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DAZN観戦 2020年J2リーグ第7節 FC町田ゼルビアvs栃木SC

2020-07-29 18:26:00 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の栃木の記事はこちら(5節・大宮戦)

似た者同士の性質のクラブによる対決、と盛んに放送席で謳われていた試合。
ポゼッション率の低さやタックル数の多さといったスタッツについて触れられていました。
それ以外にあえて共通点を求めるならば、やはり両監督でしょうか。

今季から町田の監督を務めるランコ・ポポヴィッチ氏と、栃木の監督2年目という立場である田坂和昭氏。
両名はJリーグでの監督業を大分で始めたという共通のキャリアを持っています。

ポポヴィッチ氏が大分の監督に就いたのは2009年シーズン途中。
故障者続出もあり、リーグ戦14連敗を喫するなど半分消化で勝ち点僅か4という大不振に喘いでいたチームを救うために就任しました。
しかしクラブを覆う闇はそういった成績面では表向きでしか無く、J2降格が決定した後、試合を運営する事すら困難という状況にまで陥った経営面の方が大きかった。
ポポヴィッチ氏は彼らしくチームを立て直し、翌年も続投を望んでいたらしいですが、人件費削減の煽りを受けて契約更新はならず。
その後のポポヴィッチ氏は当時JFLだった町田の監督を務め、Jリーグ参入を果たした後にJ1・FC東京の監督に。
そして巡り巡って今季再就任という経歴は、前任だった相馬直樹氏と似通っています。

一方深刻な経営危機に陥った大分は、皇甫官(ファンボクァン)氏を挟んだ後の2011年、田坂氏が監督に就任。
翌2012年折りしも始まった昇格プレーオフを味方に付け、何とか経営問題も一段落させて、J1昇格を達成。
しかし1年で降格し、2015年にJ2でも下位に低迷する不振ぶりで田坂氏は解任され、その後大分はJ3降格の憂き目に遭う事に。

一時はタイトル(ナビスコカップ・2008年)も獲得するなど全盛を築いた大分、その後の凋落・苦難の時代に監督を務めた両氏。
2016年以降、片野坂知宏監督就任とともに浮上を開始した大分ですが、それはまた別の話でしょう。

これまでのクラブ(主にFC東京やセレッソ)ではポゼッションスタイルを基調としてきたポポヴィッチ氏。
しかし町田は相馬氏が6年間監督を務め、ワンサイドアタックという特異な戦術に行き着いたチーム。
ここに逆のサッカーを落とし込むのは相当な時間が掛かるはずで、とりあえず理想を一時置いておく事にした、というのが前述のスタッツから伺えます。

一方の田坂氏も、大分時代は攻撃的なサッカーを指向する監督だったとの事。(当時は観ていなかったので詳しくは解りませんが)
そして前年、栃木で残留争いを戦うにつれて、現在の守備・ハードワーク重視に流れ着き現在に至ります。
そんな両名が率いるクラブの対決は、やはり持ち味通りの試合となりました。

町田は理想を捨てたとは言っても、普通にビルドアップをするようになったというだけで前年のサッカーと大きな違いを生み出す事となるチーム。
両サイドに選手を広げ、パスの幅を増やすという普通の事が異様に斬新に思えてしまいます。
それでもカウンタースタイル・セットプレー重視が目立ったこの試合。

前節・水戸戦は0-4の大敗だけでなく、途中出場したステファン・大谷の2人もが負傷により途中交代、通称インアウトの形になってしまったという手痛い試合。
アタッカーのジョンチュングンも故障中と苦しい陣容になって来ましたが、この日はステファンは何とかベンチ入り。
そしてマソビッチを左サイドハーフに転用(FW登録なのだが、本職は解らない)、平戸をセカンドトップの位置に置く4-4-1-1っぽいフォーメーションで挑んだ町田。

試合内容は、双方セットプレーでシュート数を稼ぐ展開となった前半。
流れの中での好機はというと、前半9分に栃木が、矢野が中盤で町田・吉尾をショルダーで吹っ飛ばしつつボールキープ。
その後彼からパスを受けた明本がドリブルの後、榊とワンツーで中央突破した末に矢野にパス、そしてエリア内右に入ってシュート(サイドネット)というものぐらいでしょうか。

