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DAZN観戦 2021年J2リーグ第42節 栃木SCvsFC琉球

2021-12-13 18:16:27 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の栃木の記事はこちら(39節・長崎戦、0-3)
※前回の琉球の記事はこちら(38節・金沢戦、2-1)

今季途中で監督交代となった琉球、以降成績的には7戦で1敗のみ(2勝4分)と持ち直し。
一方志半ばでクラブを去る事となった樋口靖洋前監督は、去り際に「監督業は3年が賞味期限」という旨のコメントをしたとの事。
それが波紋を呼んだかどうかは定かで無いですが、リーグも終焉を迎えるに辺り、今季限りで退任となる3年目の監督が各クラブ目立つようになりました。
岡山・有馬賢二監督や甲府・伊藤彰監督に続き、栃木も田坂和昭監督の退任が発表される運びに。

田坂氏最後の試合となったこの日の試合、放送席でも「栃木のスタイルを定着させた田坂監督」と盛んに語られる事となりましたが、今の「ストーミング」スタイルに行き着いたのは偶然の産物かもしれないという見方もあり。(というか自分がそうです)
2019年の厳しい残留争いの果てに、FWにヘニキ(現山口)を置くという常人離れの発想を生み出し、それにより徹底した肉弾戦・ロングボールへの傾倒という現在のサッカーの礎が築かれた末のJ2残留。
これが「田坂氏のサッカー=ストーミング」という概念を定着させ、現在に至っている訳であり。そもそも解説・播戸竜二氏は栃木のJ2復帰年を1年間違えている風でしたが

過去に一度経営難に陥り、それまで優良な助っ人選手を集めてJ2中位をキープしていたのが、緊縮財政を余儀なくされたのが栃木というクラブ。
この日の試合中にも何度も「もっと攻撃的に」という声が放送席では上がっていましたが、それが出来るクオリティのある選手を集められれば苦労はしない、という側面抜きには語れず。
理想と現実の挟間に難儀する中で、何とかJ2に生き残り続けている栃木の存在は立派なサッカークラブの姿でもあります。
もちろん「ストーミング」スタイルを貫くに辺っての犠牲も決して少なくなく、この日のベンチに上田・面矢・菊池といった、ベンチ外が続いていた選手が揃って入った辺りがその贖罪にも感じられ。(菊池は前節から復帰・出場)
既に前節で残留を決めた栃木、様々な感情が渦巻く最終戦をホームで迎える事となりました。

立ち上がりは琉球がボールを支配して押し込むという、「琉球がボールを持つ」「栃木がボールを持たせる」のどちらともいえるような流れが描かれます。
GK田口がエリア外へと位置取る最終ラインの形からのビルドアップから、ミドルパスを前線へ繋いで好機を作らんとしますが、シュートまでは辿り着けず。

すると前半9分にGKオビ・パウエル・オビンナのロングフィードから好機を掴む栃木、矢野→山本とヘディングで前へと繋ぎ、エリア内右から有馬がクロス。
ニアサイドで植田が合わせにいき、こぼれた所を矢野がシュート。(枠外)
13分にもクリアボールを拾ったのち右サイドで繋ぎ、黒﨑の低いクロスをニアサイドで植田が合わせる(ブロック)など、栃木らしい攻撃でフィニッシュを重ね。

平常運転を見せる栃木ですが、如何せんボール運びはアバウトなためペースを握れるかどうかは運に左右されやすく。
一方しっかりと繋ぐスタイルの琉球も、最終ラインを2枚にしたり3枚にしたりと変化を加えますが、栃木の前線のプレスを中々かわせず。
共に攻撃機会を作れずに時間が進む事も多く、その後は20分の琉球のコーナーキック攻勢ぐらいが見せ場(2本目で跳ね返りを茂木がボレーシュートにいくもミート出来ず)となり、24分に飲水タイムが挟まれます。

明けた後も概ね同様の流れで、30分に琉球は右サイドで縦パス攻勢で前進、清武のクロスが流れるも逆サイドで沼田がダイレクトで折り返し。
これを清武が合わせにいくも撃てずと、中々フィニッシュに辿り着けない琉球。
一方の栃木もアバウトな攻撃は相変わらずで、フリーキックは自陣からでもGKオビンナを活かしての放り込みを選択と、その姿勢にブレは無く。
37分にはこぼれ球を乾がラフに前方に送り、矢野が合わせにいったこぼれ球を植田が拾い、エリア手前からシュートするもゴール右へと外れ。

琉球は栃木の球際の激しさにも苦労し、目立つのはチャージを受けた選手が倒れ込むシーン、といった状況。
しかし43分にGK田口のロングフィードから、池田を越えたボールを拾った清武がミドルシュート(枠外)と初シュートに辿り着き。
すると44分、縦パスを受けにいった清武が栃木・小野寺にスライディングで倒される(小野寺に警告)、栃木にとっては球際の強さが仇となったFKの好機。
かなり手前からという位置でキッカー清武の放り込みから、2度の跳ね返しを経て福井がボレーシュートにいくも、これがエリア内の金井に収まってしまい金井がキープするも撃てず。
終盤は栃木をインスパイヤしたかのような琉球の攻撃シーンが見られましたが、結局0-0のまま前半を終えます。

