ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2023年J2リーグ第24節 東京ヴェルディvsV・ファーレン長崎

2023-07-06 18:27:33 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回のヴェルディの記事はこちら(20節・岡山戦、2-1)
※前回の長崎の記事はこちら(20節・町田戦、1-4)

<ヴェルディスタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 甲田がJ1・名古屋から育成型レンタルで加入。21節(群馬戦、2-2)から登録されて毎試合途中出場している。
  • 染野がJ1・鹿島から育成型レンタルで加入決定。前年と同様の流れ。
  • 特別指定の新井が今節初のベンチ入り。
  • その代わりにベンチ外となったバイロン。おかしいなと思ったら……

<長崎スタメン>

  • 前節はフアンマ・都倉の2トップの4-4-2だったため、4-2-3-1へと微妙にマイナーチェンジといった格好に。
  • クレイソンが契約解除という形で退団、23節をもって登録抹消。
  • 中村がJ1・柏から完全移籍で加入(再加入)。試合出場は27節・山形戦以降。
  • GKルカ・ラドウィッチの負傷が発表され、5/9に発生して6/8に手術実施、全治は32週間との事。
  • 西村が2種登録を抹消される。(21節付・ユースの試合に出場のため)

夏の移籍ウィンドウの真っ只中という事で、昇格を目指すクラブは補強にも余念が無く。

ヴェルディは名古屋からドリブラー・甲田を獲得したと思ったら、前年も鹿島からレンタルした染野を再び獲得と、J1選手を加える勝負手を打って来ました。
共に育成型レンタルのため、ウィンドウに関係無く獲得後すぐに選手登録出来るという利点はありますが、染野の前例然りいずれは返さなければいけない選手でもあり。
まさに昇格のための補強、といえるでしょう。

一方の長崎は、主力だったクレイソンが突如契約解除により退団。
この辺りは助っ人ならではの、母国の事情や家庭の事象といった、クラブでは介入不可能な出来事の発生といった所でしょうか。(詳細は不明)
その穴埋めの第一弾として柏から中村を完全移籍で獲得、古巣への復帰という形でファンファーレ付き(?)で迎えられ。
しかし完全移籍なので、選手登録は7/21以降となるのが辛い所です。

そんな両クラブ、ともに昇格を目指すべくの直接対決。
ヴェルディにとっては中2日というキツイ日程で、特別指定の新井をメンバーに加える等中々苦しい陣容となりました。

堅守が光る今季のヴェルディ、この日も相手のストロングポイントを消しにかかる立ち回りを序盤から貫きます。
フアンマへの浮き球に対し、前線ではセンターバックが、中盤では綱島がしっかりと付いて思うようにプレーをさせない姿勢。
そして自身はしっかりとボールを握り攻撃を仕掛けにいきますが、かつての永井秀樹氏時代の華麗なパスサッカーの面影はあまり無く。
何処と無く力強さが前面に出る、というようなパスワークに映ったのも、昇格を目指す戦いを貫く城福浩監督の指導の賜物でしょうか。
積極的に縦パスを打ち込み、例え奪われてもすかさずゲーゲンプレスを掛け、激しいデュエルも辞さず。

そんなヴェルディの姿勢に難儀する長崎。
ポストワークの際に常時チャージされるフアンマの苛立ちに釣られるように、13分には北島に対しカイオが足でチャージしてしまい反則・警告を受け。
攻め手を見出せない状況が続いたものの、前半16分にプレッシャーを掛けてGKマテウスのフィードを加藤大がブロック。
直後のヴェルディの深めからのスローインをカットする事で好機が生まれ、カイオの浮き球パスを受けたフアンマがシュート。(枠外)

初のフィニッシュに辿り着いたものの、依然としてヴェルディのターンは続き。
上記の結果からプレッシングに活路を見出す長崎ですが、ゴールキックから短く繋いでくるヴェルディのビルドアップを阻む事が出来ず、攻撃権を握られます。
20分には敵陣でボールカットを決めるヴェルディ、その流れのまま山田が左からのカットインを経てシュート。
ブロックされるもここから波状攻撃を掛け、拾った北島がミドルシュートを放つも岡野が頭部でブロック、さらに攻め立てるものの追撃はこれ以上出来ず。

苦境の長崎、23分には綱島とのデュエルでフアンマが痛んで倒れ込み、起き上がるも例によって主審に異議を唱えるシーンを作るという具合にムードは良くなく。
しかし26分のヴェルディの攻撃で、右ワイドから中央への展開を経てエリア内を突き、山田が切り込む所を奥井がスライディングで良く防ぎ。
この日は要所で、今季初スタメンの奥井が左ポケットでのディフェンスを見せる事で雰囲気を作れた感がありました。

そして29分、長崎はヴェルディの縦パスをカイオがカットして反転攻勢。
こちらも米田の縦パスはカットされるも、こぼれ球を鍬先が繋ぎ、加藤大が左手前からクロス。
これをファーサイドでフアンマが落とし、マイナス方向へ落ちた所を増山がダイレクトでシュート。
ボールは豪快にGKマテウスのセービングを弾いてゴールイン、劣勢だった長崎が先制点に辿り着きました。

これで息を継ぐように上昇機運に乗る長崎。
33分にはフアンマが再び綱島に倒されると、(フアンマによる)繰り返し反則のアピールと共に綱島に警告が突き出され。
ここからデュエル勝負でやや優勢に立てたでしょうか。
37分に再びフアンマが(山越に)反則を受け、自陣からのフリーキックで櫛引のロングパスをフアンマが落とし。
エリア内で受けた加藤大の溜めを経て、シュートに持っていったフアンマ。(ブロック)

しかし直後、長崎のスローイン攻勢の際に、米田の投げ入れが遅いのを見たヴェルディ・城福監督が遅延行為を猛アピール。
2度目のスローインの際に、とうとう笛が吹かれて米田が警告を受ける事態となり。
先程のフアンマといい、アピールが奏功した形となりましたが、再び判定面で不満を抱えながらのプレーを強いられる長崎。
これに伴い、左サイドに増山が回ってロングスローを投げ入れ、以降はその流れのままサイドハーフを入れ替えた状態でプレーを続けます。

プレーが止まる事が多かったため、目安3分という比較的長い前半のアディショナルタイム。
その再終盤、GKマテウスのフィードで長崎のプレッシングを脱出したヴェルディが最後に好機を作り。
右奥を取った河村の戻しを経て宮原のクロスが上がり、クリアボールを図ったかのようにエリア内左で森田が拾います。
まるでこの試合(6節・熊本戦、3-0)の深澤のような計算されたプレー(に見えた)でしたが、放たれたシュートはゴール右へと外れ同点ならず。
結局長崎がリードを保ったまま、前半終了となりました。

そしてハーフタイム、ビハインドかつコンディション面を考慮するヴェルディが当然のように動き。
河村・綱島→甲田・稲見へと2枚替えし、巻き返しを図ります。
一方の長崎もSH同士を元の位置に戻し、増山が右・澤田が左へ。

後半1分にヴェルディ・北島が、2分に長崎・加藤大が敵陣でボールカットを見せる入りとなり。(ともにフィニッシュには繋がらず)
激しいボールの奪い合いに、一波乱起きそうな雰囲気を醸し出します。

そして5分ここも左サイドでのパスカットが発端となり、深澤がカットしたボールを北島が繋いだ所、前進を続けるヴェルディを尻目に反則の笛が鳴り響き。
パスを出した北島がカイオのアフターチャージを受けた格好となり、たまらず主審が詰めよって警告を突き出します。
これで2枚目で退場となってしまったカイオ、1度目と同様に足で削ってしまったのが印象悪く。

数的不利となってしまった長崎は、加藤大がボランチの位置に降り、4-4-1の布陣で何とか凌ぎに掛かります。
そんな中で9分、裏に出されたボールを追い掛けようとしたフアンマが谷口と交錯、その中で顔にチャージを受けて倒れ込み。
しかし反則の笛は鳴らず、さらにヴェルディサイドがそのまま攻撃を続けたためベンチは激しくヒートアップする事態となります。
アタッキングサードまで運ばれた末、深澤にクロスを上げられましたがこれが精度を欠いて命拾い。
しかしファビオ・カリーレ監督の怒号は収まらず、という流れに。

