鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

八十年前の登山案内より

2021年12月12日 | 鳥海山

 鳥海山ではないですけれど、古い登山案内を見るのも面白いものです。東京鐵道局 昭和十三年版です。北アルプス、南アルプス、中央アルプス、富士山が載っています。その中から、自分にとって思いで深い南アルプスの一部を。


甲斐駒ケ嶽 (二、九六六米 )

參照地圔  韮崎、髙遠 、市野瀨

甲斐の大山脈たる白峯及鳳凰兩山脈の分岐點に屹立する花崗岩の一大山塊で、伊那谷を隔て木曾駒ヶ岳と對峙し之を甲州方面ょり望めば奇峰將に崩れるかの如く、又信州上伊那方面より見れば白色皚々として四時雪を戴くかに見えるので一名白萠山とも云ふ。古來信仰の山として知られ、登山は已に四五百年前より盛んに行はれただけに道もよく拓け、設備も完備して居り、山體の嶮蛆なるにも似ず南アルプス中最も多く登山者を迎へてゐる


鋸 嶽 (二、六〇七米)

參照地圖 市野瀬、韮崎、白根山近傍圖

南アルプス連峰中他に類似のない山貌を持ち、硬砂岩の山骨が鋸齒の如く屹立し、此の間に大キレットを生み絶好のロッククライミングの試練場である。駒ヶ嶽の白雪を覆ふた如き優雅な白化粧に對し、全山朱泥を塗りつけた樣なグロテスクな山容を呈するのも亦面白い對照である。


 このように簡潔に表現してあります。鋸 嶽 はグロテスクな山容と言われてしまっています。甲斐駒ヶ岳の項にはかつてあった屏風小屋も出てきます。中でも興味深く見るのは山小屋料金、案内料金です。こういうのは誰も取り上げないんですよね。鳥海山に関した本でもその辺の変遷は全く取り上げられることがありません。

 屏風小屋跡は確か大きな岩のせり出したところだったでしょうか。

 山小屋料金、案内料金はどこもほぼ同じようなもの。どこの山も結構な数の案内人組合が当時はあったようです。とはいっても地元鳥海山に知っているガイドの方はいますが、どんな案内人組合があるのかも知らないのです。


コメントを投稿