◎ 2014年1月22日(水) サヘルの伝統農法ーサワドゴ 志の高い人
サワドゴが実験を始めるきっかけとなったのが、旱魃による食料危機だった。
旱魃で困窮した人々は、ブルキナファソの他地域や他国へと出て行く。
だが、サワドゴは自分の農場にとどまることを望んでいた。「先祖の時からずっ
とここにいたからです」
土地劣化に対して、乾季に何千の穴を掘った。穴はだいたい直径約30cm、
深さ約15cmです。穴ができれば、作物の養分として有機肥料を加えます。
厩肥は白アリを引き寄せ、アリの掘るトンネルが固まった土をさらに緩める助
けになります。雨季になれば、この穴に水をためることができます。このザイの
技術で次の雨まで水を集めておきます。つまり、これは水を保全するテクニック
なのです。その技術は実にシンプルなものです。乾季に穴を掘り、斜面には土
留めを土で作り、雨が降るとソルガムや粟を蒔く。
モロコシ 粟 ソルガム
「以前は劣化して何も育てられなかった農地で収量を上げ、サワドゴは家族の
食料自給に成功する。ザイのおかげで裕福となり、家族や自分を養えています」
また、ザイの穴に木が自然に育ちはじめていることに驚いた。木の種子は水に
流されてきたり、ザイの穴に加えた厩肥に含まれていたのだ。
サワドコは、この木を大切に保護することにする。つまり、育林の技術を発見した
のだ。サワドコは、果物や飼料に使える在来種の種子、ナッツ、黄プラム、ブドウ
の木、様々なアカシア種の他,ガンバ草等の飼料草の種子を集め、それを次の
雨季に穴に入れた ナッツの木と実
アカシア 黄プラム
こうして、数年もかからず、不毛の大地は様々な樹種からなる12haの森へと
徐々に変わった。この樹木や低木が穀物と競合し始めた。さらに、薬用植物に
関心をもち、マラリア、胃痛、黄疸等の治療に役立つ種を農地で保護し、栽培
するようにしたのだ。
ユーカリ ニームの木 サバンナマホガニー
以前には、何も生産できなかった土地でモロコシや粟が収穫できる。近くの農
民たちも当然ながら注目し、それ以外の村の農民たちもサワドコをまねしだす。
サワドコは「ザイ普及協会」を結成し、年に一度、彼の農場で技術講習会を開く
ことにした。毎年、やく100もの村から代表者たちが経験をわかちあうために、
ゴールガ村にやってきた。農業者の代表団だけでなく、プロジェクトや研究機関
も薬用目的の植物について、サワドゴの経験から学ぼうと訪れる。
一人の力は多くの人の幸せをまねく 偉大な人