数的優位の状態宜しく、労せずして敵陣でボールを握るヴェルディ。
そこから、投入された甲田の突破力を中心に崩しに掛かり、長崎はその対応を際どい所で続ける苦しい状況に。
14分には左奥からのスローインで、左ポケット角で受けた森田がボールキープからスイッチ、北島が奥へ切り込み。
しかし奥井のディフェンスが立ちはだかり、倒されるも反則無しで防がれます。
続く15分にも北島が左ポケットに切り込むシーンが生まれるも、これも奥井がスライディングで阻みシュートに繋げさせず。
ここからボールサイドのSHが下がる事で、自陣では5-3-1の布陣で凌ぐ体制を取る長崎。(ヴェルディは18分に山田→阪野へと交代)

19分に久々の長崎の攻撃で、こぼれ球の争いで深澤が増山に倒され。
反則かと思い込みボールを抱え込んだ深澤、実は反則無しで何とハンドを取られてしまうという可笑しなシーンが生まれ。
これで敵陣でのFKとなった長崎、これで失点とあっては何とも締まらないものになりそうでしたが、ここからはフィニッシュは撃てず。

甲田の右での仕掛けが良い感じになり、さらに武器を増やさんとヴェルディは23分に新井を投入。(北島と交代)
サイドアタッカータイプで、その後甲田の逆の左翼を務める事となりましたが、皮肉にもその直後でした。
ヴェルディのクリアボールをさらに奥井が跳ね返すと、フアンマの頭上に上がったボールを山越がクリアしきれず後方へ。
エリア内へと落ちたボールにフアンマが走り込み、そのままダイレクトで放たれたシュートが豪快にゴールネットを揺らします。
10人の長崎が、まさかというべき追加点に辿り着きました。

綺麗な繋ぎとはかけ離れた事故のような得点でしたが、ヴェルディにとっては誤算以外の何物でも無く。
その後も両翼を駆使してサイドで深さを取りにいき、それを防がんとする長崎という図式へと完全移行します。
その最中の29分、加藤大が足を攣らせてしまう長崎。
これで交代カードを切る事となり併せて2枚替え、加藤大・増山→五月田・クリスティアーノへと交代します。

逃げ切り重視の場面で、意外にも投入されたクリスティアーノ。
それを見たヴェルディ、当然ながらその守備面の弱点を突くように左からの仕掛けを増幅させます。

そのためデビュー戦ながら、大きな見せ場を得る事となった新井。
34分には例によって細かいタッチで仕掛けるも、カットインから中央へパスしてそのまま右へと渡り。
逆サイドから甲田の鋭いクロスが上がると、ファーサイド奥で綺麗にフリーとなった新井が足で合わせ。
やったぜ初ゴール、と思われたそのシュートはふかして上へと外してしまいました。

それでも道筋が見えたか勢いに乗る新井、35分にはカットインからミドルシュートを放ち。(ブロック)
39分にもカットインで左ポケットへ切り込み、シュートを放ったものの戻ったフアンマのブロックに防がれ。
遠慮する事無く果敢にゴールを狙う新井、それに伴い後方も2センターバックが中央寄りで起点となったのちに、長いパスで新井に託すという攻めを繰り返します。
なおそのCBは山越がパワープレイのため前線に上がり、稲見がその穴を務める布陣に。
そのため4-4-2、ないしは両翼をFWと考えた4-2-4のようなスタイルだったでしょうか。
38分に最後の交代、森田→加藤蓮へと交代し、加藤蓮がCBに入って稲見がボランチへと戻り。

41分に再び新井、左ポケット奥へと切り込みましたが、こちらも奥井が集中力を切らさずそのドリブルを止め。(その後奪い返し甲田が奥へと切り込むもフィニッシュは撃てず)
しかし防戦一方の長崎、43分にフアンマが足を痛めるなどそのダメージは深刻に。
そして牙城を崩したのはやはり新井で44分、ワイドでボールを持つと今度はマイナスのカットインでシュートレンジへ。
放たれたミドルシュートはブロックの合間を縫い、GK波多野も反応できずに左へと突き刺さりました。

嬉しい初ゴールを挙げた新井ですが、試合はまだ終わらず。
たまらず長崎ベンチはキックオフ前にフアンマを退かせますが、投入された都倉はキックオフを躊躇った末に、遅延行為でいきなり警告を貰うという珍プレーを演じてしまい。

そしてATに突入し、今度は目安は8分とさらに長く。
尚も左から仕掛ける新井、そこに加藤蓮まで加わる、まさに総動員といったヴェルディの攻撃。

そして長崎は奥井が足を攣らせた事で、最後の交代に踏み切り。
奥井・澤田→今津・安部へと2枚替えし、今津がCB・岡野が右サイドバックへシフト。

この策にむしろヴェルディサイドが重く見てしまったのか、以降両翼からの攻撃を諦め、谷口まで最前線に上がるパワープレイの重ね掛けに。
そしてロングボールを送り続ける攻めにシフトした事で、勢いも失われていきます。(CBは深澤と稲見)
判定にも不満を唱えるシーンが悪目立ちし、異議によりベンチの誰か(試合後も不明)に対し警告が突き出される始末。
その隙を突く長崎、鍬先がドリブルで持ち運んだ末にミドルシュートを放ち、ブロックされるもCKを得てボールキープと時間を大きく使う事に成功します。

何とか脱出し、齋藤のミドルシュートに持っていったヴェルディですが決められず。
そして宮原が拾わんとした所オフサイドを取られた、と同時に試合終了を迎え。
数的不利を跳ね返し、長崎が激戦を制しました。

一方新井の跳梁が目立ったヴェルディでしたが、翌日にこの日欠場のバイロンの完全移籍が発表される事に。
しかも移籍先はよりによって首位・町田と、あっという間にライバル化してしまう事となりましたが、この日の両翼はその穴を埋められるでしょうか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第23節 モンテディオ山形vsベガルタ仙台

2023-07-05 16:08:48 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の山形の記事はこちら(21節・徳島戦、1-1)
※前回の仙台の記事はこちら(21節・山口戦、0-2)
※前回対戦時の記事はこちら(15節・仙台 2-1 山形)

<山形スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(ヴェルディ戦、0-2)出場停止の川井がスタメンに復帰。

<仙台スタメン>

  • 中島がベンチ外となり、別メニュー調整との事。(放送席の談)

みちのくダービー・第2ラウンド。
前回対戦時は、展開こそ仙台が終了間際に勝ち越して勝利というものでしたが、内容にはかなり力の差を痛感するものであり。
J1経験豊富な仙台が、山形の前進を阻みかつプレッシングをいなす場面が多く、横綱相撲に近いものがありました。

リベンジを誓った(であろう)山形サイド、敗戦直後から怒涛の5連勝を達成し、文字通りチーム力を高めてこの日に挑まんとする流れとなり。
しかし前節・ヴェルディ戦で敗戦、その内容はビルドアップがままならなかったというもの(放送席の談)で、やや不安を抱えてのこの日となりました。

試合が始まると、早速山形のビルドアップvs仙台のプレッシングという図式になる試合絵図。
右の川井が後ろに残り、左の小野が前に出るという3枚の最終ラインを形成する山形。
それに対し、仙台2トップはハイプレスにはいかずにボランチの位置で構え、前に出た所を潰すスタイルを採ります。
これが奏功し、前半3分には鎌田のボール奪取から前に運び、右手前からの低いクロスをホヨンジュンが収めて好機。
左ポケットで氣田が溜めを作ったのち中央へパスを送り、ダイレクトで鎌田のシュートが放たれましたが惜しくもゴール左へ外れ。
続く4分にも敵陣でパスカットに成功するなど、前回と同じ展開に持ち込む事に成功したかに見えた仙台。

