と長崎のMさんも加わって、ダム小屋の前で職員の様子を見守った。

県はいつも5月の中旬までに買収した田圃や空地の草刈をやるが、その下見に業者とやってきたらしい。

下見を終えて所長以下職員と業者は車に乗り込んだが、私たちがダム小屋の前に立っていたからか、車はそのまま木場の方へと上って下りてこなかった。どうやら別ルートから帰ったらしい。

連休明けからまた工事が再開される可能性が大きい。

ダム事務所から出ている「水のわ」に道路工事についてのお知らせが載っているが、見比べてみると、昨年佐世保市水道局が出した工事予定図と異なっている。
木場地区の付け替え道路が消え、砕石場下から150メートルの道路延長工事が新たに入っている。





…???、どうなっているのか分からないが、私たちはとにかく工事を止めていくだけだ。