そのセットプレー、町田は変化を付ける事を重視。(キッカーは平戸でほぼ固定)
4分の左サイド奥からのフリーキック、ここはグラウンダーでやや遠目へのクロスを入れると、吉尾がダイレクトでシュート。
DFに当たって左コーナーキックとなると、これもショートコーナーの後、平戸はグラウンダーで入れる事を選択。
これを水本ポストプレイ→高江→吉尾シュートと繋ぐも枠外に。

一方の栃木も13分の左CK、キッカー榊のニアへのクロスを矢野がスルーし、中央で受けた禹相皓(ウサンホ)がシュートを放つも町田・高江のブロックに防がれます。
両チームとも工夫が見られたCKでしたが、明暗を分けたのは栃木の守備だったでしょうか。

町田が右サイドでのCKを得た23分。
再びのショートコーナーで、パスを受けた吉尾はリターンせずにそのままクロス。
すると中央でマソビッチが頭もとい肩でヘディング(?)シュート、威力は無いながらもゴール右に決まりました。

町田先制と同時に飲水タイムに入り、明けた先の展開は栃木が攻勢に。
しかし流れの中ではシュートまでが遠く、逆に28分には町田が好機。
左サイド中盤から佐野が中央へロングパス、これを吉尾がダイレクトでエリア内へ送ると、安藤が走り込んでシュート。(GK塩田セーブ)
栃木はセットプレーに活路を見出すも、37分のエリアすぐ手前からの直接FKは、榊が左足で直接狙いにいくもシュートはゴールの上へ。
41分の右サイド奥からのFKはニアへのクロスがこぼれた所を、矢野がバイシクルを狙うも空振り、こぼれ球を高杉がシュートするもブロックに阻まれます。

攻勢ながらも得点を奪えないでいると、逆に45分の町田の右CK。
先程と全く同じのショートコーナーからの吉尾のクロス、今度は栃木・矢野の前に入り込んだ小田が合わせてヘディングシュート。
これが左ゴールポストの内側を叩いてゴールに入る、シュート以外はリプレイかと疑ってしまうような2点目が生まれました。
飲水タイム明けから前半終了まで、町田の攻撃機会は3度だけという少なさ(栃木は16度、自分の集計)でしたが、効率良い攻撃を披露する結果となりました。

2点差を付けられた栃木、こうなってしまうと現状のサッカーでは跳ね返す事は非常に厳しく。
失点シーンは全く同じパターンであり、ショートコーナーの対処が抜け落ちていた(と思われる)のが高く付いた格好となりました。

そんな後悔があったのか、後半2分のCK、榊のショートコーナーを受けた明本がすぐさまクロスという失点パターンを自分達で再現。
すると中央で矢野のヘディングシュートが炸裂するも、コースはGK秋元の正面でセーブされてしまいます。(その後高杉がボレーシュート→枠外)
これが決まっていればまだ判らなかったでしょうが、以降は町田ゴールを脅かすようなシュートは撃てず仕舞い。
40分に、高杉のエリア内へのロングパスが跳ね返されたボールを、佐藤が走り込んでシュート(ゴール上へ外れる)したのが最も惜しかったでしょうか。

逆に5分、マソビッチのエリア内への落としに走り込んだ安藤に対し、GK塩田が飛び出して防いだ所に安藤の足が入り塩田が負傷する事態に。
一旦は起き上がってプレーを続けた塩田でしたが、13分に再度倒れ込んで交代する事となり(川田修平が出場)、アクシデントも流れを悪くした要因でしょう。
終了間際には悪天候の中鳴り響いた雷鳴を受け、既にアディショナルタイム4分という時間帯で中断の措置が採られるなど、ビハインドの側にとってはリズムを保つ事が困難な試合でした。

町田はマソビッチをサイドで起用したのが吉と出たでしょうか。
開いてターゲットとなるため栃木側も対処が難しく、FWの安藤もスムーズにエリア内でチャンスボールを受けられていました。
そして自身は来日初ゴールと良い事ずくめ。
対称的だったのが、マソビッチと同じく新助っ人の立場であるステファン。
後半29分に投入(安藤と交代)されたものの、目立った場面は殆ど無く試合を終えてしまいました。

ATの栃木のパワープレイ(センターバック田代が最前線へ上がる)も無事いなし(+7分の大﨑のシュートは危なかったが)、今季2勝目を手にした町田。
これまで4引き分けという多さが生きるシーズンに出来るでしょうか。


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