しかし余所行きのサッカーがそれを台無しにしたでしょうか。
5分に仙台のビルドアップが始まると、最終ラインがボールを持つ中でセンターバックの若狭が一列前に上がり。
これまでの基本である右肩上がりの布陣とは一新したスタイルを見せると、その刹那でした。
バックパスを受けたGK小畑が前へパスを送ろうとした所、猛然と詰めた藤本がそれをブロックすると、跳ね返りがそのままゴールを揺らす事態に。
新たな布陣を試させないまま、山形が先制点に辿り着きました。

出鼻を挫かれるという表現がピッタリとなってしまった仙台、以降もその新スタイルは変わらず。
若狭がボランチの位置を取り、その代わり鎌田が右サイドで小出・郷家の間に張るという可変システムを採ります。
郷家に高い位置を取らせつつ、右サイドに3人並べる事で優位性を保つ狙い、といった所でしょうか。

しかし逆の左サイドでの攻めが殆ど見られず、SBにキムテヒョンを据えているが故の苦肉の策とも取れ。
彼がサイドを務めた際は同サイドから前進できないというのは、前年の最終節の際でも明らかだったように、自覚しての事だったのでしょう。
14分のビルドアップ、中央で若狭縦パス→ホヨンジュンポストプレイ→鎌田右ハーフレーンからサイドチェンジという流れで、左の氣田へと渡る攻撃。(ここから溜めたのちのパスワークでエリア内を突くもフィニッシュは撃てず)
なるべくキムテヒョンを経由せずに、アタッカーの氣田に良い形で渡すという、ある意味縛りプレイのような様相にも見えました。

16分再び山形のビルドアップとなるも、溜めを作って仙台のハイプレスを誘い、前に出るやすかさず川井が縦パスを通して前進に成功。(その後藤本ポストプレイ→藤田裏へロングパス→イサカもクリアされる)
貫いていた前線の守備の姿勢が乱れる、綻びを感じさせるシーンとなり。
そんな中18分に決定機が訪れ、例によって右サイドからの前進で、鎌田のスルーパスが一気にホヨンジュンに渡り右ポケットへ進入。
前に出たGK後藤雅を右にかわしにいき、後藤雅のブロックで倒れてしまうも、「PKを貰うようなプレイ」に映り反則の笛は鳴らず終わってしまいます。

冷や汗を掻いた山形ですが、ここから普段着のスタイルの力を発揮。
相変わらずビルドアップに苦しむ仙台に対し、22分に敵陣中央でボール奪取に成功、國分がドリブルで前進する所を若狭に倒されて反則・警告。
この直接フリーキックを、田中がその通りに直接シュートを放ちましたが、ここはGK小畑が正面でキャッチ。
25分にもイサカが中央に絞ってボール奪取し、拾った藤本がミドルシュート(枠外)と、ショートカウンターの牙を向け始めます。

仙台はたまらず、30分頃からビルドアップの形を変え、普段通りの小出が前に出る右肩上がりのスタイルに。
しかし余所行きの策に手を染めた罰を、その後もたっぷり味わう事となります。
その普段通りのビルドアップも、前回観た通り左SBが攻め上がらないのは共通しているので、硬直性を解くには至らず。
攻めの姿勢を崩さない山形は長短のパスを交えた多彩な前進から、イサカの突破からのシュート(31分・ブロック)、右奥のマイナスのクロスからの國分のシュート。(33分・ブロック)
38分にはカウンターから、イサカのスルーパスに走り込んだ藤本がループシュートを放つも、GK小畑が腕を伸ばして何とかセーブ。
多種多様なフィニッシュと、それを辛うじて防ぐ絵図に、決壊は間近という事を窺わせます。

そして迎えた40分、山形はビルドアップの流れで、山形のパスカットを2度受けるもセカンドボールをも繋いで好機に。
イサカのワイドからのパスで右ポケットを取り、藤田の戻しを南がダイレクトで中央へ送り、藤本がワントラップを経て反転シュート。
難しい体勢ながらゴール左隅をキッチリ突き、前半のうちに追加点に辿り着きました。

スコア的にも内容も厳しい状況の仙台。
何とか打開せんと、直後の42分に左サイドからの運びを試み、キムテヒョンも関わってのパスワークで山形のプレッシングをかわし。
そしてキムテヒョンのミドルパスを受けた郷家が野田に反則を受け、右サイドかなり手前からのFKとなると、キッカー鎌田がファーサイドにクロスを送り、キムテヒョンがボレーで折り返すもシュートは生まれず。(尚オフサイドの判定を巡って一悶着あり、映像ではキムテヒョンの位置は明らかにオフサイドにも拘らず、その後合わせにいった若狭がオフサイドを取られた模様)
しかしその姿勢も実らず、44分にはまたも右から攻めようとした末に詰まって奪われて山形のショートカウンターを浴びてしまい。(奪った田中がすかさずスルーパスも國分には合わず)
ここでは中央のエヴェルトンが一瞬空いたため、そこを使えば……という所で右に送ったのが分かれ目となり、どうにも視野が総じて狭いと感じてしまう仙台のビルドアップ。

結局2-0で前半を終え。
ハーフタイムで小出→蜂須賀へと交代し、巻き返しを図った仙台。

そしてオープンな入りとなった後半。
ともに相手の陣形が整っていない所を攻め込み、結果に繋げたのは仙台の方でした。
こぼれ球をエヴェルトンがダイレクトで縦パス、受けた氣田がスルーパスと前へ素早く運び、山田寛のミドルシュートがGK後藤雅にセーブされるもCKに。
この右CKから、鎌田の中央へのクロスをホヨンジュンがフリーで合わせヘディングシュート、ゴールネットを揺らします。
流れが悪い時はセットプレー、というお手本のように1点を返す仙台。

後半からプレッシングも、2トップは最終ラインまで詰めにいくスタイルを採った仙台。
1点差に詰め寄った事もあり、相乗効果で前掛かりな姿勢を強めて同点ないしは逆転を狙いにいきます。
4分にはエヴェルトンのボール奪取から、ディフェンスに遭いながらも強引に前に運んだ末に、キムテヒョンがシュートに辿り着き。(枠外)

しかしその強引な姿勢が首を絞める事となり、前進の際にパスミスを頻発してしまうなど細かい繋ぎの部分が乱れ、攻勢に入るには至りません。
そうなると、縦に速い運びでは山形の方に分があるため試合が傾くのは自明の理、といった所でしょうか。
9分ミドルパスをカットした藤田が縦パスを送ると、受けた田中もスルーパスで前へ送り、受けた國分が左ポケットに進入。
そして奥からのマイナスのクロスを綺麗に藤本がフリーで合わせ、ハットトリック達成となる3点目を挙げます。
早い運びからの好機のなか、直ぐにクロスを入れたくなる場面でワンテンポ置くという國分の動きが絶妙で、その成果は見事に表れました。

これでも終わらず13分、左サイドでの前進から今度はアーリークロスを選択する國分。
これがスルーパスの如くセンターバックの裏を突き、藤本が後は決めるだけといったヘディングシュートを叩き込みます。
4分間で2点と、あっという間に試合をほぼ手中に収めた山形。

巻き返しを図らんと、18分に山田寛・郷家→遠藤・フォギーニョへと2枚替えをした仙台。
出来れば1点差のうちに投入したい所でしたがそれを言っても仕方なく。

3点差となっても、守備を固める姿勢は毛頭無いといった感じで、プレッシャーを強める山形。
ビハインドの状況もあり仙台はそれを正面から受けてしまい、激しいデュエルに苛立つシーンも目立ちます。
イサカの反則気味のチャージで奪われたエヴェルトンは、23分にその報復のようにイサカのボールキープに対し激しくアタックにいってしまい反則、警告を受ける事に。

仙台も諦める事無くプレッシングを掛け続けますが、山形は1つ飛ばしのパスを多用する事で巧くいなし。
特に最終ラインから一つ前に運び、戻しを選択する所で一気にGKまで戻す事で、「相手の戻しを見てプレッシャーにいく」スタイルが距離が遠すぎて通用しないといったシーンを多く作ります。
ベンチは24分に最初のカードに手を付け、イサカ・國分→横山・河合へと2枚替え。

