ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第14節 ファジアーノ岡山vsザスパクサツ群馬

2020-08-24 18:29:15 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の岡山の記事はこちら(12節・新潟戦)
※前回の群馬の記事はこちら(9節・千葉戦)

5連戦も最後となる14節。
選手を入れ替えながらの戦いを強いられるのは当然ですが、メンバーを落とし過ぎるとサッカーにならない恐れがある、というジレンマ。

群馬の方は、センターバック・岡村(開幕から全試合フル出場)の他、加藤もこの5試合全てでスタメン。
計2人が5試合スタメンですが、4試合となるとGK清水慶記・舩津・田中稔也・小島・内田に大前と、6人と少なくない人数。
1週間おきという事を考えればこの数字は3試合になるのが理想ですが、使えるレベルに達している選手が少ない・連戦中にアクシデントが発生といった要素で、何処かで無理をさせざるを得なくなる。
群馬も10節(北九州戦)で岩上が負傷交代するなど、苦しいやり繰り。
そしてこの日、前半21分に内田がやはり負傷交代(宮坂が交代で出場)と、連闘していた宮坂を早めに投入する展開になってしまいました。

一方の岡山はというと、5試合スタメンを張っているのがGKポープ・ウィリアムと、白井・徳元と3人を数えます。
このうちポープと濱田は開幕から全試合スタメンと、替えが効かない存在。
その他欠かせない存在である、FWイヨンジェとボランチ・上田は既にベテランの域か、3試合に留まっています。
最近は田中裕介の故障離脱やチェジョンウォンの退場による出場停止でディフェンスラインが慌ただしい印象で、それを支えてきた濱田は4連闘の後この日は休み(後半43分に途中出場)。

そんな連戦の爪痕を感じさせる両クラブの対戦は、内容でも色濃く出る事になります。
立ち上がりは群馬がシュートチャンスを得、2分にエリア手前で大前がダイレクトでシュート(ジャストミートせず)。
3分にはエリア内での空中戦から、こぼれ球を金城ジャスティン俊樹がシュート(枠外)と、岡山ゴールに攻めかかります。

これを凌いだ岡山も直後に反撃、4分に下口の右サイドからのクロスに清水慎太郎が合わせにいき、こぼれたボールをシュート。(枠外)
6分、群馬・岡村のクリアミスをイヨンジェが拾ったのち、白井がシュート(ブロック)。

その後も岡山はエリア内に進入する場面を作るも、シュートは撃てず。
しかし次第にペースを失い、群馬サイドもポゼッション重視の下地故か無理には攻め込まず、スローペースに。
そんな中、前述の内田のアクシデントが起こり、一旦はピッチに復帰したものの結局は続行不能となってしまいます。

早期にボランチの交代を余儀なくされた群馬。
内田→宮坂へとドイスボランチのパートナーを変えた形となったのがジャスティンで、この日が今季3試合目のスタメン。
この5連戦の最中に抜擢された事もあり、過密日程を追い風として存在感を増しつつある存在でしょうか。
育成年代は日本で過ごしたもののその後ドイツへと渡り、ドイツ2部でデビュー。
いかにもハーフである彼らしい経歴ですが、2018年途中に日本へと舞い戻り、群馬に入団。

彼の兄・金城クリストファー達樹も同じプロセスを歩みましたが、故障でドイツリーグデビューはならず、帰国した日本でも花を咲かせる事はありませんでした。
兄の無念を晴らす……と思っているかどうかは不明ですが、J2デビューを果たしレギュラーを掴める位置にまで辿り着いているジャスティン。

22分、そのジャスティンが右サイドで青木の落としを受けると、そのままカットインからシュート。(GKポープキャッチ)
スローペースは変わりませんが、徐々に群馬が押し気味の展開になっていきます。
後方でのビルドアップから、サイドへ展開するのが以前よりもスムーズになってきた印象で、盛んにサイドバックが奥まで上がるシーンが目立ちます。
但しそこからクロスを上げるも、シュートまで繋がらないのがもどかしい。
その副産物としてコーナーキックを多数得てはいましたが、結局前半はゴールが生まれる事無く。

一方の岡山も、ロングパス主体の攻撃が対応され始めると攻め手を失い、パスを繋ごうとするものの中々前に行けず。
そうして時間を浪費していき、こちらも無得点のまま前半を終える事となります。

停滞感著しい岡山、後半頭から早くも上田を投入(野口と交代・関戸が右サイドハーフへシフト)して形作り。
後半3分、右サイドから下口のグラウンダーのクロスにイヨンジェが合わせる決定機(ゴール上へ外れる)がありましたが、これを逃すと前半と同じような群馬ペースで展開。
これも前半同様、サイド奥深くまで入り込んでクロスを上げるシーンと、そこからのCKのシーン。

しかしそれが結果に結び付く事に。
前半から数えて8本目のCKを得た10分(この時点で相手の岡山は0本)、キッカー大前のクロスが中央へと上がり、頭で合わせたのは岡村でした。
マーカーのチェジョンウォンを振り切ってのヘディングシュートがゴールネットに突き刺さり、見事な先制ゴール。
前節は逆転での勝利(2-1)でしたが、この日は逆の先行逃げ切りの形を作り上げました。

そうなっても攻め手は緩めない群馬、13分には青木→林へと交代。
15分には敵陣深めでのインターセプトから、ジャスティンがミドルシュートを放つもGKポープがキャッチ。

