暑くてどこへも行きたくありません。起きているのと寝ることと本を読むのを楽しみとしています。
野中至「富士案内 芙蓉日記」おもしろそうと思って読み始めたら、最初のページではや投げ出しました。
赤い傍線を付けた文中注釈、この見開きでいきなり9か所出てきます。
- 諸越人[中国・越の国の人、唐土人。転じて中国人]
- 四海八表[四方の海と八方の隅。全世界]
- 朝靄暮霞の変[朝靄や夕霞で変幻きわまりない光景になること]
- 天籟地籟[天地・自然界にある音]
- 鈞天[天の中央。転じて天井の神]
- 熄火山[噴煙活動を休んでいる火山]
- 磽确[岩石ばかりの土地]
- 窈然[暗くて深い]
- 坎穴[穴]
どうです。読みやすいでしょうか。確かに今は使われない言葉ですがこれは別に注釈をつけるべきでしょう。もっともこれはどこかの辞書から丸ごと写してきたのでしょう。昔、太宰治の「津軽」にやたらと注釈を入れて作ったものがあったようですが(しかも間違ったもの多数)注釈は相当に気を付けて入れなければなりません。注釈だけで一冊の本になる例もあるくらいですから。
※太宰治「津軽」注釈の例。こんな注釈が頻繁に出てくるのでは超名作「津軽」がだいなしです。
- マント〈袖の無い外套〉
- 銭湯〈湯銭を取って入浴させる浴場〉
- さるまた〈男が用いる、腰やまたをおおう下着〉
この話は高島俊男「お言葉ですが」④猿も休暇の巻の中の「これは賤しきものなるぞ」に出てきます。これは超おすすめシリーズの本です。
次のこちらはアーネスト・サトウの登山記録を集めたもの。
注釈はもちろんありますがまったく邪魔にならない、必要な所にあるべきところに注釈がつけてあります。
山の記録はこのアーネスト・サトウのようなものが書きたいですね。花と景色だけで、写真だけを見せようとする登山の記録は全く面白くありません。一度この明治日本山岳記、手に取ってみることをお勧めします。
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