※前回の新潟の記事はこちら(40節・群馬戦、0-0)
※前回の町田の記事はこちら(41節・大宮戦、0-0)
※前回の両クラブの対戦はこちら(14節、町田 2-1 新潟)
序盤は最も勢いが良かった新潟も、この試合に勝てば5位が確定、という立場で最終節を迎え。
攻撃サッカーを唱えた割には、31節以降複数得点試合は1度のみ(39節・愛媛戦、2-0)と、尻すぼみ感が否めない戦績を描いている近況です。
アルベルト・プッチ・オルトネダ監督はそんな衰退機運を振り払おうとしたのか、田中の今季限りでの引退を受け、ホーム最終戦という場で大体的な送り出しをする事に。(あるいはアルベルト氏自身が出ていく立場なので、選手にも最大限の敬意を払わんとしたのか)
田中をスタメン1トップで起用(本来1トップの鈴木は左サイドハーフ)、さらに試合前のインタビューで「前半途中での交代」を明言。
放送席曰く、海外サッカーで良く見られる儀式との事であり、Jリーグで通例の「後半も時間が押し迫っての途中出場」とは一線を成した敬意を払った振る舞いを見せました。
試合の方はというと、ファーストシュートは町田で前半4分。
ドゥドゥの右への展開を受けた吉尾がカットインを仕掛け、エリア内右へ進入してシュート。(ブロック)
先制攻撃を仕掛ける良い流れを得た町田、以降は新潟のビルドアップに対し、果敢かつ組織的なプレッシングで対抗姿勢を見せます。
GK阿部を前へ出し、数的有利の状況を作ってボールを運ばんとする新潟。
それでも、中盤(主にボランチ)へのパスコースを切りながらプレスを掛ける町田に対して難儀し、サイドに叩けばサイドバックまで果敢に前に出て進路を阻みに来る姿勢を見せられ。
そんな状況の中、田中は1トップらしく、ポストワークで縦パスを受ける姿勢で前進を助けに掛かります。
全盛期はスピードストライカーであった田中ですが、技巧を交えるなど変節を果たさなければ、この年齢まで戦うのは至難の業という思考が見て取れました。
10分には高木のドリブルからのパスを中央で受け、すかさず左へ叩いたものの、受けに入った田上があろう事か転倒してしまい繋がらず。
13分には再び高木のパスを受けた田中、エリア内へ切り込む姿勢を見せたもののシュートは撃てずと、トップ下の高木との関係性も目立ちました。
町田は次第にプレッシングがかわされる事が多くなってきましたが、それを踏まえつつビルドアップによる主体的な攻撃も混ぜ始め。
18分最終ラインから左へ展開ののち高江が逆の右へロングパス、サイドを振っての攻撃からクロス攻勢。
右から吉尾のクロス、左から三鬼のクロスが防がれたのち、左から平戸の3度目のクロスが入ると中央で吉尾がヘディングシュート。
GK阿部がセーブして右にこぼれたボールを尚も奥山が折り返し、ドゥドゥが合わせシュートしましたが、右ゴールポストを直撃して先制ならず。
24分には敵陣右サイドでボールカットした吉尾、そのままドゥドゥのスルーパスを受けた所を新潟・舞行龍ジェームズに倒されて反則。
この右サイドからのフリーキックで、キッカー吉尾はクロスをクリアされたのち自身で拾い、エリア内右へカットインを仕掛けてマイナスのクロス。
これをニアでドゥドゥが合わせるもふかしてしまい、同時に飲水タイムへ突入します。
ブレイクが終わり、目安と見られる30分が近付いてきた所で、新潟サイドは三戸を投入する準備に掛かり。
徐々にその瞬間が迫ってくる中、その30分に三度ドゥドゥが、奥山のカットインからのマイナスのクロスに合わせシュートするもまたもふかして枠外に。
そしてその直後に、田中の今シーズン並びに選手生活が終わりを告げる交代となり。
すると両チーム総出(ベンチメンバー・スタッフも含む)で花道を作り、ピッチを去る田中を送り出すという粋な計らいが行われ、スタンドからも大喝采(拍手のみですが)が送られました。
こうして無事に田中引退試合の演出をやりきった新潟(鈴木がFWへシフトし、三戸が左SH)でしたが、以降町田の攻勢が始まり。
新潟にとっては「田中の送り出しに力を使い尽くした」と揶揄されかねない展開を強いられます。
39分には一旦攻撃が途切れた後、敵陣深め右サイドで奥山がボール奪取、エリア内へこぼれたボールを拾った吉尾がそのままシュート。
GK阿部がセーブしてコーナーキックに逃れたものの、その右CK、キッカー吉尾は変化を付けグラウンダーでエリア手前へ。
これを高江がダイレクトで斜めの縦パスをエリア内へ入れると、佐野がコースを変えるように合わせ、ニアサイドを破ってゴールに突き刺さるボール。
綺麗な形で先制した後も、町田はペースを掴んだまま離さず。
再開直後の41分にも、右サイドで吉尾のスルーパスから、走り込んだドゥドゥの中央へのパスを受けた安井がエリア手前からシュート(右サイドネット外)とフィニッシュに繋げ。
以降も何度もドゥドゥが裏を突く攻撃を敢行するのに対し、新潟は好機を作る事すらままならず。
結局アディショナルタイムにCKを一本得たのみで推移し、町田1点リードのまま前半を終えます。