反撃したい岡山は、17分にようやくこの日初のCKを得るものの、相手のカウンターを誘発するだけに終わり。
攻めなければいけないのにその手立ては乏しく、逆に攻め込まれるシーンばかり。
とうとう2トップ(イヨンジェ・清水慎)を諦め、24分に赤嶺・山本と交代します。
そしてその直後に飲水タイムへ。

双方疲労感もピークになって来たのか、群馬もペースが落ちつつ迎えた29分、岡山に最大の好機が。
チェジョンウォンの縦パスを上門が絞って受け、反転して再び縦パス。
そして赤嶺がエリア内で受けるチャンスだったものの、同じエリア内の山本とのワンツーを選択した結果、山本がオフサイドを取られる破目に。
その後のシュートをネットに突き刺した赤嶺だけに、この無駄な動きは悔やまれる結末だったでしょう。
かくしてこれを逃した岡山、再び停滞感が滲み出たまま時間を浪費していきます。
そして34分、関戸→三村に交代。

右サイドを変えた岡山ですが、以降は左での攻撃が主に。
34分、CBの田中裕が自らドリブルで左に流れつつ進んだのはその意思の表れだったでしょうか。
39分には上田がライナーで左へサイドチェンジ、受けた徳元が奥へ進入してクロスを上げるも繋がらず(GK清水慶キャッチ)。
43分には右からのスローインを、中央で白井が受けて即左へ展開。
受けた徳元が奥へとスルーパスを出し、走り込んだ上門がクロスを上げ、ファーサイドで赤嶺が合わせるもシュートには出来ず。
絡め手も幾つか見せましたが、有効打とはならずにアディショナルタイムへ。

群馬は攻め込む岡山を前に、以前のようなペースアップは見られず、じっと耐える展開を強いられます。
それでも「今季初の無失点へ」というモチベーションの高さが奏功し、最後まで集中を切らさず守ります。

ATの攻防、岡山は白井がミドルシュートを放つものの、前々節(新潟戦)のようにはいかず枠外に。
群馬は最後の交代(大前・小島→進・川上)を敢行した後、逆に岡山ゴールに迫ります。
加藤がエリア手前でキープした後、パスを受けた進がエリア内左へ進入し、シュートを放つも惜しくもサイドネットに。
闘争心は最後まで衰えず、という姿勢を見せたシーンとなりました。

そしてそのまま0-1で試合終了、群馬にとっては初の連勝・初の無失点試合・最下位脱出と、良い事づくめの結果を迎えました。
最初の5連戦は終えたものの、1週間置いた後再びの5連戦が待ち受けているというJ2の日程。
そこで磐田・甲府・徳島・京都などと強敵揃いのカードを迎える群馬、今季のチーム強化の成果は、次の連戦である程度露わになるでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第13節 FC町田ゼルビアvsジュビロ磐田

2020-08-21 18:20:54 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の町田の記事はこちら(7節・栃木戦)
※前回の磐田の記事はこちら(10節・松本戦)

ルキアン・小川航基の2トップを、所々休ませながらリーグを戦っている磐田。
特にルキアンの存在感は絶大で、ポゼッションを意識しつつ、彼の「フィールドの何処にでも顔を出すポストワーク」により幅を広げる攻撃を展開しています。

そしてこの日も2人はベンチに留め置かれる、所謂休養日でこれが3度目。
しかし過去2試合は無敗(1勝1分)と、「温存する方が良いのでは?」と言われかねない結果になっています。
いずれの試合も、途中出場のルキアンがゴールを記録している事で、ジョーカーとしての力も脅威となっています。

そんな磐田ですが、この日はフォーメーションも弄り、3-4-2-1の布陣へシフト。
サッカー自体はいつもの後方からパスを繋ぐのを重視するのは変わりませんが、得点源を欠く中でこの選択は吉と出るか否か。

立ち上がり、いきなり前半2分に町田がロングボールから好機。
高江のロングパスを安藤が頭で落とし、受けた平戸がエリア手前でシュート。
ブロックされてコーナーキックとし、キッカー平戸の中央へのクロスを安藤がヘディングシュート(枠外)と、立て続けにシュートを浴びせていきます。

流れの中ではロングパス主体ながら、セットプレーでは変化を付けたがる印象の今季の町田。
6分に得たフリーキック(中央やや左・エリアからかなり手前)では、キッカー平戸はグラウンダーでの縦パスを選択するも、あっさりとクリアされ不発。

後は徹底した裏狙いでしょうか。
ロングパス以外での攻撃も、ひたすら磐田最終ラインの裏へとスルーパスを出す攻撃を仕掛けていきます。
しかしシュートまでには至らず。
逆にパスカットしてからすかさずスルーパスを出す局面が目立ったものの、それはカウンターとして有効な手段ではありますが、精度が低く「すぐにボールを失う」だけという風に映りました。

そんな町田の攻撃を受ける立場となっていた磐田ですが、10分過ぎ辺りからペースを掴み攻勢に出ます。
それでもシュートは16分の場面のみ。(立ち上がりの4分に1本)
ルリーニャが左サイドへ展開し、受けた大森が持ち運んでエリア内左から中央へパス。
これを受けたルリーニャがトラップからシュートするも、ブロックに阻まれました。
結局自身のターンを有効に生かせず、時間を浪費していって飲水タイムに突入。

