※前回の岡山の記事はこちら(12節・新潟戦)
※前回の群馬の記事はこちら(9節・千葉戦)
5連戦も最後となる14節。
選手を入れ替えながらの戦いを強いられるのは当然ですが、メンバーを落とし過ぎるとサッカーにならない恐れがある、というジレンマ。
群馬の方は、センターバック・岡村(開幕から全試合フル出場)の他、加藤もこの5試合全てでスタメン。
計2人が5試合スタメンですが、4試合となるとGK清水慶記・舩津・田中稔也・小島・内田に大前と、6人と少なくない人数。
1週間おきという事を考えればこの数字は3試合になるのが理想ですが、使えるレベルに達している選手が少ない・連戦中にアクシデントが発生といった要素で、何処かで無理をさせざるを得なくなる。
群馬も10節(北九州戦)で岩上が負傷交代するなど、苦しいやり繰り。
そしてこの日、前半21分に内田がやはり負傷交代(宮坂が交代で出場)と、連闘していた宮坂を早めに投入する展開になってしまいました。
一方の岡山はというと、5試合スタメンを張っているのがGKポープ・ウィリアムと、白井・徳元と3人を数えます。
このうちポープと濱田は開幕から全試合スタメンと、替えが効かない存在。
その他欠かせない存在である、FWイヨンジェとボランチ・上田は既にベテランの域か、3試合に留まっています。
最近は田中裕介の故障離脱やチェジョンウォンの退場による出場停止でディフェンスラインが慌ただしい印象で、それを支えてきた濱田は4連闘の後この日は休み(後半43分に途中出場)。
そんな連戦の爪痕を感じさせる両クラブの対戦は、内容でも色濃く出る事になります。
立ち上がりは群馬がシュートチャンスを得、2分にエリア手前で大前がダイレクトでシュート(ジャストミートせず)。
3分にはエリア内での空中戦から、こぼれ球を金城ジャスティン俊樹がシュート(枠外)と、岡山ゴールに攻めかかります。
これを凌いだ岡山も直後に反撃、4分に下口の右サイドからのクロスに清水慎太郎が合わせにいき、こぼれたボールをシュート。(枠外)
6分、群馬・岡村のクリアミスをイヨンジェが拾ったのち、白井がシュート(ブロック)。
その後も岡山はエリア内に進入する場面を作るも、シュートは撃てず。
しかし次第にペースを失い、群馬サイドもポゼッション重視の下地故か無理には攻め込まず、スローペースに。
そんな中、前述の内田のアクシデントが起こり、一旦はピッチに復帰したものの結局は続行不能となってしまいます。
早期にボランチの交代を余儀なくされた群馬。
内田→宮坂へとドイスボランチのパートナーを変えた形となったのがジャスティンで、この日が今季3試合目のスタメン。
この5連戦の最中に抜擢された事もあり、過密日程を追い風として存在感を増しつつある存在でしょうか。
育成年代は日本で過ごしたもののその後ドイツへと渡り、ドイツ2部でデビュー。
いかにもハーフである彼らしい経歴ですが、2018年途中に日本へと舞い戻り、群馬に入団。
彼の兄・金城クリストファー達樹も同じプロセスを歩みましたが、故障でドイツリーグデビューはならず、帰国した日本でも花を咲かせる事はありませんでした。
兄の無念を晴らす……と思っているかどうかは不明ですが、J2デビューを果たしレギュラーを掴める位置にまで辿り着いているジャスティン。
22分、そのジャスティンが右サイドで青木の落としを受けると、そのままカットインからシュート。(GKポープキャッチ)
スローペースは変わりませんが、徐々に群馬が押し気味の展開になっていきます。
後方でのビルドアップから、サイドへ展開するのが以前よりもスムーズになってきた印象で、盛んにサイドバックが奥まで上がるシーンが目立ちます。
但しそこからクロスを上げるも、シュートまで繋がらないのがもどかしい。
その副産物としてコーナーキックを多数得てはいましたが、結局前半はゴールが生まれる事無く。
