鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

鳥海山をめぐる人々 検察官

2020年09月29日 | 鳥海山

 おのれのつらが曲がっているのに鏡を責めて何になる

                       俚諺

 ゴーゴリの検察官冒頭にあります。何せこのブログのタイトルからしてゴーゴリ由来ですから。

 なぜ、検察官が出てくるかといえば、ある秋の日大清水の小屋で出会った方が検察官ご夫婦だったからなのです。今からもう三十年近い昔の話なのでもう書いてもいいでしょう、ということで。

 例年の大清水の避難小屋での夜の酒盛りの真っ最中、階下に誰かがやってきた物音が。トイレに降りて行った仲間の一人がその方たちと意気投合し、二階に誘ってきました。やってきたのは子供連れのご一家。みんなで飲みかわしながら話を聞くと、鳥海山に上るのではなく、休日には家族でこういったところへ泊りがけでドライブしている由。旦那さんは口数も少ない人でしたが奥さんはよく語ります。転勤族なものだから長い付き合いの友達ができない、それならば逆に多くの人と知り合おうとしているとのことでした。

 その時の宴会の様子です。いつもごちそうはすき焼き。その前に昼食は知り合いの焼肉屋さんから肉ともみだれ、つけだれを買ってきて焼肉三昧。家庭での焼肉とは全く違う本格的焼肉店の香り、焼肉、ラーメンってホント市販のものではお店の味は再現できません。

 で、何の職業なさっているんですか?と誰かが聞いたところ

 「はい、旦那は検察官やってますの。」続けて

 「皆さん何かあったら訪ねてきてください、事件があってもいいようにしてあげますから。」

 そばで旦那さんは何も聞こえていなかったのかニコニコ。名刺もいただきましたがいまはすでにありません。その検事さんもすでに退職し子供さんも社会人となっている、そんな月日が流れましたから。(今は弁護士さんをやっているようです。ああ、あれは弁護士側の見方で言ったわけか、と納得したりして。)

 

 その時は、えーっ、検察官てそんなことできるんかい!などと思ってしまいました。これをもし検察の方が見たとしたら嘘、嘘です、信じないでください。もう、ん十年も前の話ですから、作り話です。

 検事さんのお奥さんからはその後何年か年賀状をいただいていました。これも遠い話です。


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