鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

山と高原地図 鳥海山 2023

2023年02月27日 | 鳥海山

 注文していた山と高原地図 鳥海山 2023、本日届きました。半分納得、半分がっかり。西ノコマイは表記が改められていました。


 昭文社 山と高原地図 鳥海山 月山 羽黒山 2023より

 一の滝より下流が西ノコマイ、国土地理院地形図では「西河前」と誤った文字でかかれていますし、千畳ヶ原の下あたりまでも西河前になっていますがあそこは月山沢です。今まで南ノコマイだと思って計画していた人は途方にくれるかもしれません。一言添えてあればよかったですね。

 西ノコマイ、中ノコマイ、南ノコマイな三本が合流するところで三ノ俣ということが位置関係も正しくわかります。

 蕨岡口旧道は「ヤブ多く道不明瞭」と書き換えられています。実際歩いた人もわからなかった書いていますし、最初に刈払いした大江さんもこのニ三年刈払いしていないということですので水呑池より上は全く不明瞭ですのでこの記述にしたのは注意喚起のために良いと思います。もっともソブ谷地もだいぶひどいですし、昔の地図には熊の出没多し、と書いてありましたが今も熊さんが出没しなくなったわけではないのでそれも書いてあればよかったですね。

 さて、問題は破方口。これは「やぶれかた」という奇妙なフリガナがなくなりましたけれど「破方」という「口」の欠けた表記は変わらずです。

 おそらく破方としか文字が入れられなかった、破方口の位置を理解していないところからきているものと思われます。最初はわからなかったですからね。

 姉崎岩蔵の「鳥海山史」を頼りにすると間違います。再三書いていますが姉崎岩蔵の「鳥海山史」登山口の項は橋本賢助「鳥海登山案内」のコピペです。橋本賢助が間違って書いているので間違いもそのまま引き継がれています。

 「破方」と口が欠けたのは池昭さん執筆の時です。破方口は鳥海山三十三拝所のうちのひとつです。今では知る人もいませんが調べてみると古絵図以外にも何度も登場します。

 太田宣賢 「鳥海山登山案内記」大正二年より。

 近い所では佐藤康「鳥海山日記」、斎藤重一「鳥海山」、しばしば破方口が登場します。

前にも使わせていただいた「遊佐町史資料第1号鳥海山資料」内の図を見ると破方口の正体が良くわかります。俗に七高山北峰と呼ばれているところが破方口です。由緒ある名前で決して「破方」ではありません。


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