何とか反撃したい仙台、降りて来る遠藤のポストプレイを利用しながら、縦パス攻勢で前進を図り。
27分には若狭のロングパスで一気にエリア内を突き、遠藤の落としを経てアタッキングサードで展開し、氣田のシュートに持ち込み。(ブロック)
これでCKに持ち込むも、待ち受けていたのは山形のカウンターで、拾った河合のスルーパスを横山が受けて一気にドリブル。
そしてエリア内で切り返して追走したディフェンスを剥がし、放たれたシュートがGK小畑の左を破り。
しかしその後ろで菅田がブロックし、5点目は寸での所で阻止する格好になりました。

仙台はその後も、31分にエヴェルトン→中山(フォギーニョがボランチに、遠藤が右サイドハーフに回る)、36分にホヨンジュン→梁(フォギーニョが右SHに、遠藤がトップ下に回る)とカードを切っていき。
それでも反撃の機運は高まる事無く、時間も押し迫っていきます。
梁が入った事で、彼が最終ラインに降りての組み立ても何度か見られ、ボール保持はやや安定を見せましたが展開を変えるには至らず。

一方の山形、31分に藤本・田中→加藤大・後藤優、39分に藤田・岡﨑とカードを切っていき。
次第にボールを握られるも、それに伴いカウンターを狙う意識を高めて対抗と、リードを如何なく発揮する体勢に。

そしてアディショナルタイムに突入するも、左ワイドで受けた遠藤が、アーリークロスと見せかけて遠目からシュートを狙いにいき。
GK後藤雅がセーブしCKへ逃れるという具合に、この難しい距離で放ったシュートが唯一ゴールを脅かすものというのは寂しい限りな仙台。
結局4-1のまま試合は終わり、山形は実に2010年以来となるダービーでの勝利を挙げました。

スコアの通り山形の圧勝といった内容で、前回対戦時からは見事にひっくり返ったという両クラブ。
特に仙台は、中島の欠場というイレギュラーもありましたが、普段やっていないスタイルに傾倒してしまったのが間違いというような結果に終わり。
かくして純度が今一つな状況で迎えてしまった連戦、ここからどのように凌ぐでしょうか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第23節 ファジアーノ岡山vs水戸ホーリーホック

2023-07-04 16:03:48 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の岡山の記事はこちら(20節・ヴェルディ戦、1-2)
※前回の水戸の記事はこちら(18節・山口戦、0-1)

<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 故障者のリリースは無し。輪笠は依然ベンチ外が続く。

<水戸スタメン>

  • 松田佳大が育成型レンタルから復帰。(レンタル先=FC大阪)20節から登録されて即スタメン出場、以降もスタメンに定着している。
  • 松田隼風の海外移籍(レンタル/ドイツ2部・ハノーファー96のU-23チーム)が決定。20節が最後の出場(スタメン)との事。
  • 永長がJ1・川崎から育成型レンタルで加入。21節から登録されて即メンバー入り・途中出場。
  • 育成型レンタル選手のGK遠藤が、レンタル元であるJ1・横浜FCへの帰還が決定し今節付で登録抹消。
  • 18節に負傷交代した長井の詳細が発表され、脳震盪との事で20節(千葉戦、4-1)で復帰しスタメン出場。
  • 成瀬の負傷が発表され、5/27に発生して全治は未定だったが、今節復帰してベンチ入り。
  • 来季加入が内定した石井(城西大)が特別指定選手に。22節(町田戦・1-1)で初出場(スタメン)して今節もスタメンに。

折り返しを経て、上位を目指すクラブはそろそろ昇格を目指すのと同義になる頃であり。
岡山は目下12位なものの、7位(清水)との勝ち点差はわずか2という混戦なので、プレーオフ圏内までは十分視野に入っている事でしょう。(ただし6位とは6差)
しかし前半戦の最後を連敗で終えてしまい、その内訳は20節では不利な判定に苦しみ、次節(大分戦、0-1)ではその所為でチアゴが出場停止とリズムの悪さが伺えるものであり。
前節(甲府戦、0-0)で何とかその流れを切ったものの、これで引き分け数は12と大多数を占め。
スカッとする勝ち点3が欲しいのは誰の目にも明らかな状況。

立ち上がりの前半2分中盤で反則を受けると、鈴木がボールサイドに素早く寄ってリスタート、裏へとロングパスを蹴り込み。
これにチアゴが走り込み、左ポケットからシュートにいきますがミスキックに終わり。
負のスパイラルと完全におさらばすべく、手数を掛けずに得点を挙げる意識が強かったでしょうか。

しかしアバウトな意識が強かったためか、ビルドアップがどうにも冴えず。
ドイスボランチに対して水戸もボランチがプレッシャーを掛けるため、サイドに追い込まれて詰まる状況を強いられます。
本職がセンターバックの鈴木を利用した、3枚の最終ラインによるビルドアップも、2巡目故に慣れを示される頃であり。
そして水戸のビルドアップと相対する前線も、プレッシングを巧く嵌められず。
スタメン出場のチアゴは、構えればコースの切り方が甘く2トップの間を突かれ、前に出ればスペースが空くという悪循環を強いられます。

そんな中で13分、最終ラインのビルドアップで右に追い込まれるも、田部井縦パス→河野スルーパスで素早く運ぶ事で打開しコーナーキックへ。
キッカー河野はファーにクロス、柳が放ったヘディングシュートをチアゴがコースを変え、GK春名を破ったものの左ゴールポストを直撃。
セットプレーでの一発はモノになりません。

一方攻撃機会は多いものの決め手に欠く水戸。
22分にはプレッシングを嵌めて縦パスをカットし敵陣からの攻撃、スルーパスで左奥を取った小原から低いクロス。
これをニアサイドで安藤が合わせたものの、柳のブロックに阻まれ。
良い攻めを続けても、中央の硬さに難儀するといった展開に。

すると好循環を台無しにするかのように、続く23分に石井のバックパスを楠本が受けられず流れると、チアゴに拾われショートカウンターの危機を招き。
そのまま推進からのカットインで中央からミドルシュートを放ったチアゴ、松田佳のブロックで防いだものの引き続き右CKとなり、キッカー河野は先程同様ファーの柳へとクロス。
合わずにこぼれるも混戦が生まれ、確保したチアゴからの戻しを経て佐野がミドルシュート、楠本がブロックするも安息の時は与えられず。
バイスの落としからさらに放たれた田部井のミドルシュートは防ぐ事が出来ず、地を這うボールがゴール右へと突き刺さりました。

ミスからの流れを断ち切れず、先制を許した水戸。
その後もプレスを嵌められない岡山ですがリードした事もあり、押し込まれがちな左サイドを佐野が最終ラインへと降りて5バック気味で守る事で凌ぎます。

難なくボールは握れる水戸ですが、同時に縦に速い攻めが出来なくなる事で、崩しの難易度は急上昇。
右サイドから鵜木・村田の関係性で攻め上がり何度も奥を突いたものの、やはり単純なクロス攻撃では岡山の中央の硬さに阻まれ。

水戸が攻めあぐねる所に、43分岡山はプレッシングが決まり、ミドルパスを河野がカットして敵陣右サイドからの攻撃。
坂本のヒールパスなど細かい繋ぎを交え、ワンツーで奥を取った河野が低いクロス。
これがGKとディフェンスの間を突くボールとなり、ファーで佐野が合わせましたがシュートは浮いてしまい追加点はなりません。

苦しい状況の水戸ですが、直後にロングパスを収めた安藤がバイスに倒された事で、前半の最終盤はセットプレー攻勢に。
サイドからのフリーキック→左CKと続き、そのCKでキッカー安永のクロスを中央で松田佳がヘディングシュート(GK堀田キャッチ)と一矢を放ちます。
守備を固められる状況な以上、最終ラインから細かく繋ぐよりは、一本の長いパスで作る好機の方が効率が良いという流れだったでしょうか。