明けた後、最初に攻撃機会を得たのは町田で(28分)、しっかりとビルドアップしての攻撃を展開します。
中盤の底でのパスワークから右サイドに出した後、戻しを受け取った高江が左へサイドチェンジ。
受けた奥山が中央へ出し、安藤のポストプレイから佐野がミドルシュートを放ちますがブロックされゴールには結びつかず。
これが好循環を呼んだか、以降は終盤まで町田のペースに。
それでも点に結び付かず、さらには磐田側の反則が目立った時間帯でもありました。
FKはチャンスであるものの、こうして反則でぶつ切りの連続となると、良い流れまで失ってしまいかねないものでもあります。

そしてその通り、逆に土居が反則で警告を受けた40分辺りから再び磐田に流れがシフト。
FW2人が不在なため攻撃の中心となるべき大森が、一気のドリブル突破からエリア内でシュートを見せました。(45分・枠外)

磐田は従来と違い、最初から最後尾に3人居るため、やや硬直気味に見えたこの日のビルドアップ。
それを打破しようと、シャドーの一角の大森が積極的にボールを受けに降りてきたのが目立っていた前半。
しかし本来は前目でプレーするべき選手なので、それが今一つな出来に繋がっていたのでしょう。
ここでも主力FW不在の痛手を感じさせつつ、前半を終えます。

この日まで4連敗中と、序盤の貯金(5戦無敗)を食い潰してしまっている町田。
原因として過密日程が挙げられるのは当然過ぎるほど当然でしょう。
しかしクラブ側の立ち振る舞いとしては、その過密日程にケンカを売るかの如く、ターンオーバーに消極的な事が要因だと思います。

今季ここまで全試合スタメン出場している選手は7人(GK秋元・奥山・深津・平戸・高江・小田・佐野)にも昇っており、疲労が抜けきっていないのでは、という疑念を抱かせるには十分な記録。
目下5連戦の4試合目というキツい日程に、連敗がどっぷりと跨ってしまっている辺り、影響は少なからずあると推測します。

そこまでして固定メンバーに拘る理由としては、選手同士の連携を深めていくためとは良く言われる事です。
そういう観点では、同じメンバーでサッカーを行っていった方が有効なのは当然。
チームの成熟を取るか、コンディションを取るかの二者択一。

長いシーズンにはアクシデントという要素が付き物であり、同じメンバーだけのサッカーでは、不測の事態に対応しにくい。
そんな事もあり、殆どのクラブが後者の方策に傾いている今季。
しかし個性を尊重するならば、町田のような前者を重視するクラブが1つぐらいはあっても良いとは思います。
現在の町田のように、新たなサッカーを組み上げていくのが重要なクラブならば特に。

後半が始まり、その前に磐田は鈴木→藤田へと交代。
今季初スタメンであった鈴木、実績十分の藤田に代える事で、ビルドアップをスムーズにしたいという思惑だったでしょうか。

一進一退の滑り出しを経て、地力に勝る磐田が、町田ゴールへと圧力を掛けていきます。
後半6分、右センターバックに入った藤田から右サイドで攻撃、小川大貴の浮き球のパスを受けた山本がドリブル突破。
そしてグラウンダーのクロスを入れ、走り込んだ大森がシュートを放ちますがゴール右へと外れ。
9分には大森のドリブルから、中野がエリア内でシュートするもブロックに阻まれます。
大森が激しく動く一方で、もう一人のシャドーであるルリーニャも11分・12分に立て続けにシュート。
しかしいずれも遠目からであり、有効打とはならず。

そして17分、大井の中野を狙ったロングパスが跳ね返された後、拾った大森が再度中野へ縦パス。
トラップで浮かせた中野がすかさずシュートしてゴールに入れるも、オフサイドにより無得点。
シュートを重ねていくも得点出来ずという展開に、ベンチも決断。
ルキアン・小川航を同時投入し勝負を賭けます。(ルリーニャ・中野と交代、18分)

さらに19分には石田→松本へと交代した磐田(小川大が左WBへシフト)。
20分にはCKから、早速小川航がヘディングシュートを放つ場面が。(GK秋元キャッチ)

町田サイドも動き、19分には土居→ステファンへと交代。
さらに26分、安藤→岡田へと交代を敢行しますが、その度に平戸がサイドハーフとFWを行ったり来たりとシフトするのが可笑しくもあり。
(ステファンがFW、岡田が左SH)

メンバーが大きく変わっても、尚攻勢を掛ける磐田。
しかしシュートに繋がる頻度は減っていき、30分のルキアンのシュートのみ。(ブロック)
逆に町田が決定機を作っていきます。
33分、佐野縦パス→平戸ポストプレイ→高江→吉尾とパスが回り、吉尾がエリア内左へスルーパス。
岡田が走り込んでシュートを放ちますが、惜しくもゴール右へ外れてしまいます。
さらに35分、高江が中盤でボールキープののち裏へロングパスを出すと、エリア内左へステファンが走り込み。
そしてトラップからシュートしますがGK志村がセーブ、これを拾ったステファン、中央への横パスを選択するとそこには平戸が。
しかし平戸はシュートをふかし、決定的なシーンを逃してしまいました。

攻め込むも得点出来ず、逆に相手の少ない攻撃が危機となり冷や汗を掻いた磐田。
37分に大森のクロスから小川航が収めて横パス、ルキアンがシュートするもブロックされてCKになると、ここから4本もCKが続く事になります。
流れの中での攻撃から一転、ジリジリした場面となりましたが、それでも町田の守りを崩せず。

これで磐田側は万策尽きた感が出てしまったか、ATに入ると町田の一方的な攻勢となります。
43分に再び平戸が、中央からミドルシュートを放つ(ゴール上へ外れる)場面を作った町田。
コンディション面では不利と思われましたが、試合終盤に来て有利に試合を運ぶ事に成功します。