一方の岡山も、ロングパス主体の攻撃が対応され始めると攻め手を失い、パスを繋ごうとするものの中々前に行けず。
そうして時間を浪費していき、こちらも無得点のまま前半を終える事となります。
停滞感著しい岡山、後半頭から早くも上田を投入(野口と交代・関戸が右サイドハーフへシフト)して形作り。
後半3分、右サイドから下口のグラウンダーのクロスにイヨンジェが合わせる決定機(ゴール上へ外れる)がありましたが、これを逃すと前半と同じような群馬ペースで展開。
これも前半同様、サイド奥深くまで入り込んでクロスを上げるシーンと、そこからのCKのシーン。
しかしそれが結果に結び付く事に。
前半から数えて8本目のCKを得た10分(この時点で相手の岡山は0本)、キッカー大前のクロスが中央へと上がり、頭で合わせたのは岡村でした。
マーカーのチェジョンウォンを振り切ってのヘディングシュートがゴールネットに突き刺さり、見事な先制ゴール。
前節は逆転での勝利(2-1)でしたが、この日は逆の先行逃げ切りの形を作り上げました。
そうなっても攻め手は緩めない群馬、13分には青木→林へと交代。
15分には敵陣深めでのインターセプトから、ジャスティンがミドルシュートを放つもGKポープがキャッチ。
反撃したい岡山は、17分にようやくこの日初のCKを得るものの、相手のカウンターを誘発するだけに終わり。
攻めなければいけないのにその手立ては乏しく、逆に攻め込まれるシーンばかり。
とうとう2トップ(イヨンジェ・清水慎)を諦め、24分に赤嶺・山本と交代します。
そしてその直後に飲水タイムへ。
双方疲労感もピークになって来たのか、群馬もペースが落ちつつ迎えた29分、岡山に最大の好機が。
チェジョンウォンの縦パスを上門が絞って受け、反転して再び縦パス。
そして赤嶺がエリア内で受けるチャンスだったものの、同じエリア内の山本とのワンツーを選択した結果、山本がオフサイドを取られる破目に。
その後のシュートをネットに突き刺した赤嶺だけに、この無駄な動きは悔やまれる結末だったでしょう。
かくしてこれを逃した岡山、再び停滞感が滲み出たまま時間を浪費していきます。
そして34分、関戸→三村に交代。
右サイドを変えた岡山ですが、以降は左での攻撃が主に。
34分、CBの田中裕が自らドリブルで左に流れつつ進んだのはその意思の表れだったでしょうか。
39分には上田がライナーで左へサイドチェンジ、受けた徳元が奥へ進入してクロスを上げるも繋がらず(GK清水慶キャッチ)。
43分には右からのスローインを、中央で白井が受けて即左へ展開。
受けた徳元が奥へとスルーパスを出し、走り込んだ上門がクロスを上げ、ファーサイドで赤嶺が合わせるもシュートには出来ず。
絡め手も幾つか見せましたが、有効打とはならずにアディショナルタイムへ。
群馬は攻め込む岡山を前に、以前のようなペースアップは見られず、じっと耐える展開を強いられます。
それでも「今季初の無失点へ」というモチベーションの高さが奏功し、最後まで集中を切らさず守ります。
ATの攻防、岡山は白井がミドルシュートを放つものの、前々節(新潟戦)のようにはいかず枠外に。
群馬は最後の交代(大前・小島→進・川上)を敢行した後、逆に岡山ゴールに迫ります。
加藤がエリア手前でキープした後、パスを受けた進がエリア内左へ進入し、シュートを放つも惜しくもサイドネットに。
闘争心は最後まで衰えず、という姿勢を見せたシーンとなりました。
そしてそのまま0-1で試合終了、群馬にとっては初の連勝・初の無失点試合・最下位脱出と、良い事づくめの結果を迎えました。
最初の5連戦は終えたものの、1週間置いた後再びの5連戦が待ち受けているというJ2の日程。
そこで磐田・甲府・徳島・京都などと強敵揃いのカードを迎える群馬、今季のチーム強化の成果は、次の連戦である程度露わになるでしょうか。