結局1-0のまま前半が終わると、ハーフタイムではリードしている岡山の方が動き。
鈴木→高橋へと交代と、恐らくは通常の2CBでのビルドアップの体制を取りつつ、かつ5バックへ押し込まれる状況の打破という狙いでしょうか。

左サイドを前へと押し上げる事で、水戸も鵜木・村田中心の攻めが出来なくなり。
そんな絵図で幕が開いた後半。

その代わりお互いアバウトな前進と、それによる中盤での奪い合いが多発するようになり読みづらい展開に。
後半6分の水戸、クリアボールを拾った前田が浮き球のまま左へと展開し、石井がドリブルで奥を突いてクロス。
これを安藤がボレーシュートで合わせる(ブロックに当たり枠外)という具合に、岡山にとっては相手のストロングポイントを消したものの、守備対応が回らない状況を強いられた時がピンチというトレードオフという感じでしょうか。

中盤で攻守の切り替わりが激しくなる中、12分に相手のパスミスを拾った安藤が、そのまま田部井に倒された事で反則。
既に前半に警告を貰っている田部井(20分)にとっては危機的状況でしたが、ここはカードは出ずに一安心。
前回観た際も数的不利となった末の逆転負けだっただけに、激しい展開は望まざる展開とも言えました。

前半に比べ好機自体が目に見えて少なくなり、それを受けて水戸ベンチは15分に動き。
安永・小原・梅田→杉浦・永長・寺沼へと3枚替えを敢行します。
鵜木が左へと回り、前半とは一転して通用しなくなった右サイドアタックに新風を入れる采配。

その効果は中々出ず、逆に岡山が左サイドで高橋・佐野の関係性で攻め上がったのが19分。
佐野のミドルシュートが放たれるもゴール右へと外れ。
なお、その前の17分に田部井・坂本→河井・ムークへ2枚替えを敢行していた岡山。
20分に水戸が右裏へとミドルパスを送り、永長が受けた所を高橋が倒してしまい反則・警告(正直このチャージは警告に値するとは思えず)と、やはり警告付きとなった田部井を退かせたのは正解といえたでしょうか。

しかし今度は高橋が警告付きとなった事で、再び佐野が降りて5バックで守るシーンが増えていく岡山。
左へと移った鵜木は石井とも良い関係性を発揮し、26分にはハーフレーンで石井のパスを受けると、追い越しを待ったのちポケットへスルーパス。
そして石井がライナーでクロスを送り、ファーサイドに走り込む寺沼のすぐ前でGK堀田がパンチングと、際どい好機を生みます。

30分に岡山が仙波→本山へと交代すれば、31分に水戸も安藤→唐山へと交代。
この辺りから完全に5バックにシフトし、3-3-2-2のような形を取る岡山。
必然的に再び3CBでのビルドアップが基本となりますが、今度は水戸サイドはプレッシングに勢いが生まれず。
依然として中盤の奪い合いは盛んなため、泥仕合のような様相へとなっていたでしょうか。

34分の岡山、左スローインからの繋ぎで唐山の反則に近いチャージで奪われるも、河井が奪い返して継続。
高橋が左奥まで運んだ所で、再び唐山に倒されると今度は反則の笛が鳴り。
デュエルの多さにより、倒れても反則無しというシーンの増大に岡山サイドは(前回のヴェルディ戦の事もあり)ストレスを抱えながらの試合となりましたが、ここでFKを得ての好機。
キッカー高橋のクロスにファーサイドで柳とバイスが待ち構え、柳が落としたものの眼前のバイスに当たってしまい繋がらず。
一発仕留めたかった場面ですが、追加点は得られなかった岡山、以降は守備を固めつつチアゴ狙いのカウンターへと傾倒していきます。

一方の水戸、37分に再び左サイドからの攻めで、鵜木のクロスを中央で寺沼が合わせヘディングシュート。(ゴール右へ外れる)
右サイドも永長を軸にして両翼から攻め上がるものの、やはりクロス攻撃メインとなると空中戦では岡山の硬さは盤石ともいえる布陣であり。

39分に水戸は石井→成瀬と最後のカードを切り、移籍後初出場となった成瀬。
一方の岡山も、41分に田中→櫻川へと交代。(ムークがシャドーへ降りる)

クロスを上げれば通用せず、ポケットへのスルーパスも対応されるという状況が改善しない水戸。
そのままアディショナルタイムを迎えた所で、こぼれ球を拾った成瀬が逆の右サイドへと張り出してドリブル。
そして一瞬溜めたのちのスルーパスで右ポケットへ入れると、岡山が足を止めたぶん裏を突けた永長がシュートに辿り着きます。
ボールはGK堀田が弾いてサイドネット外側と決まらなかったものの、この一瞬の溜めという要素が、水戸に足りないもの(そして新戦力の成瀬がそれを齎せる存在となるか)と感じました。

結局水戸はその後CK攻勢に入るもモノに出来ず。
1-0のまま試合終了の笛が鳴り、岡山が4試合ぶりの勝利。
どうしても欲しかった勝ち点3は得たものの、正念場はこれからといった所でしょうか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第23節 FC町田ゼルビアvs大宮アルディージャ

2023-07-03 16:01:44 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の町田の記事はこちら(20節・長崎戦、4-1)
※前回の大宮の記事はこちら(14節・徳島戦、1-3)

<町田スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 奥山政が累積警告により出場停止。
  • 深港がJ3・讃岐へ育成型レンタル移籍となり、今節付で登録抹消。
  • 深津の負傷が発表され、6/15に発生して全治6週間との事。

<大宮スタメン>

  • 今更感があるが監督交代。16節(いわき戦、1-2)の2日後に相馬直樹氏が退任し、ヘッドコーチだった原崎政人氏が就任。
  • それに伴い、5/24に勝野洸平氏が強化担当→コーチへと転身。
  • 前節(いわき戦、1-5)からフォーメーションを変更し、守備重視の3-4-2-1へ。
  • GK志村の負傷が発表され、発生日は不明(17節を境にベンチ外なので、5/17以降)で全治6週間との事。
  • 17節(仙台戦、1-1)で負傷交代した室井の詳細が発表され、全治8週間との事。
  • 石川の負傷が発表され、発生日は不明(19節を境にベンチ外なので、5/27以降)で全治12週間との事。
  • 山崎の負傷が発表され、発生日は不明(20節を境にベンチ外なので、6/3以降)で全治12週間との事。
  • 海外(ポーランド・グールニク ザブジェ)へレンタル中であった奥抜が新天地へ完全移籍。移籍先はドイツ・1.FCニュルンベルグ。
  • 高柳がプロA契約を締結。
  • ユース所属の市原・種田・GK清水が2種登録選手に。

9節以降未勝利という長きトンネルに入り込んでしまっている大宮。
それまでは4勝4敗で五分の成績でしたが、序盤の好成績は当てにならないと言うべきか。
理想のサッカーの基礎を固めるべき時期に、それが果たされなかった時のツケはやはり甚大でした。

相性的にも、能動的に崩すパスサッカーの相手・アバウトな攻撃のパワーサッカーの相手双方に弱いという具合に、自分達の現在地が何処なのかが解っていない様相であり。
傾倒したと思われたパワーサッカー風味も、監督交代により曖昧なものとなってしまう危惧が感じられ。
監督交代後も、得た勝ち点は引き分けの1つのみで、当然ながら順位はぶっちぎりの最下位。
そんな状況で、対照的に首位を快走する町田と相対する事となりました。

前節で、一つ上のチーム相手(いわき)にも手酷い敗戦を喫する等、明らかに劣っているチーム力。
それを受け、首位相手にまともにやり合うのは自殺行為と判断したのか、5バックスシステム(3-4-2-1)で臨んだ大宮。
そのギャップが奏功し、立ち上がりからロングボールで深さを取る攻撃を軸に、スローインを数多獲得して攻撃権を確保します。
開始1分にも満たないうちから茂木がロングスローを投げ入れる(ただしセンターバックは上がらず)その姿は、もはや形振り構ってはいられない現状を良く表しており。

