本田竹広の最後のアルバム。最愛聴盤です。ここで試聴できます。二度の脳内出血、左手の麻痺、そこからの復帰。尾崎正志さんのCD解説を一部ご紹介します。
ファンの声援が本田の薬だ。遮二無ニライブ活動を再開するも治療中に落ちた筋肉は容易には戻らない。「月光」の第3楽章までたどり着く肺活量がない。
ピアノを全身で叩きながら大声を発し腹筋と背筋を鍛える。それはまさに、手負いの野獣が怯えを隠し、目に見えぬ敵を威嚇している姿だ。
右手中指亀裂骨折の影響も現れる。無理を続けた結果、指が太り黒鍵間に指が入らず白鍵が押さえられない。眠れぬ夜が襲い連絡も途絶える。地獄の日々。
7 月1 1 日、プログラム最終校正の最中、途絶えていた本田からの電話。「キャンセルしてくれ、俺、出来ない。駄目だよ、体力がない」
「俺を信じてくれ」の言葉の裏側にいつも張り付いていた不安。私は、このことを何処かで危惧していた。本田のアパートへむかう。
ベッドに横たわり透析受療後の憔悴しきった本田がいた。長い沈黙の後、本田が傍らの電子ピアノにむかう、数小節を一気に弾く、『月光』第3楽章。激しく上がる息、肩が上下し背中は震えが止まらない。
是非探し出して聴いてください。まだ入手できるようです。こちらで。
本田竹広は二度の脳内出血の後、酒を完全に絶ったそうですが、うーん真似出来ない。
もう一枚のお勧めはこちら、録音は良くないですけど、そんなことは音楽には関係ないという見本。
本田竹曠 Takehiro Honda Trio - My Funny Valentine
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます