鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

地形図における「南ノコマイ」の記載

2022年07月24日 | 鳥海山

 「南ノコマイ」の記載について陸地測量部が取り違えたという説が流布していますがどうも疑問です。

 現在の2.5万図には「南ノコマイ」の記載がありますが、2.5万鳥海山地形図は1975(昭50)以降、乃ち国土地理院になってからの発行です。

 国土地理院の鳥海山の5万地形図(現在刊行中の図は除く)は下記の通りです。

 陸地測量部時代に発行されたものは5万地形図ということになります。

 下の表は国土地理院のHPにあるものよりの引用ですが、このうち陸地測量部時代のものは1913(大2)から1934(昭9)にかけて発行された地形図です。

測量年 更新履歴 発行年月日
1913(大2) 測図 1914/08/30(大3)
1913(大2) 測図 1916/05/30(大5)
1934(昭9) 修正 1936/10/30(昭11)
1934(昭9) 修正 1946/11/30(昭21)
1934(昭9) 修正 1947/06/30(昭22)
1934(昭9) 修正 1947/06/30(昭22)
1953(昭28) 応修 1954/04/30(昭29)
1953(昭28) 応修 1954/04/30(昭29)
1953(昭28) 応修 1954/12/28(昭29)
1953(昭28) 応修 1966/09/30(昭41)
1964(昭39) 改測 1970/08/30(昭45)
1969(昭44) 資修 1977/11/30(昭52)
1977(昭52) 編集 1977/11/30(昭52)
1977(昭52) 編集 1977/11/30(昭52)
1977(昭52) 編集 1977/11/30(昭52)
 1992(平4) 修正 1994/02/01(平6)
 1992(平4) 修正 1994/02/01(平6)

 同じ年の発行はリスト番号が違うものです。詳細は取り寄せてみないとわかりません。

 大正2年測図/昭和9年修正 【発行時期】 昭和11年10月発行 『鳥海山』五万分一地形圖

 大正2年測図/昭和9年修正 【発行時期】 昭和11年9月発行『吹浦』五万分一地形圖

 鳥海山の地形図には月光川、吹浦の地図には一ノ瀧、二ノ瀧の記載はありますがどちらの地形図にも「南ノコマイ」の記載はありません。上の表のように陸地測量部で発行された『鳥海山』五万分一地形圖は6枚、吹浦もほぼ同じ時期の7枚しかありません。陸地測量部の地形図すべてを確認してはいませんが2.5万鳥海山地形図1975(昭50)発行の際「南ノコマイ」の記載は昭和49年の遊佐町からの申請に基づいたものと言っていいのではないかと思います。

 「南ノコマイ」「コメ」は文字を当てれば「川前」というようですが、実際に現地の古老がどのように発音していたかは、同世代の人の発音しか聞いたことが無いので不明です。あっ、そうそう、「北ノコマイ」というのも呼ばれていたそうです。

 昭和の2.5万鳥海山あったはずですが例によって行方不明、出てきたら報告いたします。

 


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