※前回の山口の記事はこちら(10節・栃木戦)
※前回の金沢の記事はこちら(11節・北九州戦)
長らく最下位に沈んでいた群馬が、前節をもって浮上。
それに伴って最下位に落ちてしまったのが山口です。
決して悪いサッカーをしている訳では無く、3年目の霜田正浩監督による上積みにも期待出来るはずなのですが、それを容易に許さないのが主力選手の流出。
クラブ自体がそれを開き直っている節があるので多くは取り上げませんが、結局は絶対的な点取り屋が居るか居ないかが左右する、という感じの近年の山口の成績。
2018年はオナイウ阿道(現マリノス)が22得点という文句の無い結果を叩き出し、チーム成績も8位。
2番手以下も小野瀬(現ガンバ)10得点、高木大輔(現ガンバ)8得点が控えるなど得点力が充実。
小野瀬が(シーズン途中に)抜け、オナイウもレンタル終了で抜けて迎えた2019年、工藤を補強したものの故障もあり期待外れに。
その穴を山下(現千葉)・高井が進境を見せて埋めに掛かりましたが、山下11得点・高井8得点と2人の穴は大きく。(高木は2得点だったうえ、シーズン中に移籍)
そんな数字の通り、チーム成績も15位と伸びずに終わりました。
そして今季、再びトップスコアラーの山下が抜ける事態となり、穴埋めにはイウリ・小松・森と補強。
イウリはセンターフォワードとして奮戦しているものの、ここまで4得点とあまり伸びておらず。
新人の浮田が3得点と活躍しているものの、チーム全体では14試合で13得点しか挙げられていません。
得点源の選手が引き抜かれるのが常在する状況に、痺れを切らしたのか浮田・河野と新人抜擢が目立っている現状。
また小松や森も移籍選手としては若く、この若手だらけの状態が不安定なチーム状態を生み出している感がしないでもありません。
この日も4-2-3-1のフォーメーションで臨んだ山口。
4-2-1-3の形も以前は見られましたが、両サイドの選手(サイドハーフ)が動き回り易いこの形がベストだと踏んでの事でしょうか。
しかし立ち上がりは金沢の守備に苦戦。
マンマーク基調の守備はこの日も健在で、山口はビルドアップに難儀してペースを握られる事となります。
そして良い位置でボールを奪われ、ヒヤリとする場面を多々作ってしまった序盤。
山口の初シュートは前半15分。
コーナーキック(左サイド)から、キッカー池上がニアサイドに低いクロスを入れると、森がフリックしてイウリが待つ中央へ。
混戦となりこぼれたボールをヘナンがシュートするも、GK白井にキャッチされます。
セットプレーからでしたが、とりあえずシュートで終われた山口はその後の21分。
右サイドで田中陸→高→池上→森と渡っていき前進、奥まで進んだ森がマイナスのボールを中に送り、高井がシュートするも再びGK白井がセーブ。
流れから良い形を作った山口ですが、意に返さない金沢はその間にもシュートを放ち続けます。
ボールポゼッションには拘らないながらも、キッチリシュートに結び付ける攻撃は相変わらず健在です。
果たして一進一退の展開となり、飲水タイム(23分)を挟んでからもそれは変わらず。
しかし次第に山口がシュートまで持っていけなくなり、相対的に金沢の攻撃が目立って来ます。
25分、スローインを受けにいった下川がダイレクトで裏へロングパス、これに走り込んだ加藤がこれまたダイレクトでシュート。(枠外)
30分は再び下川→加藤のパスで、受けた加藤がドリブルでエリア内に進入してシュート(GK山田元気セーブ)。
この2人のホットラインでゴールを狙い続けます。
そして36分ついに実り、窪田の敵陣でのボール奪取から下川が拾い、藤村とのパス交換を挟んだのち浮き球のスルーパス。
これに走り込んだのはもちろん加藤で、ダイレクトで放ったシュート、今度はゴール左に突き刺して先制点を挙げます。
反撃したい山口ですが、ビハインドとなった事でバランスを崩した感があり。
44分、池上が降りてボールを受けに来ますが好機に出来ず、逆に金沢が直後にその隙を突いて攻撃。
石尾のラフな前へのボールを杉浦恭平が受けて右奥へ進み、スライディングで中央に送ると、受けたのはボランチの藤村。(その後こぼされてCKに)
池上のマークを担当していたのでしょう、前残りとなったのが良い方向に傾いた場面でした。
果たしてこれで得たCK、石尾のヘディングシュート(GK山田元キャッチ)に結び付けると、アディショナルタイムに突入した直後でした。