そして前半7分、左スローインを受けた柴山がディフェンスに遭うも、ゴールラインを割ってコーナーキック。
この手数の少なさで得た好機で、キッカー高柳はサインプレー気味に中央遠目へクロスを入れると、完全に相手の逆を突いて茂木がフリーでヘディングシュート。
これをコース上で中野がトラップし、次の瞬間反転シュートをゴールに叩き込み。
右側で足を振った袴田とのツインシュート(by「キャプテン翼」)的な絵図となりましたが、相手守備の裏を主体的にも偶発的にも突いた格好で先制点を挙げました。

最下位の大宮がリードという意外な結果が齎され、選手・黒田剛監督ともに(中野の)オフサイドを猛烈アピールする等、町田サイドの動揺と狼狽は半端では無く。
気を取り直して攻める町田ですが、こちらもこれまでの戦いとは異なり、引き気味の大宮相手にボールを持たされる展開を強いられます。(なお前節・水戸戦(1-1)もそういう戦いだったとの事)
5-4-1ブロックを自陣で構成する大宮に対し、労せずして敵陣へ進入する流れは作れる町田。
序盤は、藤原が左ハーフレーンを持ち上がるなどそれを大いに利用する姿勢は見えており。

12分に例によって翁長がロングスローを投げ入れ、跳ね返りを下田がダイレクトでミドルシュートを放ちましたがゴールバーを直撃。
その姿に勇気付けられ、いかに守備を固められようとも、最下位相手だけに決壊は近いという希望的観測を下に攻め込みます。

しかし16分、町田のFKからの攻撃が途切れてのこぼれ球を岡庭がクリア気味にロングボールを送ると、稲葉のトラップミスで柴山に渡り一転して大宮の決定機に。
そしてGKと一対一が生まれると、右ハーフレーン・エリア手前から果敢にシュートを放ちましたが、GKポープのファインセーブに防がれます。

こうした軽い対応による追加点は絶対に避けたい町田。
改めて攻勢に入り、20分台は攻撃機会を独占する時間帯となり。
その中でも、サイドバックに稲葉が入るというイレギュラーな布陣となった右サイドが若干固めという印象であり。
そのため立ち上がりは左サイド偏重といった流れでしたが、この時間帯は右から何とか組み立てようという姿勢を取ります。
高橋の攻撃力を軸に、上がってボールを受けた稲葉も、マイナスのカットインからクロスという慣れない(と思われる)プレーを果敢に行い。
ロングスローも21分に一度行いましたが、流石にこれは威力に欠けるとみなされたのか(それでも高橋のミドルシュートに繋がってはいたが)、次の機会では翁長が右に回って敢行する事となりました。

それでも好機となるのはセットプレーからで、それを得るための過程といった町田のボールポゼッション。
31分にはまたも翁長のロングスローから、クリアボールを拾った高橋がミドルシュート(新里がブロック)と、跳ね返りを拾ってのミドルシュートという流れが定番化しつつあり。
それによってか、次第に藤原が持ち上がる場面が減っていき、やや倦怠感を生んでしまっていたでしょうか。

そして35分、ここも新里の裏へのロングパスを翁長がクリアミスし、岡庭に渡った事でひっくり返るような大宮の好機に。
岡庭はそのままドリブルで右ポケットに持ち込んでシュートし、ここはゴール上へ外れたこと命拾いした町田。
しかし失点への流れは止める事が出来ず、続く36分に大宮の素早い運びを止められずに、スルーパスが柴山に渡って左ポケットへと切り込み。
必死に戻ったチャンミンギュの股を抜いての強いシュートを放った柴山、GKポープも止めきれずにゴールへと吸い込まれるボール。
敵陣でボールカットされてからの素早い攻めで、攻勢による気の緩みという他無い追加点となりました。

しかしここから、丁度良いハンデだと言わんばかりに展開する町田。
39分に藤原→翁長と渡ったのちの浮き球がハーフレーン・エリアライン際へ送られると、デュークのフリック気味の落としをペナルティアークで受けたのはエリキ。
当然の如くシュートが放たれると、袴田の股を抜いたボールはゴール左へと突き刺さり。
文字通り反撃の狼煙となる1点を返しました。

これで一気呵成といきたい所でしたが、藤原が消極的な姿勢が目立ち。
持ち運ばずに逆サイドへ送るその姿に、前に居たエリキが激怒するという絵図も生まれる等、らしくない首位クラブの姿が披露され。
守備のミスによる大宮のカウンターも何度か受けてしまっている以上仕方無い判断で、それが奥山政の出場停止によるイレギュラーな布陣という要素に起因しているととれ。
結局、攻め続けたものの得点以降フィニッシュは1本のみ(アディショナルタイム・チャンミンギュのヘディング)に終わった町田。
1-2で前半を折り返す事となりました。

そしてハーフタイム、その布陣のズレを解消すべく2枚替えを敢行。
稲葉・高橋→安井・荒木へ2枚替えを敢行し、松井が右SBへと回るテコ入れが行われました。(サイドハーフも、平河が右へとシフトし荒木が左に)
ここで稲葉と松井の位置を入れ替えるという選択もあったでしょうが、慣れないポジションによる負担増を考慮しての事とも取れ。

迎えた後半。
大宮はやや微調整したか、相手CB特に藤原の持ち上がりに対しては中野が前に出てスペースを消す体勢を取ります。
これを受けた町田は、平河が回った右サイドから攻め上がる意識を強めて対抗し。

後半5分、右からの平河のクロスはクリアされるも跳ね返りを繋いで尚も好機、左からのクロスも流れたのち松井が右奥からダイレクトでマイナスのクロス。
これをニアサイド(というかほぼ右ポケットの位置)で安井が強烈なシュートを放ちましたが、サイドネット外側に終わり。
7分にも右サイドから、上がってきた松井が奥からクロスを上げ、GK笠原の跳ね返しを荒木がダイレクトでシュート(枠外)とフィニッシュを続け。
テコ入れした右サイドの効果は絶大といった感じで、クリアボールも拾っての文字通り怒涛の攻撃を仕掛ける町田。

一方対策も無効化され、専守を強いられる大宮。
入りの3分以降、攻撃機会は反則による中盤からのフリーキックでの放り込みの1度のみ(9分)というぐらい、息を継ぐ余裕も無くなります。
そして16分、高柳のボールキープが翁長に倒されて反則・警告と、再び反則で止まった所で交代カードに手を付ける原崎監督。
富山→アンジェロッティと、1トップを代えてきました。

直後の18分に、ロングボールからアンジェロッティの落としによる好機を作る(高柳がミドルシュート・枠外)も、以降は元通りの展開に。
アンジェロッティの前掛かりな意識故に、全体の守備もやや曖昧になり、プレッシングにいっては陣形が乱れるという場面も目立ち始め。

同点を狙う町田。
23分には右から安井のクロスをデュークがボレーシュートで合わせ、ブロックされるもCKに。
そしてCK攻勢での2本目、下田のニアへのクロスを藤原がフリック気味に合わせ、ゴール左へ逸れるボールにチャンミンギュが走り込むも届かず。
強力なターゲットが居る以上、やはりセットプレーは状況打開への大きな手駒であり。

大宮は28分に中野→小島へと交代するも、流れを変える事は叶わず。
町田は流れの中からでも、30分に敵陣での長いポゼッションからクロス攻勢に。
そして翁長の左からのクロスがクリアされるも、ハーフレーンで翁長が自らダイレクトで縦パスをポケットに入れ、受けた荒木が裏を取ってシュート。
しかしゴール上へと外れてしまいました。

大宮が再びリトリートの姿勢を貫く事で、このまま数多のチャンスもモノに出来ずの敗戦もチラつく状況の町田。
直後に再びベンチが動き、下田・翁長→藤尾・太田へと2枚替えし、荒木がボランチへシフトと再びポジションチェンジを交えます。
31分に大宮が自陣でのボール奪取から攻撃、町田のベクトルの逆を突いた末に、小島が裏へとミドルパスを送り。
高柳が完全に抜け出して受けるも、オフサイドの旗が上がり何とか命拾いします。(リプレイ映像ではオンサイドにも見えた)