試合を締め直したい新潟、ハーフタイムに1枚交代。
田上→堀米へと代え、キャプテン・堀米の投入でそれを果たさんとしたでしょうか。
その効果の通り、後半開始から押し込む新潟。
前半のうちに投入された三戸とともに左サイドを打開のカギとし、後半3分には左サイドをドリブルで前進する三戸、切り返してのカットインから自らシュートにいったもののディフェンスに遭い撃てず。
5分には三戸の左への展開から堀米がダイレクトでクロス、ファーサイドに上がったボールをロメロ・フランクが折り返し。(GK福井キャッチ)
ゴールに近付くシーンが増えてきたものの、フィニッシュに辿り着くには後一歩といった所。
一方の町田は6分GK福井のフィードからの攻撃、佐野のフリックを受けた安井が裏へと浮き球を送り、走り込んで受けたドゥドゥがドリブル。
そしてエリア内を突いてシュートを放ちましたが、並走した新潟・舞行龍がブロックで防ぎ。
後半もファーストシュートを放ち、町田ペースになる予感をはらませたものの、以降も新潟が主導権を握ります。
序盤からハイペースなサッカーを見せていた町田でしたが、それによりプレッシングも弱まりが目立っており、労せずしてボールを支配する新潟。
新潟自身も、前半に比べて選手間の距離を広く取るビルドアップで、町田のプレッシングをかわす姿勢を取り始め。
9分には左サイドの堀米から、斜めの縦パス→ポストプレイの連続でサイドを変えると、右サイドで藤原がドリブルでエリア内右を突き。(奥に切り込んでクロスにいくもブロックされる)
この好機を活かしたい所でしたが、今度は町田のゴール前の守りを崩すのに難儀するシーンが目立つ事となり。
サイドから前進してクロスを上げにいってもブロックに阻まれる等、町田ディフェンスの粘りの前に決定機を作れず。
一難去ってまた一難とはこの事で、相変わらずフィニッシュに辿り着く事は出来ません。
町田は前線のパワーダウンが否めず、偶発的にしか好機を作れない時間が長く続きましたが、迎えた23分。
最終ラインからボランチ経由で左サイドへ展開、高江のエリア内への縦パスをドゥドゥがヒールでポストプレイ、そのまま安井との細かい繋ぎ(ディフェンスに遭うも繋がる)を経て抜け出すドゥドゥ。
前進するGK阿部をループシュートでかわしてゴールゲット、劣勢の最中に貴重な追加点を齎したドゥドゥ。
これでお役御免となり(鄭大世(チョンテセ)と交代・同時に吉尾→太田へと交代)、パワー補填のための交代を図った町田。
一方新潟も同等のタイミングで、ロメロ・高→谷口・島田へと2枚替え。
ペースは掴むもののどうシュートまで繋げるか、という状態で、谷口のチャンスエリアでのプレーに期待が掛かります。(三戸が右SHへシフトし、谷口が左SHに入る)
それでも流れは変わらぬまま、27分に町田・安井が新潟・高木との交錯で痛んだタイミングで飲水タイムに。(安井は無事に復帰)
谷口が入った事で、鈴木は右サイド寄りの意識でチャンスメイクに徹するのかな……と考えていましたが、以降は鈴木の方がフィニッシュに辿り着き。
31分、右サイドからのFKで、島田の低いクロスをニアサイドで合わせた鈴木。(枠外)
久々のシュートとなった新潟、その後も最終ラインからドリブルでの前進も交えて押し込み。
37分には千葉の縦パスから、三戸・福田・島田が中央で細かく繋いだのち、受けた鈴木が右へと流れシュート。
しかしGK福井のセーブに遭いゴールならず。
微かに良い流れを得た新潟、38分に高木→高澤へと交代し、4-4-2へと移行。(鈴木・高澤の2トップ)
更なる攻勢を掛けようとしたものの、高木が退いた影響かペースを失ってしまい。
町田の前線の守備に嵌ってしまうシーンが再度膨れ上がる事となります。
41分に平戸・安井→平河・長谷川アーリアジャスールへと2枚替え、さらに前線の運動量を補填しに掛かった町田。
43分には佐野のボールカットから高江がスルーパスを通して好機、クロスがクリアされた所を拾った高江がエリア内に進入してシュート。(ブロック)
44分にも太田のボール奪取から、長谷川アーリアがすかさずロングシュートを放つ(GK阿部セーブ)など、細かく繋ぐ新潟とは対照的な攻撃でシュートを重ねていき。
そしてATへと突入し、新潟の反撃の機運は一向に高まらぬまま終了間際を迎え。
最後に藤原のボールカットから好機を迎えた新潟、左ハーフレーンで三戸が前進し、カットインの姿勢からシュート体勢を作り。
しかし描かれたシーンは、プレスバックに入った太田のために、三戸・太田両者が交錯して倒れ込むなか試合終了の笛が鳴り響くという惨劇となってしまい。
0-2で試合終了となり、町田のダブル達成となった今季のこのカード。
かくしてシーズン終了となった新潟、新たな舵を切るに辺り、新監督にはコーチだった松橋力蔵氏に内定。
アルベルト体制のサッカーの継続と、その課題の改善という観点からしては妥当な内部昇格でしょうが、初の監督業故その実力は未知数であり。
来季も昇格争いに絡むチーム力を維持する事は出来るでしょうか。