鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

特命全権大使米欧回覧実記

2022年03月22日 | 兎糞録

 三月の掘り出し物。

 文庫本ではなく、四六判です。書棚にあるのは1977(昭和52)年の文庫初版本、茶色く焼けています。これは1985(昭和60)年に出版されたもので凡例の追記部分を読むと、岩波文庫の拡大版だということです。眼も草臥れてきているので拡大版はありがたいです。直射日光のもとでは文庫本も裸眼で読むことが出来ますが、室内ではハズキルーペがないと読むことが出来ません。ハズキルーペは部屋に二つ置いてあります。机で、ベッドで使えるように。

 この本の状態は、といえば汚れ皆無。スリップまでそのまま、栞も紐解いた形跡なし。おそらくどこかの書棚に寝ていたものでしょう。価格はこの本の新刊の文庫版を全部買ってもお釣りがでます。(お釣りの語源も調べると面白いですよ。)

 こういった古典とは言わないかもしれませんが、現代語訳も出版されているものは現代語訳は読まない方がいです。原書で読めとは言いません。原点に忠実なものを読むことです。現代語訳で読むと阿呆になります。

 現代語訳ではないですけれど、最近の文庫本は太宰治のものにまで注釈がいたる所つけられているそうです、しかも間違いだらけの。おまけになんでもフリカナをつける、それも間違った読み方で。これでは太宰の「津軽」という最高の作品が台無しです。もし読んでない方がいたら注釈のないものにしましょう。

 本を探し、買うのは楽しみです。なければ読めません。図書館から借りれば無料?本のない時代ではありますまい、読みたい本は手元に置いておかないと、でもたまに面白そう、と思って注文し、読み始めたら反吐の出そうな本もたまにあります。

 最近ちょっと読んで辞めたものは例えば野口武彦「巨人伝説」、突然長野主膳と村山たかの交合場面が下手なエロ小説より品悪く出てくる始末。歴史小説ではありませんが新人物文庫の長倉新八「新選組顛末記」これは中身を見ないで注文したらひどい現代語訳。歴史をネタにした本にそういったものには多いですね。原則歴史小説は読みません。あくまで娯楽として割り切って書いてあるものは読みますが。
 子供の頃吉川英治全集で読んだ三国志、劉備が貧乏で筵売りをしているといった内容が挿絵とともに書いてある。あり得ません。劉備というのは豪族です、自分が働いているわけではないのです。躬耕力作などといいますが、昔の中国の豪族、文人が自ら鍬を以て耕すなんてことはあり得ません。自分の使用人にやらせて暮らしていることを云うのです。

 歴史もの小説は読むときに十分に気を付けないといけません。事実の重みを感じさせてくれる本に出合えたら最高です。あっ、北越雪譜の出物発見。


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