「本日も読書」

読書と映画の感想。ジャンル無関係、コミック多いけどたまに活字も。

ぼく、ネズミだったの!

2005年01月13日 | ファンタジー・ライトノベル
今、WBSを見てたらブログが本になったー
という話が出て、寝ようと思ったのに更新することにした。
本なんて夢のまた夢だが(笑)
げんきんなもんです。

さて、本日は「ぼく、ネズミだったの!-もう一つのシンデレラ物語-」
フィリップ・プルマン 偕成社

ライラの冒険シリーズのフィリップ・プルマンの作品。
児童書なんですけど、大人が読みなさい!って思う。
シンデレラの後日談風。
主人公は魔法でシンデレラと共に少年に変身したネズミ。
作品中ではシンデレラでは無いですけどね。
近代頃?のイギリスと重ねてます。

この話を訳者の方は「ゆかいでふしぎ」と表現しているんですけど、
それはやはり子どもの立場でのことだと思うんです。
私は世の中への皮肉・人間の醜さ・怖さ・痛々しさ・・・そんなものを感じた。
大人になっちゃうといろんなものを考えてしまうんですね。悲しい。

ネズミだったのに人間に変身させられて、人間の世界が全くわからず、
しかしものすごく純粋な元ネズミのロジャーが痛々しい。
優しい老夫婦に出会わなかったらどうなったことか・・・

シンデレラが「王子様と結ばれてハッピーエンド」で
終わったと考えていいのかな?と。

そりゃあ、あの話は童話なんだからそれでいいじゃん、という意見も
あるだろうけど、子供のときとは違う視点で見ましょうよ。

階級格差というのはヨーロッパではまだ残っているそうなんですよね。
シンデレラの時代は当然、階級は普通のことで。
露骨にそのへんの話は出るし、ジャーナリズムの欺瞞を面白く紹介している。
もちろんそれを鵜呑みにする人間への皮肉も。

ゴシップ紙の挿絵?がライトノベルの「フォーチュンクエスト」の
便利な商品の宣伝のイラストと雰囲気が似ていて楽しかったですけど。
なんだっけな、ケッコー通販だっけかなあ。
ああいう遊び心がいいです。
もっともいろいろマスコミについて考えさせられますけど。

シンデレラは本当にあれで幸せだったのでしょうか?
ネズミから人間になったことは幸せ?
後半は現在の日本の皇室問題とも重なるかも。
「大事なのは何になるかじゃなく、何をするかってこと」
という言葉は多分ものすごく重いんだと思う。
もう戻れないんですから。お姫様なんて嫌と思っても。

そもそもネズミを勝手に人間にしてしまったというか、
巻き込んだというか・・・そういうシンデレラの行為は
もしかしたらかなり重い罪かも。
もちろん法律は無いけど。

ただ、シンデレラも優しい心は忘れないでいたのが良かった。
あれで権力に染まっていたら読むのが辛すぎるからね。

そこらへんライラのシリーズでキリスト教への反抗を試みたり
しながら、大切なものというか、倫理や道徳はそれでもあるというか、
まあ全く暗い終わり方にはしない、救いがとりあえず残っているのが
この作者らしい・・・のかも。

だけど本当にそれが救い・幸せなのかは・・・やはり考えてしまうなあ。

さて、児童書といえば、私の好きなディスクワールドの
テリー・プラチェットも書いてまして、
遠い星からきたノームというシリーズもの。
これも大人が読んで面白いです。
児童書って意外と深いです。
だけど図書館で借りるのは勇気がいります。
周囲は奥様とお子様ばかり・・・
不気味な男が児童書を探していると時節柄、警戒されてそうです(笑)
「奥さん、私は児童書の面白さに目覚めただけで怪しいものでは・・・」
・・・もっと怪しい。

 完。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
児童書 (くろにゃんこ)
2005-01-14 09:54:46
児童書は、意外にお宝が眠っていたりしますよね。

最近のファンタジーは、ほとんど子供向けに出版されてますけど、大人が読んでも面白いし、その中には、これは凄い!と思うものを見つけることがあります。

最近の本では、セリア・リーズ「魔女の血をひく娘」がピカイチかな。

私が、ファンタジーに目覚めたのは、プロイスラー「クラバート」を読んだときでした。

大人になってからも読んでみたんですけど、やっぱりよかったです。

このところ、児童書は遠ざかっているので、今度、借りて読んでみようかな。



男性が児童書コーナーにいる姿は、あまりというか、全然見かけたことがないですね。

特に、土日は、お子様、奥様だらけですから、あきやまからす様が肩身がせまいのも頷けます。

でも、そこは勇気を持って堂々としていましょう。

おどおどしてると余計怪しく見えるかも(笑)



「刈り入れ」読みました!

死神、大活躍で楽しかったです

買い物に行って、カートを見るたび、思い出し笑いすること必至です。
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探せない悔しさ (からす)
2005-01-14 19:08:49
くろにゃんこさん、またコメントしてくださってありがとう。

刈り入れ、良かったでしょー

なかなか広まって無いみたいなんですよね。

良い本なのになあ。



私はカートが逃げるシーン好きです。

表情無いはずなのに、焦っている、汗をかいているカートが目に浮かぶ。その後を大騒ぎしながら魔術師たちが追いかけて、ヨレヨレの会計士がいて・・・

買い物カゴを乗せたカートが走りませんように(笑)。



児童書いいですよね。

男は辛い。

児童書コーナーで長い時間探すのは避けて、サッと行って、サッと本を手に取る、と。

意識し過ぎてしまうんですよねー

だけど本屋だとわりと平気で。

児童書「コーナー」が緊張するようです。



これからは堂々、堂々・・・と念じながらあの領域に入ることにしましょう。

いずれ本当に気にしなくなる・・・かなあ。
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