ピンチの後にはチャンスと言わんばかりに、33分にデュークがヘディングシュートを放つもGK笠原が正面でキャッチ。
ターゲットの一撃も実らず、今日は駄目な日か……という雰囲気も見え始めた所で、幸運が降り注ぐかのようについにゴールが生まれます。
34分の右CK、キッカー太田のクロスがニアでクリアされるも、フリックのようにファーへ流れた所を荒木がポストプレイで繋ぎ。
そして藤尾がダイレクトでシュートし、ゴール左へ逸れる軌道となったものの、コース上に居たエリキの身体に当たってゴールへと向かいます。
これが意表を突いてGK笠原・新里の間をすり抜ける、ご褒美のような同点弾となり。
納得出来ない大宮サイドは(エリキの)ハンドをアピールするも、当然覆らず。

当然ながら勢いに乗る町田。
大宮も3点目が欲しい状況となりますが、布陣が布陣故に攻勢を掛ける事はままならず。
耐え続ける事を余儀なくされ、町田が勝ち越すかどうかという試合展開に。
38分にクロスの跳ね返りを荒木がミドルシュート(藤尾に当たり枠外)、41分にデュークがヘディングシュート(ゴール左へ外れる)と、その通りにフィニッシュを重ねていきます。

大宮サイドが41分にようやく敵陣に攻め上がり、柴山の中央突破を経て小島がミドルシュートを放ち。(枠外)
応戦体勢が整ったかに見えた43分でした。
最終ラインからの前進で左ワイドで藤尾が持つと、クロス(ないしは追い越した太田へのパス)では無くボールキープからのカットインを選択してポケットへパス。
そしてデュークのマイナスのクロスを綺麗にシュートに持っていった藤尾、ゴール左へと突き刺し。
ストライカーに加えてサイドアタッカーの資質も見せた藤尾により、値千金の逆転ゴールが齎されました。

とうとうビハインドとなってしまった大宮。
ベンチも慌てて45分に高柳・柴山→三幸・泉澤とアタッカーを投入しますが、残り時間が少ない中で活かす事はままならず。(最低でも、失点後のキックオフの時点で投入したかった所)
後方も、依然として3人のCBが残ったままでパワープレーも掛けずと、最終的に混乱・狼狽が目立っていたのは大宮だったでしょうか。

そしてATに突入し、町田はエリキがお役御免となり、カルロス・グティエレスを投入してこちらも5バックシステムへ。
スタンドに向かって喝采を促しながら、ピッチを後にしたエリキ。
そんな雰囲気の中では大宮は好機を作る事が出来ず。
エリキのその振る舞いがありながら、ATが短い(ほぼ4分の目安通りに笛が吹かれる)気がしましたが、それすらも大宮のうなだれぶりに比べれば些細な事象でしかなかった感があり。
3-2で試合終了、しっかりとJ2の頂上・底辺の位置が補強される試合となりました。

当然ながら危機的状況なのは大宮の方であり。
「首位相手に勝てるのでは……」という期待を抱かせたうえでの敗戦は、前節のそれと同等以上に堪えるのは想像に難くなく。
一向に見えないトンネルの出口ですが、果たして辿り着く日は来るのか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第21節 ジュビロ磐田vsヴァンフォーレ甲府

2023-07-01 16:00:32 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の磐田の記事はこちら(19節・秋田戦、2-0)
※前回の甲府の記事はこちら(17節・金沢戦、1-0)

<磐田スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 中2日という事で、前節(熊本戦、2-0)からGK以外フルターンオーバーを敢行。
  • 大森が前節に今季初のメンバー入りを果たし(ただし天皇杯2回戦で既にベンチ入り・ルヴァン杯6節ではスタメン)、今節スタメンに。
  • 針谷が7節以来のスタメン。(ただしルヴァン杯5・6節ではスタメン)
  • U-22代表から戻ってきた鈴木海が合流後初スタメン。
  • 後藤とA契約を締結。

<甲府スタメン>

ルヴァン杯に参加している清水・磐田は、来週水曜と相成って5連戦を強いられる日程に。
J1からの降格クラブにおける特権が、「罰ゲーム」と呼ばれるものに変貌してしまっているのが辛い。

ただしそれに付き合わされる相手が存在するのもお忘れ無く、と言わざるを得なく、磐田と相対したのは甲府。
22節から、磐田がGK以外全員スタメン変更したのに対し、甲府は変更無しというメンバー構成に両者ハッキリと差異が表れた一戦となりました。

そんな大胆な采配の恩恵にあやかったのが、今季初スタメンとなったゴンザレスでしょうか。
磐田における「新規登録禁止処分」の引き金となり、その身の置き所が危ぶまれる存在でしたが、出場停止期間を耐え凌いだ末に15節(群馬戦・4-2)からメンバー入り。
そしてこの日のターンオーバーを受けて頭から出場となると、控えメンバー中心のサッカーらしく、彼の能力を発揮させる立ち上がりを選択した磐田。

それは一重に彼の裏抜け狙いというもので、甲府の最終ライン裏へとひたすらスルーパスを供給して深さを取る立ち回り。
そしてゴンザレスはその期待に良く応えます。
早速の前半1分、右サイドで吉長のミドルパスに走り込み、ディフェンスに遭いこぼれるも大森が繋いだ事で受け直すゴンザレス。
吉長→大森→松本昌と経由させる細かい繋ぎで右ポケット奥を突き、松本昌のシュートが放たれましたがゴール左へと外れ。
その後も裏へと走りボールを受けにいくゴンザレス、度々発生する甲府のセンターバック・マンシャとのデュエルは優劣つかずも、プレッシャーを与え続ける事で甲府全体を困らせる働きは貫けていました。

その甲府は、攻撃面でも磐田の素早い寄せに苦戦し中々形を作れない流れを強いられ。
この辺りは控えメンバーであっても、現実的にJ1を目指すクラブらしい組織力ならびに層の厚さといった所でしょうか。
11分、最終ラインから左サイドへ展開し前進する姿勢も、プレッシングを受けた事で戻しを経てマンシャが裏へとロングパス。
そして中央で鳥海が走り込むという、相手を寄せたうえで対角線を利用した長い攻撃を見せたもののこのパスは繋がらず。

それでも甲府が応戦を見せた事で、ゴンザレスを利用した脅かしはひとまず終了となった磐田。
その後はポゼッションを高め、最終ラインからショートパス重視の繋ぎという普段通りのサッカーを見せていきます。

しかし控えメンバーだけあって、何処かに綻びは見られるものであり。
慎重なビルドアップの意識が強いのか、サイドバックの上がりが足りないというのが第一の印象。
最終ラインは小川が残っての3枚が基本形に見えたものの、その割には右SBの吉長の上がりが消極的に映り。
代わって遠藤保がサイドに張り出して攻撃に関わるシーンが目立ち。
これは大ベテラン・遠藤保の自身の判断という具合に移りましたが、遠藤保がチーム状況を見てそう動いているのか、あるいはフリーダムで動く遠藤保にチームが合わせているのか、若干不透明とった感じでした。

ゲームが動いたのが20分で、甲府は中央から縦パスによる前進を選択すると、林田→長谷川へのパスの際に主審(カタール人のカミス・モハメド・アルマッリ氏)がコース上に居たため(当然避けたものの)磐田サイドはカットに出れず。
そして長谷川のスルーパスに走り込むジェトゥリオでしたが、これはカットされてフィニッシュには繋がらず。
しかしイレギュラーの要素で、磐田サイドはやや乱されてしまったでしょうか。
その後23分に再びゴンザレスを走らせるロングパスを送ると、エリア内右角で追い付いてダイレクトでループシュートを放ったゴンザレス。
前に出て抑えにいったGK河田を抜いたものの、ボールは左へと逸れ惜しくもゴールならず。