最終的にゴールこそ奪えずにスコアレスドローで試合終了となったものの、磐田を押し込み続けたその姿は底打ち感を覚えるものでした。
これで連敗ストップとなりましたが、依然として負け・引き分けが先行する状況であり、今度は勝利への欲を結果に繋げて欲しいものです。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第13節 大宮アルディージャvsギラヴァンツ北九州

2020-08-20 17:04:18 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の大宮の記事はこちら(5節・栃木戦)
※前回の北九州の記事はこちら(11節・金沢戦)

勢いは止まらず連勝を続ける北九州。
この日勝てば首位に立つ可能性もある中で、大宮との上位対決を迎えました。

大宮はロースコアの接戦をモノにしていくチームスタイルというのが今季の印象で、8節まで6勝2敗と好成績。
しかし9節(福岡戦)が中止となると好調ぶりは影を潜め、3試合未勝利(2分1敗)とブレーキがかかっています。

攻撃陣が今一つという感じで、過密日程故メンバーを入れ替えながらの采配を採っていますが、その分連携が薄くなっているのでしょうか。
前線のメンバー(大宮の基本である3-4-2-1に当てはめて定義すると、1トップ2シャドーか)で、600分以上出場している選手が皆無というのも、誰を柱にして攻めればいいのか迷っている印象です。
FWの助っ人であるネルミン・ハスキッチが、ここまで目立った活躍をしていないという誤算もあるでしょう。
そんな迷いからか、この日はイッペイ・シノヅカを前年のポジションである右ウイングバックに戻して臨みました。(翁長を休ませるための起用でしょうが)

北九州は前節(町田戦)で國分が負傷退場という事で、加藤と組むボランチには高橋大悟がコンバート。
空いたサイドハーフに椿を起用した以外は、目ぼしい動きを見せずのスタメン。

立ち上がりは大宮ペースで入り、開始7分で3本シュートを浴びせる攻勢も、全て枠の外に終わり得点出来ず。
WBへと移されたシノヅカですが、その采配の通り右サイドメインに攻撃。
左サイドでも、富山ポストプレイ→渡部スルーパス→富山受けてシュート(枠外)という見せ場を作るなど、ここまでは順調に映った大宮。

しかしここから北九州が反撃開始。
前半9分、クリアボールをディサロ燦シルヴァーノが繋ぎ、一旦は町野とともに左サイドで攻めると見せて中央→右サイドへ。
そして右から福森→高橋大→加藤→永田と一気に左へ展開し、永田の低いクロスを椿がトラップして落とし、高橋大がシュート。
ブロックされたこぼれ球を新垣が再度シュートするも、これもブロックに防がれます。
その後11分にも、新垣の右→左へのサイドチェンジを受けた永田がエリア内に進入し、クロスがブロックされたこぼれ球を町野がボレーシュート。(ブロック)
あっという間にシュート数で並んだ北九州、左右くまなく使う多彩な攻撃が牙を向いた瞬間でした。

大宮はいつもの3-4-2-1ながら、頭を悩ませつつある1トップ2シャドーの人選にこの日も一苦労していたようです。
長身FWの富山が3試合ぶりのスタメン(4試合目)ながら、立ち位置は1トップでは無くシャドーであり、頂点には菊地が入っていました。
菊地は富山以上に今季出場が少なく(スタメン3試合目)、黒川や奥抜がリザーブに留まった前線では、前半得点出来なかったのは道理に思えてきました。

その後は一進一退ながら、大宮はシュートを放てず、北九州も1本のみ(20分・町野)に留まって飲水タイムに突入。
そして明けた最初の北九州の攻撃で、大宮の決定的なミスが生まれる事に。
福森のロングパスをクリアに入った大宮・河面、あろう事か空振りしてしまい、後ろのディサロにボールが渡ってしまいます。
悠々エリア内に進入しGKと一対一になったディサロ、落ち着いてシュートを決めて北九州がラッキーな形で先制点。

以降はスコアだけで無く、試合内容も完全に北九州に傾きます。
直後の27分に、椿がドリブルでエリアに迫って横パス、これを受けた町野がエリア内やや右からシュートを放つも大宮・畑尾がブロック。
一気呵成とばかりに、その後北九州は新しい形での攻めを見せます。

この日は高橋大がボランチという急造だったのもあり、いつもの丁の字型のビルドアップは殆ど見られず。
ボックス型で攻撃を作っていましたが、30分頃にやや変化が。
ボランチの2人がボールを持っている合間に、センターバックの村松が一列上がり2人の左に並びます。
一列前の位置に3人を並べるスタイルを見せつけます。
それが結果に繋がったかどうかは不透明な所がありますが、有効活用したのが39分。
高橋大の左に村松が上がってくると、加藤は逆の右へとパス。
するとそこにも岡村が上がっており、受けた岡村はすかさず左奥へサイドチェンジのパスを出し、永田が受けてクロス。(シュートまでは繋がらず)
この場面のように相手の頭の中をかき回す攻撃をどんどん仕掛けていった北九州、奥深さに底は見当たらないようです。

以降の大宮は見るも無残に、一方的にペースを握られ失点を重ねる事に。
たまらず反撃に出ても、ものの見事にカウンターに繋げられてしまいます。
34分そのカウンターで町野が一気にドリブル、エリア手前で右へパスを出し、受けた新垣がエリア内に進入してシュートを放ち2点目。
40分は永田のグラウンダーのロングパスを受けた町野、左サイドへ流れてからグラウンダーでゴールに向かうクロスを入れ、走り込んだディサロがコースを変えるシュートを突き刺して3点目。
我慢しきれずに点差を広げられてしまい、そのまま前半を終えます。