共にハーフタイムで交代は無く、始まった後半は栃木が左サイドでロングスローを入れる体勢に。
しかし溝渕がフェイントで近いスローに変え、受けた佐藤がクロスを入れる(GK田口が直接キャッチ)など、あの手この手を見せ始めます。

後半も栃木のプレッシングに苦しむ琉球、6分には自陣からのスローインをダイレクトパスの連続で前へと運び。(清武の右からのクロスがブロックされCKに)
しかしその最中に富所が栃木・佐藤のアフターチャージを受けて倒れ込むという具合に、多少の痛みを堪えながらの攻撃を余儀なくされる展開となります。

その主たる要因である栃木のサッカーですが、時には自身にも牙を向く諸刃の剣となり。
12分に右サイド奥からのスローインを繋ぎ、矢野のクロスを頭で合わせにいった植田。
しかし琉球・福井との競り合いで頭部同士接触してしまい、両者倒れ込む事態が発生。
福井は無事に起き上がるも、植田はここで交代の運びとなりピッチを退く事となりました。(大島と交代・同時に山本→畑へと交代)

このシーンで大分時間が進み迎えた19分、栃木がロングスローから好機。
左から溝渕が投げ入れ、跳ね返されるもここからクロス攻勢を掛ける栃木、畑が左サイドから2本目のクロス。
中央で柳が胸トラップすると、佐藤が落とした所を受けて左足を振り抜き。
ゴールネットに突き刺さる、セットプレーの柳の面目躍如というようなゴールを決めました。
トラップしたボールを自ら収めたくなるであろう場面でしたが、あえて佐藤に任せたのが大きかったでしょうか。

その後も守備での出足の良さから好機を作る栃木、22分にこぼれ球に反応した黒﨑がすかさず縦パス。
受けた矢野からの戻しを畑がロングパスで裏を突き、走り込んだ黒﨑が前へ出たGK田口をかわすも、トラップが大きくゴールラインを割りモノに出来ず。

このままペースを掴み続けるかに見えましたが、ブレイク寸前で落とし穴に嵌ってしまいます。
24分の琉球の攻撃、最終ラインでの繋ぎから右に開いた風間宏希がロングパス、栃木がクリアしきれなかったボールを池田が拾って継続。
風間兄弟を加えてのパスワークから、茂木とのパス交換で中央へと流れる姿勢からヒールパスする池田、それを受けた風間宏矢がエリア内右を突いてクロス。
そしてファーサイドで清武が頭で合わせて仕上げ、細かいパスワークを綺麗に同点弾に結び付けました。
同時に飲水タイムが採られ、1-1の同点で第4クォーターを迎える事に。

文字通りに息を吹き返した琉球、28分には岡﨑のロングパスを沼田が落とし、エリア内左で受けた茂木が前進して奥からシュート。
GKオビンナにセーブされるも左CKとなり、キッカー清武のクロスの跳ね返りをサイド茂木がシュート(ゴール上へ外れる)と、前半あれだけフィニッシュに辿り着けなかったのが嘘のようにシュートを放ち続けます。
その流れに乗るかのように、29分に1トップとして赤嶺が投入されます。(茂木と交代、清武がFW→トップ下へシフト、池田がトップ下→左サイドハーフへシフト)

そして30分、ここも右サイドでパスを繋ぐ琉球、金井が風間宏矢とのワンツーからエリア内右でクロス。
クリアされて右CKとなり、キッカー清武の中央へのクロスを沼田が合わせにいくもエリア内右へとこぼれ、すかさず反応した福井から折り返し。
これが選手に当たるも中央へと流れ、赤嶺が放ったシュートがネットに突き刺さり。
投入されて僅か2分で勝ち越しゴールを齎した赤嶺を中心に、逆転を果たした琉球の歓喜の輪が生まれました。

一転して追う立場となってしまった栃木。
33分に菊池と上田を(有馬・小野寺と交代)、41分に面矢を投入(溝渕と交代)、久々に(菊池は除く)ピッチで観る事となります。
そして41分に流れの中で柳が前線に上がり、左サイドからの佐藤のクロスが流れた所を拾った柳、そのままカットインしてエリア内右からシュート。(枠外)
以降パワープレイの様相で前線へと残り、面矢がセンターバック・大島が左サイドバックに回る体制へシフト。
一方の琉球も43分に風間宏矢→鳥養(既に引退発表済)、45分に清武→上原慎也と残っていた交代枠を使い、アディショナルタイムへ。

琉球を押し込んだのちのロングスローと、栃木らしさ全開といった攻勢を掛ける栃木、面矢が投げ入れたロングスローは実に4度に昇り。
しかしシュートを放てないまま最後のスローインとなり、ここは短いスローを面矢が受けて左からクロスと変化を付け。
これが実ったか、右から黒﨑の2度目のクロスの跳ね返りを佐藤がダイレクトでシュートと繋がるも、枠を捉えられず。
そして同時に試合終了の笛が鳴り、1-2で勝利に辿り着いた琉球。
殊勲の赤嶺はシーズン終了後に引退が発表されたとあり、最後にゴールという結果を残してピッチを去る事となりました。

一方、田坂氏のラストゲームは残念ながら敗戦という結果に終わった栃木。
この特異ともいえたサッカーを引き継ぐのは並大抵の事では無く、誰が監督の座に就き、どんなサッカーをする腹積もりなのか。
そしてそれがクラブに生き残りを齎す選択となるのか、興味津々なオフとなる事でしょう。

コメント
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