鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

何の疑問も持たないで文献を丸写ししてはいけない

2023年04月29日 | 鳥海山

 以前にも書きましたが「浮虚子うむかむし」、これは浮塵子の誤記であると。何とも思わず引用して書いてある本が鳥海山について書いた本にはあるんですね。ウンカを漢字で書けば浮塵子、塵を誤って虚と書いたのは明らかです。

 もう一つ奇妙なものは「七五三連嶺」これにルビを振っているのですが「しちごさんながね」と。七五三は「しめ」と呼びます。注連と同義です。「しちごさん」とは呼びません。七五三の語源は調べると解説あるので略します。ここから先は聖域なので、注連を新しいものに代えて、古い注連は木に掛けるので七五三掛と呼びます。

 「七五三連嶺」ではなく「七五三掛連嶺」と書いて「しめかけながね」と呼ばれてきているのですがなぜかある本では「七五三連嶺」と書いて「しちごさんながね」とルビを振っています。これはおそらく橋本賢助「鳥海登山案内」のその部分丸写し。「鳥海登山案内」では「七五三掛」には「しめかけ」とルビを振っているのですが二度登場する「七五三連嶺」はなぜかルビが「しごさんながね」、他の個所ではすべて「七五三掛」と書いて「しめかけ」とルビをふっているのですが。山で七五三を祝ったりはしません。原本を引用したのならその旨書くべきです。

 村岡謙治さんの写真集「ふるさと鳥海山」ではちゃんと「七五三掛連嶺」と書いて「しめかけながね」とルビが振ってあります。


 橋本賢助「鳥海登山案内」より

 原本を引用するとき原本の文字は変えてはいけないのは当然です。しかし引用箇所が明らかにおかしい場合はその旨も書くのが引用する者の義務です。重箱の隅をつつくといわれるかもしれませんが真実は細部に宿るのは事実です。

 とは言ったものの自分は出来ているかなあ、研究者でもないですけどそのようには勤めているつもりです。拙文で赤滝について書いたところも大学の教授が読んでいましたと言ってくれたのには驚きです。


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