これまで2失点以上が僅か1度(11節・磐田戦)という堅守のチームだった大宮でしたが、まさかの前半での3失点。
北九州に自由自在にパスで翻弄され、その守備が機能せずという内容でした。
それを受けての修正は、後半頭からの交代とともにフォーメーション変更。
畑尾・シノヅカ・菊地→河本・奥抜・戸島へと3枚替え、4-4-2へとシフトという荒療治を敢行しました。

今季のJ2は0-3からの逆転劇もチラホラ見られるなど、ここからの巻き返しは十分可能なのも事実。
ミラーマッチとする事で、対面の相手を捕まえやすくする解り易い布陣変更。不利な状況な中、なるべくシンプルな作戦で意思統一をする意図もあったでしょう。

しかしその効果が出る前に、決定的な4点目が入ります。
後半3分、岡村のロングパスをディサロがバックヘッドで落とすと、椿が拾って一気に北九州のチャンスに。
最後はディサロの横パスを、左から上がってきた永田がワントラップしてからのシュートをゴール右隅へと突き刺しました。
近年はJ2でも不本意なシーズンを送っていた永田、左SBとして北九州のサッカーの片翼を担う活躍を魅せており、それを証明する今季初ゴールとなりました。
どうやら小林伸二監督は、選手の再生工場としても一定の評価を得る事となりそうです。
以降の大宮は変更効果でようやく攻勢に出れるようになっただけに、この4点目は非常に大きかった。

2トップに富山・戸島を並べ、片方にポストワークをさせて好機を演出するという攻撃がこの後ハマります。
守備ではミラーマッチとなったおかげか、デュエルによるボール奪取が容易となったり、パスを出足良く遮断したりという場面が激増。
遅まきながら反撃を仕掛けていく大宮。

10分、河面(左SB)のロングパスを戸島がエリア内左へと落とし、そこに富山が走り込みシュート。
ボールは左ゴールポストを強烈に叩いた後ゴールインと、反撃の狼煙の1点を返します。

12分には近藤(右SH)のドリブルがこぼされたボールを富山が繋ぎ、左サイドで受けた奥抜(左SH)がドリブルでエリア内に進入してシュート。
ブロックされたボールを富山が拾い、尚もエリア内でシュートしますがこれもブロック。
北九州も必死の守備で応戦し、ゴールは割れないものの押し込む大宮。
その後14分に北九州は岡村・加藤→川上・藤原と2枚替え。
フィードに定評のある2人を交代させ、守備固めの意思を感じる采配を敢行します。

出足の良い守備からも好機を作る大宮。
22分、奥抜が敵陣でパスカットに成功し、富山とのパス交換の後ドリブルで進みエリア手前右からシュート。(枠外)
飲水タイムを挟んだ26分は三門のボール奪取から、富山ポストプレイ→戸島エリア内でキープと2トップがボールを保持したのち、小島(近藤と交代で出場・17分)がシュートするもゴール右に外れ。
直後の27分も、三門のカットから小島がドリブルし、彼のパスをエリア内で受けた戸島が反転シュートを見せたもののバーを直撃してゴールならず。

ペースを掴む事には成功し好機も量産したものの、2点目を奪うまでに至らず。
やはり点差が開きすぎては士気面を保つのも容易では無いのでしょう。
以降は徐々にペースダウンしていく大宮。

30分過ぎからは北九州も再びシュートチャンスを作れるようになり、33分には町野の右からのクロスをトラップした椿が左奥へ切り込み、そこからカットインしてシュート。(ゴール上に外れる)
43分には左サイドから、藤原が鈴木とのワンツーでPエリアを強襲してシュート(GKフィリップ・クリャイッチがキャッチ)と懐の深さを発揮していき、時計の針を進めていきました。

結局このまま1-4でタイムアップとなり、北九州はこれで7連勝を達成。
首位の長崎も勝利したため首位浮上はお預けとなりましたが、2年連続での昇格も夢では無くなってきています。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第12節 ヴァンフォーレ甲府vs徳島ヴォルティス

2020-08-19 17:02:44 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(8節・水戸戦)
※前回の徳島の記事はこちら(7節・磐田戦)

夜を迎える時間帯でも30度越えと、灼熱のような中で行われた真夏の一戦。

徳島は助っ人のジエゴがJリーグ初出場。
今季新加入かと思いきや、実は前年途中に加入、その後今の今まで故障で長期離脱を強いられてきたとの事です。
今季の中断期間よりはるかに長い、サッカーが出来ない期間を作ってしまったジエゴ。
一歩間違えば浦島太郎状態になってしまう所でしたが、ここに来てスタメンに名を連ねました。

このジエゴ含め、連戦の最中で前節から大幅にメンバーを入れ替えた両チーム。
それでも甲府は前節(琉球戦)でターンオーバーをやり切り、徳島は元から45分単位での交代を中心にやり繰りを見せているで、さほど変わった印象を受けず。

試合が始まると、注目のジエゴの動きが非常に特徴的。
登録上は3センターバックの左ながら、味方がボールを持つと一気に上がりを見せ、時には最前線にまで位置する事も。
元々可変が激しい徳島ですが、1人がここまでの動きを見せるのも珍しく、新たなサッカーというよりはジエゴ起用時のオプションといった感じでした。
ジエゴが前に出る分、岩尾をアンカーにしてその脇に鈴木・梶川という、3ボランチ的に中央を固める布陣でしょうか。