一方甲府のビルドアップで光ったのが、両CBの持ち運び。
林田が2人の間に降りる3人の最終ラインにより、ワイドに広がったマンシャ・蓮川がプレッシャー無くドリブルに入る場面が目立ちました。
磐田はゴンザレス・大森の2人の最前線によるプレッシャーが無効化されたうえ、甲府SBの上がりにより後方の選手もピン止めされた格好となり。
そのため「スペースを得た際は持ち運ぶ」というセオリーが、苦も無く行えていたでしょうか。
24分にはその状況でマンシャがドリブルから縦パス、これをポストプレイで戻したジェトゥリオが、(長谷川→鳥海と経由して)佐藤のスルーパスに走り込み。
そして左ポケットで受けて角度の無い所からシュートを放ちましたが、ゴール右へと逸れてモノに出来ず。

磐田はその間に、22分に松本昌の右ポケットからのシュート(ゴール上へ外れ)、27分にはコーナーキックの跳ね返りを遠藤保がミドルシュート(ゴール左へ外れ)と攻め込むものの既に攻勢という程の勢いは無く。
次第に、好循環を得た甲府のプレッシャーに晒されてビルドアップに陰りが見え始めます。
そして30分、プレッシングを決めて中川に対して巧くパスコースを切った甲府、針谷に出すしか無いという状況を作ったうえでその針谷へのパスを鳥海がカット。
そして前進ののちエリア内へラストパスを送り、ボールカットと共に上がっていた林田のダイレクトシュートがゴール右へと突き刺さります。
磐田の持ち味を挫く、先制ゴールを挙げた甲府。

磐田は後方の経験値の薄さを突かれる形となってしまったでしょうか。
直後の33にも、失点に絡んでしまった針谷のパスミスであわやショートカウンターという場面を生んでしまい。(今度は鳥海→長谷川へのパスがズレる)

何とか再び左裏へのロングパスで深さを取るとともに、攻撃権を確保する磐田。
その際の左からのスローインによる攻撃で、古川がカットインを見せた辺りから、以降右では吉長・左では古川の推進力を利用する姿勢を取った事でそれは果たされ。
アディショナルタイムには長いポゼッションから好機を生み出し、中盤で古川の左からのカットイン、関口に倒されながらも繋いだ末に針谷の縦パスが通り。
エリア直前で受けたゴンザレスが反転シュートを放ちましたが、マンシャのブロックに阻まれます。
結局0-1で甲府リードのまま、前半を終える事に。

ハーフタイムで磐田は、今季前半しか持たないという状況の遠藤保を交代し、鹿沼を投入。
ボランチを微調整して後半に臨みましたが、その効果とは無関係に、慌ただしい入りとなり。
先に好機を得たのは磐田でしたが、古川の突破からのクロスがGK河田に跳ね返されると、確保した甲府のカウンターが炸裂。
ジェトゥリオ縦パス→ウタカポストプレイを経て受けた長谷川が猛然と中央をドリブルし、左ポケットへのスルーパスに走り込んだウタカは長谷川へリターン。
これをシュートに持っていった長谷川でしたがGK三浦龍がファインセーブと、追加点は防ぎます。

するとその直後、甲府の反則により中盤で止まるも、素早くリスタートする磐田。
そして大森が裏へと低い弾道でロングパスを送ると、走り込んだゴンザレスが追走する蓮川を振りきり、トラップで前に出たGK河田の股を抜いて無人となるゴール。
悠々とゴールへと蹴り込み、磐田の同点弾はゴンザレスを活かすサッカーにより齎されました。

磐田はこれで一安心といった所でしょうか。
特に前半は冴えなかった針谷が、その後縦パス中心のゲームメイクを果たすようになり。
その要因は、自身の逆起点での失点が帳消しになったからか、はたまた遠藤保のカバーリングに努めなければならなかった立場からの解放か。

攻勢に入る磐田、8分には古川が例によって左サイドを突破し、奥へ切り込んだ所関口に倒されて反則。
これで得たサイド奥からのフリーキック、キッカーは針谷でファーサイドへクロスを上げると、中川が合わせたヘディングシュートがゴールに吸い込まれます。
しかしオフサイドを告げる旗が上がり、中川が放ったヘディングが、その前方で跳んでいた吉長に当たった事で取られてしまいノーゴール。

着実にペースを掴んでいた磐田でしたが、12分に双方ベンチが交代を選択。
それにより針谷が退きドゥドゥを投入(同時に大森→後藤へと交代)と、ドイスボランチが双方交代となった磐田。
一方の甲府は佐藤・ジェトゥリオ→品田・三平。(長谷川が左サイドハーフへ回る)

針谷の縦パスは無くなったものの、その分尚も跳梁する古川。
積極的にドリブルで左ポケットを突く姿勢に、甲府サイドも攻撃の事を考える余裕は無くなります。
しかし甲府が守勢に回る事により、次第にボール支配はするがフィニッシュに持ち込めないという苛立ちも覚える展開に。
22分に再び双方ベンチが動き、磐田はゴンザレス→金子。(後藤が1トップに回る)
甲府は鳥海→宮崎。

ゴンザレスのポジションを務める事となった後藤、20分にはその通りに鹿沼の裏へのロングパスに走り込み。
蓮川と交錯してしまいますが、反則にはならずボールは奥へとこぼれ、いち早く拾いにいった蓮川。
それに対し後藤は後ろからチャージする形となってしまい、反則・警告を取られてしまい。
報復行為のような流れとあっては言い訳は利かず、若さが悪い方に出る好例となってしまったでしょうか。
その後29分に自陣でのボールカットからカウンターを仕掛ける磐田、小川のグラウンダーのクロスにフリーで走り込む絶好機を得た後藤でしたが、シュートは合わせきれず終わってしまい。

甲府はすっかり攻撃機会が減り、一矢は宮崎の突破力。
再三右ポケットを突きにかかるも、磐田ディフェンスの対応に遭いシュートには辿り着けず。
この日キャプテンマークを巻いた磐田左SB・小川に蓋をされるシーン(33分)には、「控えだから負けた」と言われたくないと言わんばかりの小川の意地を感じました。

こうなると、後はホーム(ヤマハスタジアム)の雰囲気のなか勝ち越し点を挙げるだけといった展開に。
投入直後は機能していなかった趣のあった後藤も徐々に馴染み、43分にはクリアボールを拾ったドゥドゥから松本昌経由でパスを受け、そのまま中央突破でエリア内へ。
しかしマンシャのチャージで倒れてしまいシュートは撃てず、反則の笛も無し。
45分には古川の左手前からのクロスを、胸でのワントラップからボレーシュートに持っていき。(ディフェンスに遭いジャストミート出来ず)

最後の交代は、磐田は43分に松本昌→ジャーメインへと代え、金子が右SHへシフト。
甲府は44分にウタカ→武富で、三平が1トップにシフトと、ともに前線を弄り。

時間も押し迫り、守備ブロックも乱れがちななか最後の力を振り絞る両チーム。
それでもジャーメインのドリブルを林田が警告覚悟の反則で止める(当然警告)など、甲府が苦しい状況は相変わらずであり。

その通りに、AT(3分)の最終盤に決定機を掴んだのは磐田。
カウンター気味に数的優位での攻撃から、例によって古川が左サイドからドリブルで仕掛け、左ポケットを突いたのちのカットインで宮崎のブロックをいなした末に中央からシュート。
しかしマンシャがゴール前でブロックし、跳ね返りをさらにドゥドゥがシュートしましたがこれもマンシャが身体を張ってブロック。
決定的なフィニッシュの前に立ちはだかったのは、この日再三ゴンザレスとの勝負に挑んで来たマンシャであり、寸での所で凌いだ甲府。
そして試合終了の笛が鳴り、1-1の引き分けで終わりました。

磐田がメンバー選択的にも難しい試合となった中、勝ち点1をモノにしたのに対し、一方の清水は秋田相手に敗戦。(0-1)
同県かつ同じ降格組のライバルが明暗分かれた一日となりましたが、果たして両者の鍔迫り合いは昇格に向けての相乗効果となるかどうか。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする