鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

山小屋の風呂事情・河原宿

2022年08月23日 | 鳥海山

 またしてもiwahige’s diaryさんのブログの風景「心字雪渓の夏」を見て遠くに見える河原宿小屋、そこでのお風呂を思い出しました。

 河原宿、目の前が澄郷沢ですから水に不自由はしません。

 夏の終わりの河原宿。秋も終わりとなればこの沢の流れも目に見えるところでは消えてしまいます。

 右手に見える河原宿小屋の手前に少し出っ張っているところが風呂場です。昔の住宅でよく使ったパーパスのTP-A11Kとかいう一番安い風呂釜です。ガスはシーズン初めにプロパンのボンベを荷揚げしておきます。(当時のヘリの荷揚げで数百万かかるといっていましたが今はもっとかかるでしょう。)湯上りの誰もいない河原宿で鳥海山を見ながら一杯ひっかけるのは最高でした。

 御浜の小屋にも風呂場はありますがあすこは100%天水。水はふんだんには使えません。ビールを冷やすのは鳥海湖の雪渓の残っているところまで背負子を背負って雪を取りに行きます。

 鉾立の東雲荘にも風呂場はあります。あの頃の管理人斎藤さん(おじいちゃんです)は若い女の子が大好きで、下山してきた娘さんに声をかけます。「休んでけ~」

 ある日鉾立へ下山してきた沖縄の女の子、鳥海山で沖縄の方はちょっと珍しかったです、斎藤さんの勧めでお風呂に入りました。あとから斎藤さん「あの沖縄の子よ~、風呂あがっど風呂の栓抜いだのよ~、あどの人入らんねー」

 きっと自分が風呂を使ったままでは後の人に申し訳ない、綺麗にしておこうと思ったんでしょう。家庭のしつけが良かったというのか。東雲荘も山から水を引いてやっているわけですから水はあるとはいっても山小屋。山小屋の水事情を分かっていないとこういうことになってしまうんですね。


コメントを投稿