そんなジエゴとは裏腹に、普段通りのビルドアップを見せゲームを支配していく徳島。
対する甲府は相手に持たせる戦術を徹底し、素早くブロックを作る事で対抗します。

前半15分、岩尾の縦パスから梶川→鈴木→杉森と渡り、杉森が遠目やや右からミドルシュートを放つも枠外に。
23分は左サイドに開いたジエゴからロングパスが出、これを河田が収めてエリア内に入り、シュートしますがGK岡西のセーブに阻まれます。
飲水タイムまでシュートはこの2本のみでしたが、甲府の撤退戦術とも相成り、開始から15分間での支配率は80%越えという数字を叩き出していました。

それでも、徳島の多彩なパス回しに対し崩れを見せなかった甲府。
飲水タイムが明けると、攻撃でも形を作り始めます。
27分、中塩のカットから左サイドで形を作り、泉澤がキープしたのち戻しを受け取った内田健太がクロス。
これがかなり手前の位置からながら、エリア内中央のハーフナー・マイクに向かいますが、GK上福元が辛うじて弾きシュートは撃てず。
その後も内田健・泉澤を中心に左サイドから仕掛けるシーンが目立ちました。

反面ペースが落ち始めた徳島、ジエゴの上がりもあまり効果的な攻撃を生み出さず、時間を浪費していきます。
すると37分、心臓的存在の岩尾がオーバーラップを見せます。
後方で鈴木にパスを出すと自身は上がり、内田航がその岩尾に縦パスを打ち込み。
その後岩尾のパスを受けた梶川が右へロングパス、ここから杉森のクロスが上がるもシュートまでは結び付かず終わります。
甲府に流れが傾きかけた中、それを打破しようとしたキャプテンの動き。

しかし流れに抗う事は出来ず、以降甲府が攻勢に。
41分、武田のボール奪取からまたも左サイドで攻撃、泉澤がエリア内左へ進入したのちグラウンダーで中へ。
中央でハーフナーがシュートを放ちますが、GK上福元のセーブに阻まれます。
決定機を逃した甲府でしたがその直後の攻撃。
スローインから泉澤が左サイド奥でキープし、ニアサイドへクロスを上げた先には、頭で合わせる内田健の姿が。
ヘディングシュートがゴール左に突き刺さり、待望の先制点。
クロスを上げる役割であった内田健をターゲットとする事で、相手の裏を見事にかいたゴールでした。

1-0のままアディショナルタイムに突入。
してやられた徳島はコーナーキックのチャンスに、キッカー梶川はエリア外へのクロスを選択し、鈴木にダイレクトでシュートを撃たせるもブロック。
サインプレーで借りを返そうとしましたが得点はならず、甲府リードのまま後半戦に突入します。

支配率では上をいったものの、スコアでは上回られた徳島。
後半頭から従来の形へと移行しようと、ジエゴを諦め交代を敢行します。(ジエゴ・梶川→石井・渡井)

そして後半が始まると、前半右CBだった内田航平が左CBへとシフトし、左サイドを上がる役を務めます。
それでもパスを受けられる位置取りをキープしつつと、ややヤケクソ気味だったジエゴとは対極的な攻撃参加でしたが。

後半4分に内田航がドリブルで左サイドへ向かい、左から攻める素振りを見せた後、バックパスを受けた岩尾から中央でパスワークを展開。
最後は杉森がペナルティアーク内からシュートを放つも、ジャストミートせず枠外に。
その後も前半同様に圧力を掛けていくも、今一つ流れを掴めない徳島。

逆に甲府は、10分にハーフナー→ドゥドゥへと交代。
スピード溢れるドゥドゥを投入し、カウンターの用意といった所でしょうか。
しかし14分にはパスワークで好機。
右から中央へとパスが回り、武田の縦パスを受けたドゥドゥがポストプレイで左へ展開してチャンスを作り、泉澤が奥で溜めたのちクロス。
ファーサイドで松田が足で落とし、ドゥドゥがエリア内でキープする絶好機も、切り返しが大きくなりシュートは撃てず。

徳島は13分にも2枚替えを敢行(鈴木・河田→小西・垣田へ交代)し、何とか流れを掴まんとしますが、スコアを動かせずに時間は進んでいきます。
すると再び岩尾のオーバーラップを絡める攻撃を敢行。
21分、右サイドでパスを回している間に前へ上がる岩尾、そこに石井の縦パスを受けた杉森からパスが。
岩尾は垣田とワンツーを選択し、エリア内へ進入するも甲府の守備ブロックを崩せず奪われてしまいます。

苦境を打開しようとする動きも封じられ、飲水タイムに突入。
甲府はここで松田→ジュニオール・バホスへと交代(ドゥドゥがシャドーへシフト)。
守備固めとはかけ離れた交代、恐らくは疲労面を考えつつのものだったでしょうが、この采配面での一瞬のスキが結果に表れてしまいます。

飲水タイム明けの直後のプレー、甲府のゴールキックからでしたが、杉森がヘッドで跳ね返したボールが甲府ディフェンスラインへ。
これを垣田が拾いにいき、中塩を押しのける形になりつつボールキープに成功。
そしてエリア内に進入すると、後ろから中塩に倒され、笛が鳴り反則・PKに。
これに甲府サイドが(垣田が中塩と競り合った際はノーファールなのにと)猛抗議するも、判定は覆らず。
このPKを垣田が自らゴール左へと決め、ようやく同点に追い付いた徳島。

