※前回の千葉の記事はこちら(6節・ヴェルディ戦)
※前回の群馬の記事はこちら(6節・松本戦)
中断明け後、ホームでは全敗(3戦)という汚泥にまみれている千葉。
まあ現在のご時勢、ホームアドバンテージは中々得られるものでは無い状況なのですが。
それだけで無く、この日対戦相手の群馬とは通算成績で負け越し。
近々5試合では未勝利(2分3敗)と、クラブのバックボーンの差を考えると、相性が悪いどころでは済まない成績が残っています。
この不利なデータを跳ね除ける事が出来るか。
今回の3連戦を前に、鳥海・安田・熊谷アンドリューといった面々をレギュラーに組み込んだ千葉。
前回のように「全とっかえ」のターンオーバーを行う事も無く、3連戦はほぼ同じメンバーで挑んでいますが、結果は1分1敗と芳しくなく。
相性が悪いながらも、最下位の群馬にまで勝てないような事があれば、今後ひと波乱置きそうでもあります。(監督人事などで)
試合が始まり、千葉は立ち上がりから積極的にサイド攻撃。
何本もクロスが上がるものの、有効打とはなり得ずにいると、逆にファーストシュートは群馬。(前半8分)
千葉・熊谷の反則で、かなり遠目ながら直接フリーキックを得ると、キッカーの宮坂は直接ゴールを狙います。
惜しくもゴール右上に外れますが、とりあえず千葉ゴールを脅かす事には成功しました。
しかし以降は千葉が懐の深さを発揮。
10分に田坂がミドルシュートを放った(枠外)のを皮切りに、何度も群馬ゴール前で好機を得ます。
13分、田口のパスカットからカウンター攻撃、為田がドリブルで左サイドを突き進んだのちグラウンダーでクロス。
受けに入った田口はワントラップしてからボレーシュート、GK清水にセーブされて尚も山下が詰めに行きましたが、これもGK清水のブロックに阻まれました。
22分は中盤からのFK、田口のロビングを山下が合わせにいくもこぼれ、これを左サイドで拾った為田が切り返した後シュート。
GK清水がセーブしたボールを尚も繋ぎ、熊谷がミドルシュートを放つも枠外に。
流れを掴みつつあった千葉ですが、24分にはアクシデントで交代を余儀なくされます。
16分に群馬・白石のタックルを受けた田坂、一度はプレーに復帰するも22分に再び倒れ込み続行不能となり、飲水タイムを挟んでから米倉と交代。
前節(山形戦)もクレーベが前半で負傷交代となってしまった千葉、苦しいやり繰りを強いられます。
一方攻められっぱなしだった群馬、30分過ぎ辺りでようやく攻撃を展開。
しっかりビルドアップしてボールを繋ぐ事が奥野僚佑監督の理想のようですが、この日の千葉のように守備の強度が激しいと、中々前に運べず苦しい戦いを余儀なくされるようです。
そんなもどかしい展開を打ち破らんと、積極的にシュートを撃ちにいったのは進。
32分、田中のカットしたボールを拾うと、ドリブルで前進してミドルシュート。(枠外)
やや無理目の位置ながらも積極性を見せると、続く33分には宮坂の左からのクロスでヘディングシュート。(枠外)
しかし先制点を奪ったのは千葉でした。
35分CKからの二次攻撃で、安田のロビングを川又が頭でエリア内に送り、これを鳥海が合わせにいくもチャンミンギュに当たりこぼれ球に。
これに山下が走り込み、豪快に蹴り込むシュートでネットに突き刺しました。
これまで今季先制した試合は勝率10割であり、欲しかった先制点を挙げる事に成功した千葉。
最初に述べた不利なジンクスを吹き飛ばすのには十分でしたが、誤算だったのは、ここから前半終了まで群馬の一方的なペースにさせてしまった事でしょう。
ビハインドとなり迷いが消えたのか、群馬はこれまでの試合展開から一転して攻勢を仕掛けます。
DFラインでのビルドアップを下地に、宮坂・内田と展開力あるボランチ、大前のポストワークを絡めて敵陣内でプレー。
それでもシュートまでは持ち込めない群馬でしたが、アディショナルタイムも終盤に差し掛かった時でした。
敵陣でボール奪取の後、宮坂がエリア内へ縦パスを入れると、エリア内右で受けたのは白石。
ここから切り込みを見せ、千葉・安田のディフェンスに遭い倒れるも、笛が鳴り反則・PKに。
安田の足に引っ掛かっているかどうか微妙なシーンでしたが、これで得たPKを大前がゴール右に決め、前半のうちに同点に追い付いた群馬。
これが今季初ゴールとなった大前。
清水でキャリアをスタートさせ、明確な上昇志向の下海外挑戦(ドイツ)も果たしたものの、結局定着出来ずに帰国。
以降は再び清水に加入してJリーグでのプレーを再開。
J2降格も経験するも、1年で昇格しさあこれからだ、と思った矢先に大宮への移籍を敢行します。