今度は藤村のスルーパスに反応した加藤、エリア手前やや右から果敢にシュートを放ち、またもやゴールゲット。
好循環をスコアに結び付け、前半を終えました。
(約)1週間空いたのが久々となり、迎えた15節。
前回の5連戦は金沢に甚大な影響を与えていたようで、最後の前節・磐田戦では0-6の大敗。
よりにもよって柳下正明監督の古巣である磐田、酷い仕打ちという印象を残した試合でしたが、金沢サイドが苦しさを隠せなかったのは否めず。
12節・京都戦で、不動のボランチの一角であった大橋が負傷で途中交代。
金子・大石・山根といった面々は長らくベンチにすら入っておらず、故障で長期離脱となっているとしたら、層の薄さは深刻。
その後は下川を充てて穴を埋めたものの、やり繰りしようにも出来ない状況に陥ったのでしょうか。
5試合全てでスタメン出場した選手は6人にも昇りました。
山口同様に新人抜擢が目立つ今季ですが、この日既に2得点を挙げた加藤は、ルカオ(彼も故障離脱中)を抜いてチームトップのスコアラーに君臨。
コンディション重視の采配は採りたくても採れない状況ながら、それにより一人の選手を我慢して起用する覚悟が自然と生まれつつある。
加藤の活躍はそんな事を伝えさせてくれている、のでしょうか。
後半を迎え、金沢はその加藤が交代で退きます。
代わって投入されたのが杉浦力斗、特別指定ながら手駒の一角として積極的に起用されており、この日も「杉浦2トップ」を形成します。
一方、山口サイドも安在→川井に交代。
後半2分、山口はボランチの高が左サイドでドリブル、エリア手前でそのままカットインしてシュート。(ブロック)
立ち上がりに積極姿勢を見せる事で、試合を動かさんとします。
しかしその後は前半同様金沢に押され気味となり、それを支えきれない山口。
10分に金沢は左からのCK、一旦クリアされた後の二次攻撃で、逆の右サイドから窪田がクロス。
これが低いボールでニアサイドを突き、GK山田元の手前で杉浦恭が右足で合わせてゴールに入れ追加点。
0-3と一方的なスコアになってしまいます。
流れを変えたい山口は、14分に3枚替えに踏み切ります。
森・高井・眞鍋→浮田・田中パウロ淳一・小松に交代。
センターバック(眞鍋)を交代させ2トップにシフトという、得点への意欲をむき出しにする采配。(イウリがCBへシフトし4-4-2へ)
その後前掛かりになる山口ですが、いきなり15分に金沢のカウンターを浴びてヒヤリ。(下川ロングパス→杉浦力裏に抜けてエリア内からシュート)
16分に窪田→高安へと交代した金沢、尚も徹底抗戦の構えで、前節の鬱憤を晴らさんとします。
それでも山口は19分、敵陣でのパスカットから池上がドリブルから右へ展開。
エリア内で受けた浮田がカットインから豪快にシュート、これが左サイドネットの内側を捉えるゴールとなり、1点を返します。
金沢の攻めっ気を止める事に成功し、その後はボールポゼッションを高めての攻撃で圧力を掛けます。
21分には浮田と同じく新人の河野を投入(イウリと交代)、早くも交代枠を使い切り。
飲水タイムを挟んだ26分、ヘナンのロングパスをパウロが受け、左サイド奥に進入してシュート気味にクロス。
GK白井が弾いたボールを、田中陸が拾ってそのまま遠目からシュート。
ブロックに遭ってこぼれたボールを尚も高がダイレクトでシュートするも、ゴール上へ外れてしまい波状攻撃も実らず。
今季まだスタメン出場の無いパウロも、積極的にゴールを狙う事でアピールせんとします。
38分、金沢のクリアミスを拾った河野からパスを受け、そのままペナルティアークからシュート(ブロック)。
直後の39分も、右サイドから形を作り池上のクロスが上がると、パウロが頭で合わせヘディングシュート。
しかしGK白井のセーブに阻まれ得点ならず。
山口の圧力をいなす金沢、その間にもチャンスを作りあくまで抗戦の構えは崩さず。
37分には杉浦力がシュート(ブロック)、38分には下川がシュート(ゴール上に外れる)と、山口ゴールを脅かしていきます。
結局最後まで主導権を握れなかった山口。
ラストはヘニキ・ヘナンを前線に上げるパワープレイを敢行するも、点差を縮める事は出来ず。
1-3のまま試合終了となり、悪い流れを払拭する勝利は金沢が手にしました。
反対に早くも10敗と、行き詰まり感が漂ってきた山口。
中々結果に結び付かず苦しい状況ですが、今季は降格が無いレギュレーションであり、焦って動く事は避けたい所でしょう。