こうなると、ドゥドゥとバホスを投入した効果を発揮したい甲府。
しかし同点後の最初の甲府の攻撃では、左サイドでのパス回しに参加していたバホス、武田の内田健へのパスを(不可抗力ながら)遮断してしまうといった場面も。
その後は勢いに乗る徳島のペースに。
31分、岩尾が左へ展開して西谷が受けると、西谷はカットインを選択して中央へ。
そしてシュートコースを探すも撃てず、右へ縦パスを出すと、受けた渡井がカットインからシュートするもブロックに阻まれCKに。
そのCK、藤田征也が一旦キッカーの位置に着くも西谷と代わり、その際にボールに触れており西谷にドリブルさせるサインプレー。
そして西谷のグラウンダーのクロスを杉森がシュートするも、藤田征がブラインドになった事でオフサイド。(シュート自体はGK岡西がセーブ)

この日は左ウイングバックに西谷を置いた事もあり、左へと展開すると、仕掛けたがる西谷で攻撃が途切れてしまう場面がしばしば。
彼の突破力を武器としたのでしょうが、スペースを作らない甲府相手には相性が悪かったと思います。

何とか反撃したい甲府でしたが、その橋頭堡の1つとなるべきバホスにアクシデントが。
37分に武田のロングパスに反応してエリア内へ受けにいったバホス、徳島・内田航と競り合って倒れてしまうと、足を痛めてプレイ続行不可能に。
これで10人で戦う事となってしまった甲府、以降はドゥドゥの1トップに全てを賭け、一層守備的にシフトします。

ポゼッションをさらに高めて攻勢を掛ける徳島に対し、必死に防戦して跳ね返し続ける甲府。
43分、垣田の落としを受けた渡井がエリア内に進入しシュート、甲府・新井がブロックしたこぼれ球を尚も拾ってシュートするもゴール左に外れ。
泥臭いという言葉がピッタリな守備を見せ、誰もが徳島が勝ち越し点を挙げるか否かに注目が集まっていた最中のAT。

西谷のシュートをGK岡西がキャッチして防いだ甲府、直後に岡西のフィードがドゥドゥに渡りカウンター。
ドリブルで体制を整えつつ中央へ向かい、Pアーク手前からコントロールされたシュートをゴール右へと放ちます。
枠を捉えたものの、GK上福元が間一髪セーブして惜しくもモノに出来ず。

電撃作戦成功とはならなかったものの、この攻撃で一息付けた意味は大きく、以降は甲府がセットプレー中心に攻勢。
そしてそのまま試合終了の笛が鳴り、引き分けに終わりました。

引き分けが全試合の過半数を占めている甲府、この日でついに7に。
開幕節を除いて得点は出来ているので、守備的に戦ってカウンター、という戦術は間違ってはいないのでしょう。
それにしては手数(シュート)が少なすぎるのと、リードを守れない試合が目立っています。
今季は一定のボール支配も目指している節がある伊藤彰監督ですが、この日の終了直前に見られたカウンターの道筋を整えた方が戦術に合致すると思いますが、今後はどうなっていくでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第10節 FC東京vs名古屋グランパス

2020-08-18 20:40:30 | サッカー視聴記(2020年以前)

今季の一種の流行である「4-3-3への移行」の代表格となっているFC東京。
しかしあくまで守備重視なのは不変と、らしさを発揮している長谷川健太監督。
この辺は清水時代の後半(5~6年目)と変わっていないな、と一種の安堵感を与えてくれます。

選手の移籍・故障が目立つ中、中盤に安部やアルトゥール・シルバを抜擢して何とか陣容を整えているものの、現状は4試合未勝利と足踏み。
そんな中で迎えたこの日の名古屋との一戦。

4-3-3と言えども、登録上右ウイングであるディエゴ・オリヴェイラが積極的に守備に参加するなど、相手に主導権を渡さないサッカー。
彼の働きもありこの日は名古屋の左サイドバック・吉田は力を発揮できずと、しっかりとストロングポイントを封じ込めていました。
そして4-5-1気味にブロックを作り、名古屋に形を作らせません。

対する名古屋は、3日前に行われたルヴァンカップの勝ち抜けに奔走。
それは何とか果たされたものの、全力で戦ったツケが表れたかこの日は全体的に精彩を欠き気味。
ボールを持たされる展開となり、かつ吉田・金崎といった重要なピースを相手に消されているので中々攻められず。

しかしFC東京サイドもシュートシーンは2度のみ。
前半12分のレアンドロの直接フリーキックと、23分の安部のエリア外からの枠外シュート。
堅い立ち回りという印象で、飲水タイムに突入。

明けた後に、閉塞感を打破したい名古屋が新たな動き。
ボールを受けられずにいたガブリエル・シャビエルが、降りてきてビルドアップに参加する場面が目立ち始めます。
それでもその効果が表れる前に、状況的にも不利に落とし込まれる、つまり先制を許す事に。

33分、室屋が敵陣やや深めでボール奪取してのFC東京の攻撃。
レアンドロのポストプレイを交えて細かくパスを繋ぐと、最後はそのレアンドロがエリア内左からシュート。
ブロック2枚による狭いコースをモノともせず、通されたシュートはゴール右隅に決まり、欲しかった先制点を得る事に成功しました。