当時大宮は初めてJ1で5位という好成績を収めた事で、さらなる飛躍を目指すべく大前に白羽の矢を立てたのでしょう。
大前の上昇志向とも一致した(と思われる)移籍劇でしたが、皮肉にも大前が加入した大宮は直後のシーズンでJ2降格となってしまいました。
再びのJ2でのプレー、1年でのJ1復帰を目指し、自身はJ2得点王に輝いたものの惜しくも昇格ならず。
そして前年出番を減らした末に、大宮と契約満了→J2に復帰したての群馬へ移籍し現在に至ります。
すっかり晩年のプレイヤーのような経歴を歩んでいますが、老け込むにはまだ早い年齢でもあります。
攻撃的なポジションをフルで務めるにはキツそうですが、FW登録で出場している割には、積極的に降りてきてパスワークに参加するのが彼の特徴となっています。
これから何年も現役を続けていくには、MFへの完全転向も一つの手だと思われますが、まずは今季の彼の歩みを見守る事にします。
PK獲得の殊勲を挙げた白石を、林へと交代して後半に臨む群馬。(進が左SHへシフト)
後半1分、大前にシュートチャンス。
田中のインターセプトから宮坂→大前→宮坂縦パス→林ポストプレイと繋いで前進し、エリア手前中央という位置でミドルシュートを放った大前ですが、ボールは枠を捉えられず。
しかし「後半は一気呵成にいく」という意思表示は出来たようで、さらに5分にも群馬のチャンスが。
左サイドで宮坂を中心にパス回しの後、宮坂が奥へスルーパスを出し、走り込んだ進がグラウンダーでクロス。
そして林がダイレクトで合わせますが、シュートは上へ浮いてしまい勝ち越しとはいかず。
立ち上がりは群馬のペースとなるも、次第に停滞。
すると千葉サイドも攻撃を仕掛けますが、流れの中からは好機は生まれず時間を浪費していきます。
サイド攻撃中心というのは解り易いですが、それ故止められるのも容易く、スローインから組み立て直すというシーンが目立っていました。
17分、GK新井章太のパスからの攻撃。
左サイドで安田・為田がパス交換しつつ前進、川又とのワンツーも交えて為田が奥に進入し、安田に戻してからクロス。
これをニアサイドで川又がヘディングシュートを放ちましたが、枠外に終わります。
その後は双方シュートを撃てない時間帯に突入。
大前は縦パスを出したり、逆に縦パスを受けたりと奮闘を見せますが、好機に繋げられないのがもどかしい。
そのまま飲水タイムを挟みます。
一方の千葉ももどかしい展開であり、27分に2枚替え。
山下・川又→櫻川ソロモン・見木とFWを揃って交代させ、攻撃の活性化を図ります。
身体能力の高さは折り紙付きである櫻川、チャンスを作らんと動き回ります。
しかし盛んにロングパス・スルーパスを受けるものの、オフサイドだったり(2度)、相手を倒してしまうなどやや空回り気味でした。
唯一のシュートは38分、熊谷のボール奪取から見木がドリブルで持ち込み、彼のパスを受けてエリア内左で放ったもの。(GK清水がキャッチ)
こうした展開の一因が連戦なのは間違い無さそうですが、より影響があったのは、チームの平均年齢が高い千葉の方だったでしょうか。
40分からは再び群馬ペースへと傾きを見せ、最後の攻勢を掛けます。
その狼煙となったのがまたも大前のシュートで、41分中盤からのフリーキックでの群馬の攻撃。
キッカー岩上のロビングをエリア内左で林が折り返し、さらに舩津が落としたのを受けた大前、エリア手前でボールキープ。
そして右へ展開し、上がってきた岩上の低いクロスにニアで合わせた大前でしたが、惜しくもゴール左へと外れ。
ATへと突入し、なりふり構わずの攻撃を見せる群馬。
左サイドで得たFK、キッカー大前のクロスが跳ね返されると、後方から内田が走り込んでシュートするもブロックに阻まれます。
そして引き分けの空気が強まっていく中、飯野(宮坂と交代で出場・41分)が右奥へと進入してCKをゲット。
ラストプレーが濃厚のこのCKで、キッカー大前のクロスが上がると、センターバックコンビの岡村・舩津が待ち構える中央へ。
岡村が跳ぶも合わせられず、しかしこぼれ球がファーへと転がり、小島が反応してシュート。
執念のゴールが決まるとともに、試合終了の笛が。
劇的な幕切れで、今季2勝目に辿り着いた群馬。
一方最後(?)の拠り所であった先行逃げ切りも果たせなかった千葉。
これから連戦ばかりとなる日程で、それを乗り切るにあたって不安要素は山盛りの状態に。
他の問題はまだしも、体力面となると今季中の解決はほぼ無理なので、まだリーグ序盤とはいえ今季の昇格は厳しくなってきたと痛感させられる試合となりました。