鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

大正十年の登拝者

2022年01月15日 | 鳥海山

 大正十年八月十五日、八月十五日と言っても大正ですので敗戦の日ではありません。白装束の登拝者が新山切通で記念撮影です。二十五人ほどいらっしゃるようです。

 わずか百年ほどの間にこういった風習は消えてしまうのですね。世代にしてわずか三四世代です。大正初めに鳥海山登山案内を出した太田氏も現当主の四代前だそうですから世代としてみたらそんなところでしょう。

 昭和の五十年以降は鳥海山で白装束の方にあったのはたった一度、独りでの登拝でした、お峯、外輪を山頂へ向かって歩いている所でした。佐藤康さんの「ひとりぼっちの鳥海山」にも昭和二十七年に白装束の行者がやってきた話があります。

 今も鳥海講は行われていますがどれほどの講が今なお行われているのでしょうか。知り合いの地区でも今はやっていないという話でしたし、以前は赤瀧へ綱講で行っていたという地区でも今は行っていないということですし、だいぶ少なくなっているようです。考えてみれば、今の登山ブームのようなものだってそう遠くないうちに下火になるでしょう。それも散々に山を荒らし終えてから。


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