その後前半も終盤を迎え、堰を切ったかのように双方シュート数を重ねる展開に。
40分のFC東京、高萩のロングパスを左SBの小川がエリア内まで上がって受け、彼のパスから永井がシュート。(GKランゲラックキャッチ)
42分は名古屋の好機、中谷の右へのロングパスを金崎が開いて受けた後、成瀬が中央へドリブル。
そしてエリア手前からシュートを放つも、GK波多野のセーブに阻まれます。
アディショナルタイムに突入し、FC東京は左サイドから小川のロングパスを永井が頭でトラップ、そのまま奥で拾ったのちエリア内へ進入。
そしてマイナスのパスを送ると、レアンドロがシュートしますが名古屋・成瀬が辛うじてブロック。
一方の名古屋も、右サイドでスルーパスを受けたシャビエルがカットインしてパスを出し、走り込んだ前田がシュートするも枠を捉えられず。
シュートの応酬で前半を終えます。

前年は寸での所でリーグ優勝を逃したFC東京。
当然今季もそこを目標として戦っていると思われますが、そんなクラブに容赦無く襲い掛かるのが、海外移籍という荒波。
橋本が5節(浦和戦)を最後にロシアに移籍、そして今節は室屋(ドイツ2部に移籍)のラストマッチとなり、一挙に2人も手放す事となります。
思えば前年も、夏場に久保が移籍したのを境に勢いは止まり、最終的にマリノスに逆転優勝を攫われたシーズンでした。

現在J1首位を走っているのが川崎ですが、そのライバルチームという関係を、J2オリジナル10の時代から(正確にはもっと前?)保ってきたFC東京。
この海外移籍というファクターで見てみると両クラブとも対照的で、FC東京が盛んに海外に選手を輩出する(前述の3人の他長友・武藤・権田)一方で、川崎は川島と田中(現岡山)・板倉ぐらい。
この分野では先端を進んでいるFC東京ですが、反面Jリーグでの成績は安定せず、川崎が現在黄金時代到来と言ってもいい成績を残している。
アプローチは異なっているものの、この2チームは今後もライバルとしてリーグを牽引していって貰いたいものです。

後半が始まり、名古屋は頭から2枚替えを敢行。
シャビエル・前田に代えて山崎・相馬を投入し、金崎・山崎の2トップの形へとシフト。

立ち上がりは一進一退の後、後半5分に名古屋の長い攻め。
ジョアン・シミッチを中心とした長いパスワークから、右サイドで成瀬のスルーパスに抜け出したマテウスがグラウンダーでクロス。
これを山崎が足で合わせにいくも触れず、そのまま左サイドに流れた所を、拾いにいった稲垣に対しGK波多野が飛び出してスライディング。
クリアしようとしたのでしょうが、結果的に稲垣と交錯してしまい反則に。
GKの飛び出しての反則で、カードが出るかと思われましたが何も無し。
良い位置でのFKを得たものの、ここはキッカー・相馬がクロス気味に直接狙うもGK波多野がパンチング。

後半もFC東京は助っ人陣が積極的にゴールを狙っていきます。
11分、スローインから敵陣左サイドで形を作り、永井のポストプレイをサイドから走り込んで受けたレアンドロがシュートするもGKランゲラックが片手でセーブ。
その直後にはシルバもシュートを放ちますが、これもGKランゲラックに阻まれます。
その後助っ人は早めに止めなければならないという意識が働いたか、17分に名古屋・成瀬がレアンドロにチャージしてしまい反則・警告。

不利を打開しようと、名古屋は選手交代を重ねていきます。
10分に吉田→太田、21分にシミッチ→石田。
石田投入後は、ほぼ稲垣の1ボランチという感じで、前掛かりになって攻撃を展開していきます。

それでも強固なFC東京の守備陣を破れず。
33分にはロングパスのこぼれを相馬が拾いミドルシュートするも枠外に。
35分には稲垣が縦パスを出した後、こぼれ球をダイレクトでミドルシュートを放ちますがGK波多野がキャッチ。
ミドルシュート攻勢に出るもやはり結果は出ず、時間を浪費していきます。

焦る名古屋陣営に対し、37分に最悪の結果が。
攻めきれず相手ボールになった所、パスを出したFC東京・シルバに対し成瀬がアフター気味にスライディング。
これで2枚目の警告を貰った成瀬、退場となり以降10人になってしまいます。
その後は石田が空いた右SBへシフト。

数的有利となったFC東京ですが、リードしている事もありペースダウン。
以降は安部がミドルシュートを放った(44分・枠外)ぐらいで、基本的には相手の攻撃をいなす事に集中します。

そのままATに突入し、後が無い名古屋はセンターバック・中谷を前線に上げてのパワープレイ体制へ。
それでもブロックを固める相手の前には、愚直にロングボールを入れるだけの攻撃しか出来ず、チャンスも作れません。

このまま終了かと思われたAT4分、クリアボールを拾った原(レアンドロと交代で出場・AT)がドリブルで進み、エリア内に走るアダイウトン(永井と交代で出場・24分)にラストパス。
アダイウトンが切り返した所、スライディングで防ぎにいった名古屋・石田が、勢い余って手にボールを当ててしまいハンド。
ラストプレーという所でPKを献上してしまいます。

敗色濃厚という所でPKを迎えた選手達の心境はいかなれど、アダイウトンが蹴ったこのPKは、GKランゲラックが見事に足でセーブ。
気持ちが切れていない事を見せたものの、エリア外へとボールが出ると同時に試合終了を告げる笛が。

結果的に、室屋の送別試合を勝利で飾る事が出来たFC東京。
橋本・室屋の移籍に、キャプテン東の故障という合わせ技も重なり、傍らから見ても層が薄くなってきた印象を受けます。
果たして夏の移籍期間はどう動くでしょうか。

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